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新型コロナ対策で見えてきた学びの場としての新しい学校像

特集
新型コロナ対策:新しい授業と学級づくりの知恵、続々更新中!

新型コロナウイルス感染拡大と、それに伴う一斉休校などにより、各自治体、各学校でさまざまな対応が求められています。こうした非常時に、学校や教育行政はどうあるべきか、子どもの学びをどう保障すればよいのでしょうか。また、その実現に向けて校長にはどのようなマネジメント力が求められるのでしょうか。広島県教育長の平川理恵氏に考えを述べていただきました。

平川理恵広島県教育長
平川理恵(ひらかわ・りえ) 民間企業に就職後、1999年に退社し、留学斡旋会社を設立。2010年、神奈川県横浜市立市ヶ尾中学校校長に就任し、日本人女性初の民間人校長として学校改革に尽力。横浜市立中川西中学校でも校長を務め、2018年より現職。

新型コロナウイルス感染症対策で見えてきた学校の姿

新型コロナウイルス感染症によって、学校が臨時休業を余儀なくされ、「学びの機会の確保・子どもたちの心身の健康」の観点から、ICTの活用が注目されています。

ICTについては、今年度、本県では県立高校の81校中35校で保護者が費用負担して生徒のPCを購入するBYOD(Bring Your Own Device)による1人1台環境の整備を決めていましたし、県教委の中に「学校教育情報化推進課」というICT関連の部署を立ち上げ、学校のICT推進に本格的に着手していました。また、昨年度からGSuiteの研修を教育センターで行っていました。

そういった意味では、偶然にも新型コロナウイルス対策の「助走」はできていたと言えます。現在は、新型コロナウイルス対策の中で、4月臨時議会で新たに約8.8億円の補正予算を組み、この取り組みを加速させているところです。

オンライン学習を実現するためには「三種の神器」が必要です。それは、「デバイス(端末)」「通信手段(Wi-Fi環境など)」「アカウント(Google Classroom など)」です。

クラウド上に設けられた仮想の教室に、児童生徒がそれぞれのデバイスから各自のアカウントで入室して学ぶのです。本県では、クラウドサービスを利用できるよう、県内すべての児童生徒に必要なアカウントを無料で確保し、各市町教育委員会と連携して取り組みを進めています。

また、デバイス等の調達を急いでいるところですが、新型コロナウイルス感染症の影響で市場でもPC端末やモバイルルータ等が不足しているのが現状です。ですから、場合によっては、児童生徒や保護者、教職員の私物の使用もお願いして、この非常時を乗り越えるしかありません。児童生徒の学習に遅れを生じさせないためには、スピード感をもって、できることからすぐに始める必要があると思います。

もちろん、リアルな学校の重要性も改めて実感しています。オンライン学習は有効なツールではありますが、人間は社会性のある生き物なので「オンラインだけでは何か満たされない」というのが実情でしょう。また、小学校、中学校、高校、特別支援学校と校種も異なれば、発達段階や成長過程も幅広で、オンラインですべての学びが完結することはありえません。リアルな学校でないと難しいものも少なくないのです。

非常時だからこそクリエイティブに

コロナ禍で学んだのは、「非常時に何ができるのか」です。県教委のスタッフには「今は平常時ではない。さまざまな制約があるのは承知しているが、こういう状況だからこそクリエイティブに、それを乗り越える世界観の共有やできる方法を創出してほしい」と繰り返し発信しています。

学校においても、子どもたちの学びに遅れが生じてはならないと、先生方はそれぞれが独自に工夫をされて、さまざまな取り組みにチャレンジしています。

「ICTを使った授業は不慣れで大変だけれども、どうやったらうまく伝わるか、わかりやすいか。そういったことを考えながら準備していると楽しい」といった声が私のところにも聞こえてきました。子どもたちのためにすべきことを最優先し、何ができるのか懸命に模索する教職員を支えることが、管理職である校長の務めでしょう。

学校の本質が問われている今だからこそ、学校のことを見直してみてほしいと思っています。学校には、授業、学校行事や部活動、校務などたくさんあります。非常時だからこそ、限られたリソースの最適化がいつも以上に求められます。まさに「ピンチをチャンスに!」です。

学びの場としての新しい学校像を思い描き、果敢にチャレンジしていただきたい。教育委員会も、そういったチャレンジを支援したいと思います。

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