小6 国語科「つないで、つないで、一つのお話」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小6国語科「つないで、つないで、一つのお話」(光村図書)の全時間の板書例、教師の発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小六 国語科 教材名:つないで、つないで、一つのお話(光村図書・国語 六)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員・執筆/山梨大学大学院准教授・茅野政徳

1. 単元で身に付けたい資質・能力

本単元では、単元名「つないで、つないで、一つのお話」から思い浮かぶとおり、グループで一人1文ずつつないで、一つのまとまったお話をつくる活動を通して、言葉には相手とのつながりをつくる働きがあることに気付くとともに、自分が聞こうとする意図に応じて、話の内容を捉え、自分の考えをまとめる資質・能力をはぐくむことを目的としています。

2. 単元の評価規準

単元の評価規準

3. 言語活動とその特徴

本単元では、主体的かつ対話的に学習を進められるように、進んでつながりを捉えながら友達の話を聞き、見通しを共有しながら活動を進める必然性のある言語活動として、グループで協力して一つのお話を完成させる活動を設定します。

この活動を行う際には、「単元の展開」で紹介する様々なアイデアを教師が用意し、子供に紹介することで、何度も活動をくり返しながら知識・技能を身に付けたり、資質・能力をはぐくんだりすることが大切です。
それに加え、子供が取り組んでみたい方法を積極的に募って採用し、活動に生かすことでより主体的に学ぼうとする意欲が喚起されるでしょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 これまでの学びを生かす/子供と見通しを共有する

子供が過去の学びを本単元に生かせるよう、導入でこれまでに学習した物語文や日頃の読書で読んだ物語文などを想起し、そのストーリーを共通理解する時間を設けるとよいでしょう。
「こんな出来事が起こったな」「こんな展開だったな」「最後はこうなったな」、その気付きが本単元でお話をつくる際に役立つでしょう。

また、子供が見通しをもって学習を進められるように、本単元の大まかな流れを共有します。
これをロングスパンの見通しとしましょう。一つ目のお話づくりが上手にできたら、次はちょっと条件が増えたお話づくりへ。その次はみんなでアイデアを出し合いグループごとに違ったお話づくりへ、というイメージです。

そのうえで、一つ一つのお話づくりの見通しも共有するようにします。
これをショートスパンの見通しとします。「最初のお話づくりは、2周して完成だな」「二つ目のお話づくりは最後の1文につながるようにストーリーを考えるんだな」という感じです。

ロングスパンの見通しとショートスパンの見通しを織り交ぜながら活動を進めるようにしましょう。

〈対話的な学び〉 必然性、切実感、満足感のある対話を

対話的な学びとは、自分の考えを広げたり深めたりする学びです。
友達とペアやグループで活動すれば対話的な学びになるわけではありません。友達から新たな考えや根拠を得たり、考えの共通点を見出して自らの考えを深め自信をもったり、考えの広がりや深まりが生じることが必要です。

さて、本単元における対話的な学びを考えてみましょう。
グループで1文ずつつないでお話を作る際、「最後の1文が決まっている」「〇周で完成させる」など条件が多くなればなるほど難しさを感じる子供が出てくるでしょう。それまでのお話の流れに沿った1文が思いつかない子供もいるでしょう。そういうときに対話的な学びが効力を発揮します。
例えば、困っている子が友達のアイデアを聞きたいと思ったら、「聞きタイム」を設け、グループ内の数名の友達にヒントをもらいに行く。困っている子がみんなの考えを聞いて決めたいと思ったら、「決めタイム」を設け、数分考えを出し合う時間をつくるなど。
必然性と切実感、そして満足感のある対話を生み出すことがポイントです。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

この活動のおもしろさは、最初と最後の1文を同じにしても、途中経過はグループごとに異なるところです。だからこそ他のグループのお話を聞いてみたいという思いが生まれるのではないでしょうか。
もちろん、最初と最後の1文がグループごとに違ったり、お話のもとにする写真が違ったりすればお話はどこまでもそのグループのオリジナルなものになります。

端末の録画・録音機能を用い、記録したものを本時内や朝の会などの帯時間に聞き合ってもよいでしょう。また、教師からグループごとに違った写真や条件を送るなど、子供の興味がわく仕掛けをしてもよいでしょう。

6. 単元の展開(1時間扱い)

 単元名: つないで、つないで、一つのお話

【主な学習活動】
1時
・これまでに学習したり読んだりしたことのある物語文の展開や結末を発表する。
・4名程度のグループを作り、お話づくりに挑戦する。〈 端末活用 〉
条件:最初の1文は「今日は小学校生活最後の運動会です。」/2周で完成

・同じグループで、条件を選び、お話づくり第2弾に挑戦する。〈 端末活用 〉

条件①:一人称
最初の1文は「わたしは、涙がとまらない。」

条件②:最初と最後
最初の1文は「給食の時間が始まりました。」
最後の1文は「ボールが一つ校庭に落ちています。」

条件③:写真
この写真から連想できるお話づくり。

・自分たちでアイデアを出し合い、お話づくり第3弾に挑戦する。
例①: 2周ではなく、4周にする。
例②:グループの人数を増やす。
例③:途中で使う言葉やフレーズを決める。(「またね!」「ガッツポーズ」「ロケットが飛ぶ」「なまえつけてよ」など)

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

イラスト/横井智美

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