毎日続いて効果大!子供の日記にコメントする時のルール

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」【毎週土曜10時更新】
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

独自の学級経営&教科指導で注目を集める、「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。
実は教師になってからずっと、毎日欠かさず子供たちと日記のやりとりをしているそうです。多忙を極めるぬまっち先生が、なぜどのような工夫をして、全員分の日記を読み、コメントを書いてその日中に返しているのか、継続の秘訣と注意点を教えてもらいました。

撮影/下重修

日記を即日で返すのは、怠惰な性格を自覚しているから

ボクが子供たちと日記を続けている話は以前にしたよね。

ちなみに、日記を書かせているノートは、連絡帳と家庭学習用のノートも兼ねているので、10ミリ方眼のB5ノートを使用している。

そのノートに毎日日記を書かせ、毎朝全員分集めて読み、コメントを書いてその日に返却している。

教師の働き方改革が話題になっているのに、「日記を毎日続けるなんて無理!」って思っている人もいるんじゃないかな? 

ボクが毎日子供たちに日記を書かせているのには、日記には大きなメリットがあるからなんだけど、今回は、忙しい日々の中で日記を継続させるためのボクなりの工夫を話そうと思う。

日記はボクと子供の大事なコミュニケーションツールでもあるので、僕にとっては最優先事項。ボクは日記を読んでその日に返すことを自分自身に課し、一日の仕事をやりくりしている。

日記を「即日返す」ことを、半ば強引に自分に課しているのは、自分のだらしなさを縛るためなんだ。

漢字ドリルのチェックやテストの丸付けなど、「後でやろう」「家に帰ったらやろう」と思っていたのに、なかなか手をつけられず、結局溜め込んでしまうことってあるよね。

そもそもボクは面倒くさがりだから、もし「しっかり読むから明日返すね」なんて子供に言ってしまったら、絶対にずるずると返却が遅れてしまうだろう。

そこで、「何があっても、その日のうちに返す」と決め、そのためのシステムをつくることにしたんだ。だって、せっかく書いた日記に先生がどんなコメントしてくれるか一日中気になっている子もいるでしょう? そういう子供の気持ちにはちゃんと応えたいよね。

隙間時間を徹底活用! 時間との勝負を楽しむ

AノートとBノートと2冊ノートを作り、Aノートに日記を書いて提出し、先生が返事を書いている間に子供はBノートを書くという方法もあるけれど、これをやってると一日返却が遅れるんだよね。

「お母さんとケンカしました。どうやって解決したらいいかな?」なんて相談事を書いてくれた子に翌日返事を書いても、恐らくもう解決しているだろう。それじゃあ意味がないって思ったんだ。

日記をその日のうちに返すための工夫としては、隙間時間を徹底的に利用すること。

専科の時間はもちろん、5分休憩や給食の時間、掃除の時間など、勤務中の時間はすべて無駄にはしない。1冊でも2冊でもとにかく読むことを心がけている。

ボクは何かと競争するのが好きだから、時間と競争するつもりで必死にやっている。

「この5分で3冊読む!」などと、ゲーム感覚でやっているから続いているのかもしれない

コメントは短く、簡潔に書く

コメントを長く書かないのもポイント。

返事を長く書いても相手に伝わるとは限らない。理想は、短くて気の利いたコメントを書くこと。

継続は力なりとよく言うけれど、長年続けたおかげで、コメント力は格段に上昇してきたと思う。短いけれど、気の利いたコメントを、ぱっと返せるようになったのも、即日に返却できる理由かな。

慣れないうちは、あまり考え込まずに、先生がちゃんと読んでくれたということが伝わるコメントでよいと思う。

ボクの場合も、特に高学年の日記に対するコメントはかなりシンプルだよ。

5、6年になると書く力がついてくるから、たくさん書いてくれる子が増える。
でも時間内に全員分読まなくてはいけないから、全部読んでからコメントを書くのではなく、読んでる途中から「なるほど」「うーん」などとコメントを書き込んでいく。

子供→「はだかで寝たら風邪をひきました」
ボク→「おーい!」「まじか!」

とかね。

まずは、継続することを目的に、できるだけシンプルなしくみやコメントを工夫してみよう。

注意点①秘密は必ず守る

日記の最大の留意点は、「秘密は絶対に守ること」

基本的には保護者も読まないほうがよいと思うから、保護者会などで、子供の日記は極力読まないでほしいとお願いしている。

「見せてほしいです」と言う保護者もいるけれど、「親御さんは見ないという前提だから書けることがあります。もちろんどうしても親御さんに伝えなくてはいけないことが書かれていたら、こちらからちゃんとご連絡します」と伝えているよ。

注意点②批判的なコメントは書かない

もう一つの注意点は、基本的に子供のメッセージに対する批判的なコメントは書かないこと。

例えば、「コレをやってみたい」というメッセージが書いてあり、その内容がくだらなかったり、「もっと君には頑張ることがあるだろう」って思うこともあるけれど、絶対にディスらないこと。

きょうだいげんかの愚痴を書いたら、先生に「そんなこと考えている時間があったら、もっと漢字を頑張ろう」というコメントを返されたとしよう。もし子供の立場だったらどう思うだろう?

子供の本音を聞き出すツールとしての日記の効力は、一瞬で失われるだろう。

注意点③子供のメッセージに反論しない

また、担任や他の先生に対するクレームや文句が書いてあっても、絶対に否定しないこと。

「今日の先生の態度はおかしい」とか「先生のコメントはひどい」なんて書いてきても、否定したり、反論したりしないこと。

「そう受け取ってしまったのならごめんね」とひと言謝ろう。

気持ちを吐き出すことが目的なのだから、まずは相手の気持ちを受け止めないといけないよね。

注意点④当日返せそうもないときは
早めに伝え、正直に謝る

「その日中に返せなかったらどうしよう」と不安に思っている人がいるかもしれないけれど、それはしかたないと割り切ろう。

もしその日中に日記を返せなかったら素直に謝ること。 朝、一日の予定を確認し、どうしても時間がつくれそうもないと思ったら、朝の会で「注意報」を出しておくといいと思う。

「今日の日程は、専科がないし、体育や行事で外に出ることが多い。日記をチェックする時間がほぼないので、先生も全力を尽くすけど、今日中に返すのが無理な可能性があります。無理な場合は明日ちゃんと読みます。ハンコが付いていたら見た証拠。付いていなかったら見てないということ。それで判断してね」などと伝えておくといいだろう。

ボクは毎日クラス全員分の日記を読み、一人ひとりにコメントを返しているのがすごいって言われるけれど、保護者もすごいよね。
毎日違うメニューで家族のご飯を作っているんだよ!!

僕も独身時代は自分の食事は自分で作っていたけれど、面倒だなと思ったら毎日同じメニューを作っていたし、自分一人分だから「飽きる」なんて文句も言われない(笑)。

みんなが飽きないように違うメニューの食事を、時間内に、毎日作るってホントにすごいよ。 きっと親御さんたちも自分の性格に合わせて、継続的に続けられる方法を編み出しているんじゃないかな。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『「変」なクラスが世界を変える』(中央公論新社)他。

取材・構成・文/出浦文絵

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