小5国語「きいて、きいて、きいてみよう」指導アイデア
教材名:「きいて、きいて、きいてみよう」 光村図書
指導事項:A「話すこと・聞くこと」エ、言語活動 イ
執筆/福岡県公立小学校教諭・麦田真理
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、福岡県公立小学校校長・城戸祥次
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
話し手の意図を考えながら聞き、自分の意見と比べるなどして考えたことをまとめる力を育成します。
②言語活動とその特徴
「友達のよさをインタビューし合って紹介する」という言語活動を、本単元に位置付けます。
本単元は、「きく」という活動に焦点を当てたものです。相手の魅力を引き出すという目的をもって「きく」ためには、相手が話している内容と、そこからうかがわれる相手の思いや気持ちを豊かに想像し、相手のイメージが生き生きと伝わるようなやり取りを心がけるようにすることが大切です。
中学年までは、あらかじめ用意していた質問に対して、答えが得られるだけでよかったのですが、高学年になると、それに加えて場に応じた質問項目を付け足しながら創造的なやり取りをし、情報を通じてインタビューを受ける側の人柄まで浮かび上がらせるということを目指す必要があります。
- インタビューをするときのきく → 訊く
- インタビューをされるときのきく→ 聞く
- 記録を取るときのきく → 聴く
- 報告を聞くときのきく → 聞く
このような四つの「きく」の違いや、それぞれの「きく」行為で気を付けなければならないことを、体験を通して感じ取らせていくようにします。
この単元をきっかけに、他教科の学習や生活で活用することができるようにすることで、生きて働く力の定着につなげていくようにします。

単元の展開(6時間扱い)
主な学習活動
第一次(1時)
①話の意図を考えてきき合い、「きくこと」について考えるという課題を理解し、学習計画を立てることができる。
→アイデア1 主体的な学び
【単元】話の意図をきき合い、「きくこと」について考えよう
第二次(2~5時)
②友達にインタビューする話題を決め、質問を考える。
③インタビューの仕方を確かめる。
→アイデア2 対話的な学び
④三人のグループでインタビューをし合う。
⑤インタビューの内容を報告し合い、気付いたことや考えたことを伝え合う。
第三次(6時)
⑥単元の学習を振り返り、それぞれの「きく」について感じたことや考えたことを話し合い、学習をまとめる。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 問いを追究する単元の設定

単元の導入ではまず、「休みの日の過ごし方」など、友達に詳しくきいてみたいと思う話題について試しのインタビューをし、「きき手」「話し手」「記録」のそれぞれの役割でうまくいったところや、うまくいかなかったところを出し合う活動を通して、「話の意図を考えてきき合おう」という学習課題をつかむことができるようにします。
そして、よりよいインタビューをするための具体的な学習計画を立てるようにします。
これまでの経験を生かして、試しのインタビューをしてみよう。5分間続けましょう。
(きき手)考えていた質問をきき終わったら、インタビューがすぐに終わってしまいました。
(話し手)きかれたことに答えたけれど、相手が何を一番知りたいかわからなくて、答えるのに困ることがありました。
(記録者)全部書こうとしていたらだんだん追いつかなくて、きき直してしまいました。

【学習課題】
話の意図を考えて、「きくこと」について考えよう。

【学習のゴール】
よりよいインタビューをして、友達のよさや人柄を引き出そう。
アイデア2 一人学び・話合いを通して学び合う

「一人学び」「話合い(グループで・全体で)」を1時間の中に位置付け、対話的に学び合います。
まず子供は、モデルとなるインタビューの台本を持ち、音声を聞きながら、よいと思った尋ね方や答え方に赤鉛筆で線を引くようにします。また、その理由を付箋に書いて貼るようにします。……一人学び
そして、よいと思った尋ね方や答え方をグループで話し合うようにします。その際、友達の発表で気付いたことがあれば、付け加えてよいことにします……グループで話し合い
【グループで話合い】
「大好きな水泳についてききたい」ときいているところは、どんなことをインタビューしたいかが、相手にはっきりと伝わっていると思います。

【全体で話し合い】
最もききたいことを、はっきりさせておく……きき手
【グループで話合い】
「練習は、どれくらいしていますか」の質問に、「週に三日です。だいたい学校から帰った後に、クラブのプールで泳いでいます」と答えていて、きき手がききたいことを先に答えてから、さらに詳しく付け加えて答えていることがよいと思います。

【全体で話し合い】
きき手が知りたいことを考え、その答えを最初に伝える……話し手
【グループで話し合い】
「中川さんにとって、水泳とはなんですか」という質問に、「どう答えればよいでしょうか」と問い返しているところがあります。答えにくいときは、きき返しているところがよいと思いました。

【全体で話し合い】
答えにくい質問は、変えてもらったり、質問の意図をきいたりする……話し手
最後に全体で、「きき手」「話し手」「記録者」の気を付けることを確認します(教科書65ページ上段参照)……全体での話し合い
アイデア3 生活の中で活用するための意識を高める

インタビューをするときとされるとき、記録を取るときと報告を聞くときの四つの「きく」の立場で、どのような点に気を付けてきいたのかを話し合わせながら学習を振り返ります。
ここで出された意見や感想は、掲示物にまとめておいて、必要に応じて提示するなどし、今後の活動に生かしていくようにします。
▼活用できる場面を話し合う▼
- 社会科や総合的な学習の時間で、取材するときに生かしたい
- 誰かにインタビューをするとき、準備した質問だけでなく、質問を変えたり付け加えたりしたい
- 伝言や大切なことをきくとき、要点だけをメモしたり正確にきいたりしたい
役割が違うと「きく」ことで、理解し合うために気を付けなければならない点は変わります。その違いを実感させ、理解を図らせるためには、他教科領域の学習や生活で、四つの立場をまんべんなく体験させる場を、年間を通して設けていくことが必要です。
イラスト/横井智美
『教育技術 小五小六』2019年5月号より