ぬまっち流「先生、嫌い!」と言われた時の対処法

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」【毎週土曜10時更新】
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

独特の実践で子供のやる気を伸ばすカリスマ教師、沼田晶弘先生。
一学期中、ある子供に「先生嫌い!」と言われたことが気になり、自信をもてないという先生の悩みに、アドバイスをいただきました。

撮影/下重修

クラス全員に好かれることはない。
3分の1はアンチだと考えよう

ボクは基本的に「先生嫌い」と言われても、あまり気にしない。

「嫌い」と言われたとしても、仕事なんだから、気にしていてもしかたがないし、そもそも、クラス全員に好かれるなんて無理だと思っている。

ボクが若手だったころ、当時の副校長に言われた言葉がある。

「どんなにクラス運営が上手くいっても、3分の1はファンで、3分の1はアンチ、3分の1は無関心だからね」

この言葉は、今ふり返っても正しいと思うよ。

「今日の授業は完璧!8割はファンにできたな」って思うときがあるけれど、やっぱり何をしてもある程度の割合でアンチはいると考えていたほうがいいと思う。

それは保護者に対しても同じように思うようにしている。

教師も苦手な子供のタイプを
認識することは大事

先生だって苦手な子供はいるんじゃないかな。

自分が苦手なタイプの子にどう接していくかは、試行錯誤しながら経験して覚えていくしかないよね。

先生が子供に対して苦手意識を持つのはよくないと思いがちだけど、ボクは「自分はこういうタイプの子が苦手なのだ」と認識しているほうがよいと思っている。

自分の苦手なタイプの人を認識していることで、それならばどう接していけばよいか、自分なりに改善できるよう工夫しようという気持ちになるからだ。

「先生、嫌い!」は「私をもっと見て!」のサインかもしれない

これは一例だけれど、ある子が「ぬまっち、大嫌い」って正面切って言ってきたことがあった。

だから「ふーん、そうか」と言い返した。

すると、「大嫌い」ってわざわざ週に何回も言いに来るんだよね(笑)。

そこで、「もしかしたらこの子は、自分のことをボクにもっと見てほしいのかもしれない」と気が付いたんだ。そこからはうまくその子と関われるようになったよ。

だから、「先生、嫌いや」と言ってくる子は、ネガティブな気持ちをアピールすることによって、先生はもっと自分を見てくれるのではないかという期待があるんじゃないかな。

もしくは、先生に気付いてほしいようなことがあるのかもしれない。

「クラス全員に好かれることはありえない」という視点をもちつつ、「嫌い」と言われたら、その言葉を否定的に受け取るのではなく、その言葉の裏には、「もっと自分を見てほしい」というメッセージが隠されているかもしれないと捉えることが大事なのだと思う。

「嫌い」と言ってくれる子とは、
関係改善の余地がある

ボクも、「ぬまっち怖い」とか「ぬまっち嫌い」って言われたことがあるけれど、

でもそういう子ほど、卒業しても結構つながっているんだよね。

ちゃんと意思表示をしてくれる子は、関わるチャンスをくれているので、実はいい子だし、ラッキーだと思うようにしている。

大人だって恐らく本当に嫌いな人には、わざわざ「あなたが嫌い」と言いに行ったりしないよね。夫婦や恋人でも、相手との関係を回復したいと思っている段階では喧嘩や口論をするけれど、「別れよう」と決心したり、離婚が決まっていたら、同居していても喧嘩しなくなったりする。

「一緒に仲良くしたいから、ここを直してほしい」とか「一緒にいてイライラしたくないから、これをやめてほしい」という気持ちがあるから喧嘩をするわけだよね。

逆に言うと、自分に「嫌い」と言ってくれる段階では、まだ関係をよくする可能性があるということなんじゃないかな。

反発する子には、その子を
注目してあげる日をつくる

これも一例だけれど、自分を嫌いと言ってくる子供がいたら、その子のことをじっと見るだけでも意外と効果があるよ。

休み時間などに、声もかけずに、ただずーっとその子が動いてるのを見ているだけでいい。

その子がボクに気付いて、「なに?」って聞いてきたら「見てるだけ」って答える。

「なんで、見るの? 気持ち悪いからやめて」

と言われても「いいじゃん。見てるだけだもん。観察だよ」と言って受け流す。

あまりにしつこいと、「もう見ないでよ」と怒り出すよね。

だから「もう分かったよ」と言って、ボクが下向くと、その子は横目でチラチラとボクのことを見て、自分をちゃんと見ているかをチェックしているんだ。

そこで、「ああ、やっぱりもっと注目してほしかったんだな」と改めて気づいたりする。

ただし、毎日毎日しつこく追いかけまわすとストレスに感じてしまうから、要注意。

「今日は君のことずっと見てようかな」などと冗談ぽく言いながら、ときどきしっかりとその子を見る日をつくってあげるとよいと思うよ。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/

取材・構成・文/出浦文絵

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