教頭は、なぜ「忙しくないふり」をするべきなのか? 安心安全な職場を作るための最善策とは【GKC|がんばれ教頭クラブ】
新任教頭のみなさん、電話対応、来客対応、保護者対応、報告書作成など、新しい仕事に多忙を極めている毎日だと思います。しかし、学校経営や危機管理の面から考えると、忙しくても忙しそうに見せないほうが得策です。教頭の表情や空気は、職員の相談のしやすさを左右し、小さな情報の共有や初期対応の速さに直結するからです。教頭の「機嫌」は、組織づくりを支える大切で実践的な力なのです。
執筆/元山形県公立学校教頭・山田隆弘(ようだたかひろ)
目次
教頭は、なぜ忙しくないふりをすべきなのか
「教頭の最大の仕事は、忙しくないふりをすることだよ」
以前、ある校長からいただいたこの言葉を、わたしは今もよく思い出します。
最初は少し意外でしたが、教頭の仕事を重ねるほど、その意味が分かるようになりました。
教頭ほど忙しい立場はありません。実際には、次々に判断を求められ、机の上に山積みされた仕事も終わりません。それなのに、なぜ忙しくないふりが必要なのか。その理由は明快です。
教頭が忙しそうに見える。すると、職員は遠慮する。遠慮すると、相談が遅れる。相談が遅れると、小さな事案が共有されない。
その結果、問題が大きくなってから表に出る。学校では、この流れが本当に起こります。
教頭の役割は、自分一人で何でも処理することではありません。小さな情報を早く受け止め、必要な人とつなぎ、組織として動けるようにすることです。
その入口をつくるのが、教頭の話しかけやすさです。
ここでいう忙しくないふりとは、余裕の演出ではありません。職員が安心して声をかけられる空気を保つことです。それは、教頭の立派な実務であり、危機管理です。

教頭の表情が止めるもの、それは学校の小さな情報
学校のトラブルは、突然大きくなるわけではありません。多くは、小さな違和感から始まります。
児童生徒の表情が少し沈んでいる。
保護者の言い方が少し気になる。
学年の足並みが少し乱れている。
担任が何かを抱えていそうだ。
こうした小さなサインは、早く共有されれば、早く手を打てます。ところが、その共有は空気に左右されます。
特に大きいのが、教頭がつくる空気です。
パソコンを見たまま返事をする。
険しい顔でうなずく。
「あとで」と言って終わる。
ため息まじりに話を聞く。
本人に悪気はなくても、職員は敏感に受け取ります。
「今はやめておこう」
「これくらいなら自分で何とかしよう」
「もっと大きくなってからでいいか」
そうして情報は止まります。
教頭が不機嫌そうに見えることの怖さは、雰囲気が悪くなることだけではありません。学校の感度が鈍くなることです。
小さな異変に早く気づける学校は強い学校です。逆に、話しにくい学校は、問題が深刻化しやすくなります。
教頭の表情ひとつで、学校の情報の流れは変わります。
