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なるべく子供にとってリアルな場面設定を行うことを大事に【「高校につながる英・数・国」の授業づくり #65】

連載
全国優秀教師にインタビュー! 中学校編 中1〜中3を見通す! 「高校につながる英・数・国」の授業づくり

前回から、前文部科学省視学官で、現関西外国語大学の直山木綿子教授も授業力を評価する、静岡県焼津市立焼津中学校の藤根聖太教諭の単元・授業づくりを紹介しています。前回は1年生の単元・授業を紹介しましたが、今回はそのような単元・授業づくりの考え方や教育観などについて紹介をしていきます。

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担任の先生やクラスの友達から「いいね」をもらおう

前回、紹介したような単元づくりを行うとき、「なるべく子供にとってリアルな場面設定を行うことを大事にしている」と藤根教諭は話します。

「学習指導要領の目標に、『コミュニケーションを行う目的や場面、状況に応じて…』とありますが、私は子供たちの目線に立って、『やってみたいな』と前のめりになれるような、リアルな『目的や場面、状況』を設定して、単元・授業をつくりたいと思っています。

振り返ってみると、私自身が学んできた英語は文法から入ることが多かったのですが、それを自分で使うとなると『難しいな』と思っていました。しかし、自分が授業をつくるときには、どうしても自身が受けていた授業がモデルになることが多いと思います。実際に若手の頃にそのような授業をやっていると、子供たちは椅子に座って淡々とメモを取り、型にはめて話すという形になっているわけです。

それを見ていて、『楽しいのかな』と思って生徒と話をすると、『まあ、受験もあるし、点数を取るために頑張っています』と、学ぶ目的が受験になってしまっているのです。もちろん、それが現実に必要なことも分かりますが、『本当は英語って、そういうものじゃないのに』『英語でコミュニケーションが取れて、伝わって嬉しいと感じられるような授業をしたい』と思うようになってきました。

そのために重要なのがリアルな場面設定で、明確な目的をもって対象とコミュニケーションを取りたいと思うことです。そのような場面や目的を設定できれば、子供たちは主体的に英語を使おうとします。そして必要に応じて、『これって、どうやって聞けばいいかな』『どう伝えようかな』と互いがもつ知識やアイデアを持ち寄りながら、必要な語彙や表現方法を身に付け、コミュニケーションを図る。そんな単元・授業づくりをしていきたいと思っています。

リアルな場面設定を行うことで、子供たちは目的をもって主体的に対話を行っていく。
リアルな場面設定を行うことで、子供たちは目的をもって主体的に対話を行っていく。

具体的には前回、紹介をした単元のように、『新しいALTが静岡のどこにも行ったことがないから、静岡のおすすめの場所を伝えたい』という、子供のリアルな思いからゴールを設定して単元を進めたいと思っています。加えて、表現し伝える対象としては、英語を母語とするALTに伝えるほうが子供たちにとってリアリティがあるので、ALTが来られる時間が週4時間のうち1、2時間だとしたら、その時間に単元のポイントを置きたいと思いますし、当然、単元のゴールにはALTが来られる時間を設定するようにしています。

そうやって、子供たち自身のリアルな思いから単元のゴールを設定し、意識させることが大事だと思っています。ただし、よりリアルな設定をと考えたときに、毎単元オリジナルの設定をしていくのは難しい部分もあって、そこは毎回苦労しているところでもあるのです」

特に時期やタイミングによってALTが来られないときもあり、そこで子供にとってのリアルな場面設定を行うことに苦労していると藤根教諭は話します。

「ALTのいない状況で、いろんな方法を考えて、ちょうど今チャレンジしているのは、インスタグラム風に写真と英文で絵日記のようなものを作り、担任の先生やクラスの友達から『いいね』をもらおうというものです。担任の先生の名前をもじって『ヒラスタグラム』と名付けたものをそれぞれが作り、最終的には品評会のように互いのページを公開し合って、コメントを付けたり、『いいね』を付けたりしていきます。

教科書の内容としては、『1年の思い出』なのですが、教科書の内容と大きく離れないようにと考えたもので、単元の頭、第1時、第2時のところで、いかに子供たちの気持ちを乗っけて最後まで引っ張っていけるか、苦労しました。今のところ、子供たちの食い付きはとても良い状況です。

内容としても、1年の締めくくりですし、読む側にも伝わるよう、『難しい単語を翻訳検索して使っても、みんなは分からないよね』と話しており、主に既習の単語や表現を使いながら自分なりのヒラスタグラムを作っているところです」

このような単元・授業づくりについて、『ヒントは本当に近くに転がっている』と藤根教諭。例えば、AIに関する教材の単元を扱うときに、バラエティ番組でAI家電を紹介する企画を見て、『AI家電のプレゼンをしよう』というテーマで単元をつくったこともあったと話しました。

子供たちには「つながる」ということを大事にしてほしい

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