学級目標の作り方もわからない!【4年3組学級経営物語2】
4月①「学級づくり」にレッツ・トライだ!
文/濱川昌人(よりよい学級経営を考える大阪教師の会)
絵/伊原シゲカツ
新任で4年3組を任されることになった渡来勉先生。心の中では理想の教師像を描いているけれど、 4月の学級開きにあたって不安もいっぱい。はたして、学級経営は無事にこなせるのでしょうか!?
目次
<登場人物>
学級生活の「基盤となる考え方」とは
「最近いつも騒がしいし、ケンカが多いんです。始業式の頃は、絶好調だったんですけど…」
新学期早々の職員室。4年3組担任の渡来勉先生は、学年打合せ会で悩みを打ち明けました。
人生初の学級担任は、戸惑うことばかり。
「私も随分苦労したわ。 “ 学級づくり”では…」
そう呟いた少し先輩の葵ゆめ先生は、2組担任。
一組担任で学年主任の大河内巌先生は、二人の様子を見て打合せ簿を静かに閉じました。
「今日は、学級づくりについて語り合おう…」
「まだまだ自分中心の子どもたちが多いんだ。4年生は…」*ポイント1
学級づくりについて語り出した主任。慌ててメモする渡来先生。
ポイント1
小学校時代“ど真ん中”の4年生。まだ幼さが残っていますが、幼児期から少年期への著しい成長が始まる時期。過渡期の急成長に驚かされることもあるでしょう。でも、それゆえに支援・援助が必要な時期なのです。ど真ん中世代の発達的特徴や実態、家庭や地域の影響などをしっかり把握し、適切に指導しましょう
「だから、日頃の集団生活や学習では、相手や全体のことを考えて行動する。そして、一人ひとりの気持ちや状況を大切にして思いやる。人としての基本を体験的に学ばせ、彼等自身の自主的な学級づくりの基盤とする必要があるんだ」
遠慮がちに、葵先生も話し始めました。
「学級生活でのルールやマナーの指導も大切。してはダメなこと、なすべきことなどをきちんと教えて“ 学級のスタンダードな考え方”を定着させていくんですよね」*ポイント2
『注意するだけじゃ、ダメなんだなぁ…。よーし、明日から学級スタンダードにトライだ』
メモをしながら、ブツブツ独り言の渡来先生。
ポイント2
学級づくりの最初の段階では、担任がリーダーシップを発揮して、子どもに望ましい集団活動を体験的に学ばせていきます。学習でも、スポーツでも、まず基礎基本を身に付けることが上達のポイントです。先生が先頭に立って集団活動を進めることで、学級内にルール遵守の雰囲気や行動規範が生まれます。これが「学級のスタンダード」な考え方で、学級内に信頼関係も芽生えていきます。
「担任の重要な仕事ですもの。今年はしっかり指導しているつもりです」
少し苦笑いの葵先生。
「2組は順調そうだね! 苦労した成果だよ」
嬉しそうに、主任は微笑みました。
「学級目標」づくりにトライだ!
「では次だ。集団活動には目標が必要だね。さて質問。学級としてめざすべき目標とは何か? そして、それを達成する手立てとは…?」
「ウーン…」
思わず下を向く渡来先生。
「学級目標をつくり、実現をめざします!」
葵先生が、しっかりと答えました。
「正解」
さらに熱く語る、大河内主任。
「理想の学級について、全員でよく話し合う。それを “学級目標”とする。そして、実現をめざし、一丸となって取り組むんだ」*ポイント3
「2組は学級目標をつくりました。スタートダッシュです!」
葵先生の発言に焦る渡来先生。
ポイント3
学級目標が大切なのは、教師の願いや熱意が込められているからです。1年間、学級が進むべき道標(目標)は、子ども・学校・家庭など、みんなの思いが込められたものでありたいものです。学校教育目標や学年目標を教室内に掲示し、めざすべき4年生像が描けるようにしましょう。そのためには、しっかり話し合って決めていきましょう。
(4月②につづく)
『小四教育技術』2017年8月号増刊より