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【指導計画】5年理科 天気の変化

2019/4/14

2020年度より全面実施される新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を実現し、資質・能力を育成することを目指しています。理科においては、「『理科の見方・考え方』を働かせ、見通しをもって観察、実験を行うことなどの問題解決の活動を通して、『主体的・対話的で深い学び』の実現を図るようにすることが重要である」とされており、その実現を目指した指導計画を個別に紹介していきます。 本記事で扱うのは、五年生の理科「天気の変化」です。

授業作りのポイント

① 導入において、子供が解決してみたいと思うような問題を、見いだすことができる場面を設定する。
② 観察・実験の構想の場面や考察の場面など、問題解決の過程の中で意図的に対話する場面を設定する。
③ データの信頼性への議論や、結果と予想の比較など、問題解決の過程を再考する場面を設定する。

単元の狙い

天気の変化の仕方について、雲の量や動きに着目して、それらと天気の変化とを関係付けて調べる活
動を通して、それらについての理解を図り、観察、実験などの技能を身に付けるとともに、主に予想や
仮説を基に、解決の方法を発想する力や主体的に問題解決しようとする態度を育成する。

単元計画<全三次・九時間>

一次(1~3時)

○定点カメラで撮影した動画を見て、雲の様子や天気の変化について関心を持つ(天気が変わりやすい日を選んで録画しておく)。
雲はどのように動くのかな?
○ 1 日の雲の量や動きを観察し、記録カードに書く(晴れのち曇りの日や、曇りのち雨の日など天気が変わりやすい日に実施する)。
○記録カードを基に話合いを行い、問題を見いだす。
天気は雲と関係があるのかな?

一次のポイント

●雲はおよそ10 種類あり、その中には雨を降らせるものがある。雨を降らせるものとそうではないものの違いについて比較し、雲の「量」や「厚さ」に着目させたい。そのため、一次では雲を観察し、気付いたことを話し合う活動を取り入れた。雲と天気とが関係しそうだと認識した上で、天気の変化について学習することが大切であると考えた。

二次(4~6時)

天気の変化は、雲とどのように関係しているのだろうか。
○観察結果や生活経験から、根拠のある予想をする。
○観察、テレビ、新聞、インターネットなどさまざまな資料を収集する必要感をもたせながら、予想を確かめる方法を構想する。
○調べたことを基に、データの信頼性やわかったことなどを考察する。
天気の変化は、雲の量や動きに関係があり、およそ西から東へと変わる。
♥天気を予想してみたい。

二次のポイント

●地上から見える範囲では限界があることに気づかせ、「時間的・空間的な見方」を働かせて、天気図など上空からの広範囲な視点から、天気の変化について考えることができるようにしたい。
●雲を観察すると、すべての雲が西から東へ移動するわけではない。地上付近の雲は、地上の風に影響を受け、違う動きをすることが多い。そのような子供の意見も大切に取り上げ、雲はどのように動くのかを、「時間的・空間的な見方」を働かせながら考えることができるようにしたい。また、1 日の雲の量や動きを観察する中で、雲の中には雨を降らせるものがあることに触れたり、積乱雲など子供にとって身近な雲を取り上げたりすることも大切である。

三次(7~9時)

今後3 日間の天気はどうなるだろうか。
○これまで学習したことを活用し、根拠をもって天気を予想する。
○観察、テレビ、新聞、インターネットなど、実態に合わせて予想を確かめる方法を構想する。
○予想した天気は客観性のあるものか、データは信頼性のあるものかを考察する。
今後3 日間の天気は、○○である。
♥雲についてもっと調べてみたい。
♥実際の天気予報の仕組みを知りたい。

三次のポイント

●雲の動きは、見える範囲の動きでは、ばらばらに見えても、もっと広範囲に視点を広げてみると、大まかに西から東に移動していることが捉えられる。「時間的・空間的な見方」を働かせながら、見える範囲だけでなく、もっと広範囲の動きを見ていく必要があることに気付かせたい。また、数日間の雲の様子から、「時間的・空間的な見方」を働かせ、雲はどのくらいの時間でどの程度動くと
いう見当を付けられるようにすることが大切である。

活動アイデア

ここからは、特に重要と思われるポイントを詳しく解説していきます。

その① 問題~観察・実験(二次 4・5 時)

●問題を見いだす
意見を整理し、確かなことを確認しながら、問題を焦点化していきたい。意見が分かれたところを全体で共有し、一人ひとりが自分の立場を明らかにすることで、問題を自分事として捉えさせたい。そして、話合いをすることを通して、「確かめてみたい」という気持ちを引き出し、解決すべき問題を見いだしたい。

問題

天気の変化は、雲とどのように関係しているのだろうか。

予想

  1. 黒い雲のことを「雨雲」と言うので、天気の変化と雲の種類は関係していると思います。
  2. 雲が多いときには、曇りになるので、天気の変化は雲の量と関係していると思います。
  3. 雨雲が動けば、雨が 降る場所も変わるので、天気の変化は雲の動きと関係していると思います。

予想を確かめるためには、どうすればよいか話し合いましょう。

雲の量は、地上から見ただけでは、多いか少ないか、よくわかりませんでした。

空の上から雲の動きを見てみたいです。

インターネットで調べれば、たくさんの情報が集められそうです。

さまざまな資料を集めるという意見が多いようですが、それでいいですか?

