新採4月休校中、どう教職を行う?【令和2年度新任教師のリアル】

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新任教師のリアル

これは、2020年4月に小学校の先生の道を歩き始めた、小学校教諭・優花と美咲(仮名)の対談連載です。ともに1997年生まれ、学生時代から仲がいい彼女たちは大学を卒業し、教師になりました。それから1か月。緊急事態宣言下で、新卒の教師として現場に立った彼女たちが、4月の日々を振り返ります。

(2020年4月24日、ビデオ会議システムを利用してインタビューを行いました)

休校中にできること【令和2年度新任教師のリアルドキュメント】
写真AC

●優花……東京都出身。理系に強く、数学の美しさと哲学性に魅了されている。某県の公立小学校に勤務。

●美咲……東京都出身。楽器の演奏、運動や体操が好き。学芸会や運動会など大きな行事の運営に興味がある。都内の私立小学校に勤務。

着任早々、リモートワークの日々

――これから子供たちの教育現場の第一線として働こう……としたところで、新型コロナウィルス感染拡大予防のための外出自粛生活がスタート。2020年4月7日には、緊急事態宣言が発令され、学校に行きたくても行けない日々が続いています。今、どのように過ごしているのでしょうか。

優花・公立小学校の3年生の担任になりましたが、在宅勤務が続いています。

美咲・私は私立小学校の2年生の担任になりました。同じく在宅勤務をしています。優花ちゃん、新学期はどんな感じだった?

優花・4月6日に出勤し、全員の先生が集まって自己紹介し、慌ただしく始業式をして、すぐに解散。それから在宅勤務だよ。周りの先生も初めてのことで、困惑しているという印象かな。週に1回は勤務校に行ってます。

美咲・私も同じく。

優花・ところで、始業と終業って報告している? 私は特にしていないの。同じく公立校の先生になった友達の中には、始業と終業を勤務校に電話で報告している人がいると聞いて、大変だなと思ったよ。

ゴミ箱の位置も、休校中の過ごし方もわからない

美咲・うちは自由な校風で任されているから、何もないの。他の先生に指示を仰いだら「先生の好きにしていいから」とおっしゃるけれど、仕事の暗黙のルールみたいなものは、経験していないとわからない。私からすると、教室の使い方ひとつとっても、やはり最初は決めてほしいと思ってしまう。

優花・うん。自由って難しいよね。

美咲・例えば、教室に置くゴミ箱の位置だって、右も左もわからないから、明確な指示をいただいた方がありがたいと思うことも。

優花・考えることはできても、その学校の動線を含めた様々なルールを知らない。自分でいいと思ったことが、誰かの負担になるのは避けたいしね。

対応力を磨くチャンスだと捉えたい

美咲・そうだよね。でも今、思うのは、誰もこんな休校は経験したことがないということ。私たちは、特別な年に先生としての人生のスタートを切った。それをプラスに捉えるようにしたいなと。4月はどんなことをしたの?

優花・教室の掲示物を作成し、子供たちの事務的な書類に印鑑を押して、休校中の課題をまとめて配付したことくらい。課題を学校に取りに来るのは保護者の方で、その日は子供たちには会えないの。だから、これからどんなクラスにしていこうかと、学級経営の本を読みなおしている。でも、クラスがスタートしていないから、実感がないかな。

美咲・私も同じ。「忙しくなるぞ!」と張り切って4月を迎えたのに、「あれれ?」って感じ。

優花・イレギュラーだからこそ、自分の対応力が磨かれると思っている。動けないからこそ、見通しと可能性を持ちながら、今後のことを考えている。教えたいこと、取り組んでいきたいことがたくさんある。学校の先生って、「子供に会うこと」が仕事なんだと改めて感じているよ。

リモート学級会で作った3つのルール

美咲・そうだよね。そのための勉強を重ねてきたのに、学校が始まらない。でも、私の勤務校は、ビデオ会議システムを使って、子供たちと週に1回のリモート学級会を始めたよ。

優花・そうなんだ! 私の学校は公立ということもあって、ICTの導入はもう少し先になりそう。美咲ちゃんは子供たちとオンライン上で何を話すの?

美咲・まだ2回しかやっていないんだけれど、自己紹介と、私の簡単な質問に対して子供たちが答えている。20人以上の子供に、私1人だから、限界はあるけれど、顔を見るとお互いに安心するよね。

優花・わかる。顔と動きを見ていると、伝わってくるものがある。でもあれは1人ずつしか話せないじゃない。どんなふうに進めているの?

美咲・ボードに約束を書いて、それを守りながら進行しているよ。

優花・どんなルール?

美咲・「指名された人が話す」「聞いているよ、とサインを出す」「誰かが話したら注目する」の3つ。

優花・なるほど。PCやスマホなどのデバイスがなかったり、ネット環境が整っていないご家庭もあるじゃない。

美咲・デバイスや通信環境については特に問題なかった。先生同士で、リモート学級会を始めることを決めて、開催日とアドレスを保護者の方にメールで連絡して、ほぼ全員が参加できたよ。

優花・そうなんだ…!

美咲・まだ授業までは難しいとは思う。そのうち先生同士で勉強会をしていこうという話は出ているけれどね。優花ちゃんはこの1か月で気が付いたことは何かある?

優花・私のクラスに、特性のある子供がいて、そういう子が普通に生活できるように、授業や生活において工夫すべきところが無数にあることに気が付いた。時間はたくさんあるから、専門書を読んだりして勉強しているよ。

美咲・子供の個性をどう捉えて、どう伸ばしていくかも、先生の仕事だよね。改めて、学校は勉強し運動するところだけじゃないんだ、って思うな。

優花・そうだよね。私たちも、まだ成長過程だもの。他の先生からもいろいろ学んでいきたいよね。

どんな自己紹介をした?

――ところで、最初に勤務校に行った時に、どのような自己紹介をしましたか? また持参した手土産などがあれば、教えてください。

美咲・私は新卒ということもあり、自己紹介をした程度です。特に何も用意せず行きました。

優花・私も新卒なので、シンプルに自己紹介をしました。手土産なども用意しませんでした。でも、他校から異動されてきた先生方から、お菓子をいただきました。初任給をいただいたときに、私ともう一人の新卒採用の先生で、一緒にお菓子を買い、勤務校に持っていきました。

美咲・私の学校は異動がほとんどないので、手土産の習慣はないみたい。

優花・私もよくわからなかったけれど、周囲の先生の様子を見ながら、そうしたほうがいいかな……と。

美咲・「郷に入っては郷に従え」という言葉があるけれど、私たちは郷には入ったものの、まだ生活が始まっていないからルールがわからないよね。

優花・ときどき、自分の無力さを感じることもあるけれど、いつかは学校が始まる。その時のために、焦らず、落ち着いて自分ができることに取り組んでいこうと思っています。


取材・文/前川亜紀

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