学校再開時の学力格差に克つ授業づくり4つのアイデア
学校再開後を「afterコロナ」で考えていた現場が多い中、「withコロナ」ではないかという考えが広がっています。「主体的・対話的で深い学び」は困難な状況がしばらく続き、かつ、休校期間中に広がった子どもたちの学力格差は凄まじい状況。そんな中で、どのように学校再開後の授業をデザインしていけばいいのか? 大阪府公立小学校教諭の浅野学先生からの提案です。
執筆/大阪府公立小学校教諭・浅野学

目次
軽重つけざるを得ないと覚悟をきめる
学校が再開した後の子どもたちの学びの在り方について、我々教員はどのように子どもたちの学びをデザインしていけばいいのでしょうか。まさに私自身にも課せられた課題をこの場でしっかりと言語化して皆さんと共有したいと思います。
私は、担任教師が授業づくりをするにあたって次の4つのポイントがあると考えています。
1、
「読書算」
の力はしっかりと保障する
第一に考えたいのは、子どもたちの「読書算」の力をしっかりと保障することです。なぜかと言えば、この力がしっかりと身についていないまま子どもたちが進級してしまえば、次の学年での学びに大きな影響を及ぼすからです。では、それぞれの項目を具体的に考えていきましょう。
まずは「読み」です。これは「音読」です。国語科では、ついつい 「読解」 に時間が割かれがちになりますが、思い切って「音読」に偏った指導でいいと私は考えます。繰り返し音読をされ、読み込まれた国語の文章は読解も容易になります。音読は、自分にしか聞こえないくらいの小さな声で音読をする「微音読」や唇の動きで読む「唇読み」などは、withコロナでも取り組みやすいと思います。
次に「書き」です。これは「漢字」です。漢字を習得できていないままでは、次年度の教材を読むことも困難です。ノートに漢字を何回も書かせるという指導には、個人の習得状況によっては無駄が多いと言えます。
それならばテストを繰り返し行うのはどうでしょうか。その上で、各個人の苦手な漢字をそれぞれが練習するという「個別最適化した漢字学習」は効率がよいでしょう。
最後は「計算」です。これはそのまま「計算」です。四則計算であったり、筆算であったり、それができないと次年度以降の算数の学習に大きく影響を及ぼしそうな単元を中心にしっかりと時間をかけてあげましょう。
2、「思いきった短縮単元」を決める
教科書の中に「必要の無い単元」はありません。しかし、仮に休校期間が伸びてしまい半年間の休校期間になったとして、「すべての単元をしっかりやります」と言えるでしょうか。半年分の遅れを取り戻すために、全ての単元を早足でやった結果、子どもも教師も学びが不完全燃焼に陥ることは目に見えています。それならば、苦しい決断ではありますが、あえて「思いきった短縮単元」を決めるという選択肢を持つのもひとつの考え方だと思います。
実際、3月の一斉臨時休校の際も、子どもたちは学んでいない単元がありましたが、それをもって進級を認めないということはないという文科省の見解もありました。子どもたちの充実した学びのためにも選択肢は多く持っておくことは必要だと考えます。
少し語弊がある言い方かもしれませんが、算数科は単元によって「次年度への影響」を及ぼす重要度が違います。これを中心に考えるのならば、例えば、3年生に登場する「そろばん」などは思い切って指導時間を大きく削るというのも一つの考え方です。
学年の先生で相談して、指導時間の配分を考え直すのも、まさに新しい学習指導要領が掲げる「カリキュラムマネジメント」になるのではないでしょうか。