でも、みんなばらばらの日付で集めてもしょうがないから、期間を決めて集める必要があると思います。1週間くらいかな?

●対話しながら考えを深める
個人で予想し、その後、全体で共有しながら話し合ったり、観察・実験の方法を構想する段階で、個人で構想したことを、同じ予想のグループで話し合ったりするなど、個人の考えを交流することを通して、実証性や客観性を確かめさせたい。さまざまな考えに触れることを通して、考えを深めることができるようにしたい。

観察・実験

気圧配置の移り変わり(新聞映像のイメージ)
新聞の天気図を時系列でつなげました

新聞の天気図をつなぎ合わせると、雲がだんだん東に動いているように見えます。

インターネットの雲画像を時系列でつなぎました
インターネットの雲画像を同じようにつなげました

雲画像をつなぎ合わせると、同じようになっています。

僕のは、そうは見えないな・・・。貼る順番は正しいか確かめてみよう。

新聞とネットの、同じくらいの時間帯の天気図を並べて比較します
新聞とネットの天気図を並べてみました

同じ日付なのに、新聞の画像とインターネットの画像が少し違うから、どっちが正しいか調べてみよう。

●解決の方法の発想と条件制御
第五学年では、主に予想や仮説を基に、解決の方法を発想するといった問題解決の力の育成を目指している。その際、他のグループとの条件は揃っているのか、どの要因が影響を与えるのかなど、条件制御の考え方を進んで活用できる子供を育成したい。もしも観察・実験の結果が班によって異なった時、考察の場面で、実験方法は間違っていなかったかどうかや、条件制御はどうであったかなどを見直して、要因を追究することができる。

その②考察~結論(二次 6 時)

考察
新聞・インターネットの天気図・雲画像を何日か並べて、雲の動きを観察した後で

新聞の天気図を時系列で並べて観察します
新聞の天気図を時系列で並べて観察します
ネットの雲画像を時系列で並べて観察します
同じように、ネットの雲画像を時系列で並べて観察します

細かく見ると違う動きをしている雲もあるけど、全体的に見ると雲は西から東へ動いています。

天気も、西から東に移動しているように見えます。

結果の信頼性はどうか、予想と比べてどうだったか、分かったことなどを考えよう。

私たちの班は、気象庁のホームページで見つけた画像を、友達と何回も確認したので、間違いはないと思います。

天気の変化は、雲の動きと関係しているので、予想通りでした。

日本全体の雲の動きを見て、観察のときに西から東に動いていない雲は、ごく一部なんだとわかりました。

雲があるところが、曇りと雨の天気になっているから、雲の動きと天気の動きは同じということが確かめられました。

積乱雲など、雨が降るかは雲によって違うことがわかりました。

結論
天気は雲の量と動きに関係し、およそ西から東へと変わる

今回の学習で、疑問に思ったことや、次回やってみたいことはありますか?

どうして西から東なのか調べてみたいです。

他の季節の天気も調べてみたいです。

西から東へ変わると分かったので、自分で天気を予想してみたいです。

ポイント1:◎観察・実験の対話
観察・実験中も、子供は自然と対話をしていることであろう。観察・実験を行っている中で、方法を改善したり、修正したりする班が見られた場合は、どうして修正・改善を行ったのかを考察において取り上げたい。また、結果が出た後も、班の中で、客観性や再現性があるかを確かめる習慣を付けていきたい。

ポイント2:◎考察において再考する
考察においては、結果を比較したり、これまで学んだことと関係付けたりしながら、より妥当な考えをつくりだす必要がある。そのためには、観察・実験の結果から、データの信頼性を検討し、信頼性が得られないのであれば、再実験をすることが考えられる。また、班の結果が異なったのならば、実験方法や条件制御を見直す必要があるだろう。自分の予想と結果を比較してその要因を考えたり、結果を基に多面的に考察したりしながら、全体で合意形成を行い、結論を導きたい。
さらに、天気は、前線や気圧、ジェット気流の状態、地形などさまざまな要因に左右される。子供の求めがあった場合に、応じることができるよう補助資料を準備しておくことも必要である。地形については、他教科で学んだことを活用するのも有効である。

「主体的・対話的で深い学び」の視点で授業改善を

国立教育政策研究所 教育課程調査官 鳴川哲也

新学習指導要領では、子供たちや学校の実態、指導の内容に応じ、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」の視点から授業改善を図ることが重要とされています。これらの視点からの授業改善とは、単元をどのようにデザインするのかということです。
本実践では、一次、二次、三次と進むにしたがって、頭上の天気から3 日後の天気というように、対象とする範囲を広げていきます。このことによって子供が「時間的・空間的な見方」を働かせるようになるのです。「見方・考え方」を働かせることは「深い学び」の鍵となりますから、教師は、その単元で子供が働かせる主な「見方・考え方」をあらかじめ想定し、そのための手立てを考えることが大切です。
また、本実践では、「対話的な学び」として、結果を基に考察する際に、データの信頼性について検討するという活動を行っています。「対話的な学び」といっても、理科ならではの対話があるはずです。
より妥当な考えをつくりだすために、観察・実験の結果について、「本当にこの結果で考察してもよいのか」といった視点で話し合うことは、理科ならではの対話ですね。

『小五教育技術』2018年5月号

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