小4国語「新聞を作ろう」指導アイデア
教材名:「新聞を作ろう」(光村図書 四年上)
指導事項:書くこと(1)ア・イ・オ 伝国(1)イ(エ)
執筆/京都府公立小学校教諭・深田知子
編集委員/文部科学省教科調査官・菊池英慈、京都府公立小学校校長・藤本鈴香
目次
単元で付けたい資質・能力
①身に付けたい資質・能力
本単元では、新聞の構成などの特徴を知り、記事にすることを決めて、伝えたいことが明確になるように文章を書くことができる力の育成を図ります。
新聞を作るとき、「読み手に分かりやすいように」という相手意識をもち、同時に「誤りのないように」「伝えたいことが伝わるように」という目的意識をもって書くことが必要です。伝えたいことを決めて材料を集め、選択し、どのように割り付けて書くかということを検討します。
このとき、文章の間違いを直したり、よりよい表現に書き直したりする推敲力の育成もめざします。

②言語活動とその特徴
最近では、新聞の電子化が加速している影響もあり、定期的な新聞購読数は減少傾向にあります。一方、学校生活では、学級新聞や学習したことをまとめるための新聞など、新聞を作る機会は多くあります。
本単元では、まず新聞の特徴を理解し、誰に・どんなことを伝えたいのか相手や目的をはっきりさせ、伝えたいことが明確になるように新聞を書くという学習を位置付けます。相手や目的をはっきりさせ、意欲をもって新聞作りに向かうことができるように、各教科や総合的な学習の時間との関連を図ることも考えられます。
単元の展開(15時間扱い)
主な学習活動
第一次(1~2時)
①読む人に分かりやすい新聞を作ろうという学習課題を設定し、どんな新聞を作るか話し合って学習計画を立てる。
【学習課題】読む人に知らせたいことがはっきり伝わる○○新聞を作ろう
②新聞を作る目的や相手を明確にし、作りたい新聞のイメージをグループで共有する。
→アイデア1 主体的な学び
→アイデア2 対話的な学び
第二次(3~13時)
③新聞を見て、新聞の特徴や作り方の手順を確かめる。
④記事にしたいことを話合い、取材の方法について考える。
→アイデア2 対話的な学び
⑤⑥⑦取材をして、材料を集める。
⑧⑨読み手に伝わるように、書き方を工夫して下書きをする。
⑩割付けを考える。
⑪記事を読み返して推敲する。
⑫⑬写真や図を選ぶときの注意を確認し、新聞を仕上げる。
第三次(14~15時)
⑭完成した新聞を読み合い、感想を伝え合う。
⑮学習をふり返り、自分に身に付いた力を確かめる。
→アイデア3 深い学び
アイデア1 相手や目的をはっきりさせて、作りたい新聞を考えよう
新聞は、読む人に伝えたいことを明確にして、記事にして発信するものです。そのため、誰に・どのようなことを伝えたいのかをはっきりさせる必要があります。
子供たちの「伝えたい」という思いの強さが、学習に向かう意欲につながります。各教科、総合的な学習の時間、学校行事などとの関連を図ると効果的です。
【誰に】
- おうちの人
- 友達
- 学年の人
- 学校の人
- 地域の人
- お世話になった人
【何を】
- 社会見学に行ったこと
- 運動会など行事のこと
- 社会科で学習したこと
- 総合的な学習の時間の学び
また、新聞の形式には、壁新聞のように貼り出す新聞、印刷して配付する新聞があります。相手や目的に応じて、どのような新聞を作るのか考えられるようにしましょう。
新聞作りには、さまざまな書くことの力が必要です。取材、構成、記述、推敲、そして書いたものを読み合って交流する力などです。どの力も大切ですが、子供の実態や年間指導計画を踏まえ、どの力を重点として取り上げるか考えます。
例えば、各教科、総合的な学習の時間、学校行事などと関連付けて「取材」の時間を減らし、その分の時間を「記述」や「推敲」に配分するなど、付けたい力を重点的に指導します。
指導事項をはっきりさせ、効果的な指導ができるようにしていきましょう。
アイデア2 グループで役割を決め、話し合ってよりよい新聞にしよう
グループでどんな新聞にするかを話し合い、協力しながら新聞を作っていきます。実際に記述するときには、一人ひとりで担当する記事を書いていきますが、グループでよりよい新聞にしていくために、何を記事にするのか、集めた材料をどのようにまとめるのか、伝えたいことが伝わる文章になっているのかなど、話合いが大切になります。
書くことは一人ひとりの活動ですが、対話を通して学習を深めていくことができるようにしましょう。
【新聞のテーマ例】
伝えたいことを付箋に書き出して整理していく、ウェビングマップで考えを広げてから記事に書くことを決めるなど、思考ツールを活用して話合いを視覚化する方法も考えられます。
アイデア3 よりよい新聞にするために話し合い、発信して感想を聞こう
新聞は、誰かに読んでもらうためのものです。そのため、自分たちの新聞を読んでもらい、伝えたいと思ったことが伝わったかどうか反応をもらうことで、学びをふり返るとともに、次への学習意欲へつなげていきます。
まずは自分たちで読み合って、相互評価する方法も考えられます。授業で大事にしたポイントを評価の項目として、チェック表などを活用して読み合います。
そして、単元のはじめに考えた相手に新聞を読んでもらい、分かりやすい文章になっていたのか、伝えたいことは伝わったのかを確認しましょう。「自分の思いが表現できた」という達成感や、「相手に伝わった」という成就感が次への意欲につながります。
【チェック表の例】

課題をはっきりさせるために、十分でなかったところを指摘してもらうことも必要ですが、子供たちの達成感や成就感のために、読んでもらう相手には、マイナス面ばかりではない感想をもらえるようにしましょう。
イラスト/佐藤道子
『教育技術 小三小四』2019年5月号より
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