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校長は学習指導要領改訂の方向性を発信していく必要がある【次期学習指導要領「改訂への道」#35】

連載
中教審レポートと関係者インタビューで綴る 次期学習指導要領「改訂への道」
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前回から、全国連合小学校長会常任理事であり、中央教育審議会の教育課程企画特別部会委員として論点整理の議論に参加し、現在は総則・評価特別部会の委員としてより具体的な議論にも参加されている、東京都武蔵野市立第二小学校の松原修校長にお話を伺っています。

2回目の今回は、改めて学習指導要領改訂の方向性や、それを広く社会全体に周知することの重要性などについて伺っていきます。

次期学習指導要領をどう生かすかは、教員の姿勢次第【次期学習指導要領「改訂への道」#34】バナー

「主体的・対話的で深い学びの実装」「多様性の包摂」と同時に、「実現可能性の確保」も行うことが重要

教育課程企画特別部会での議論は、まだ抽象的な部分も多くありましたので、私は意見表明の最初には「方向性としてはよいと思う」という話をよくしていました。

例えば、今後の検討の基盤となる考え方で、「主体的・対話的で深い学びの実装」「多様性の包摂」「実現可能性の確保」という3つの方向性が示されたわけですが、「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」していき、それによって、「生涯にわたって主体的に学び続け、多様な他者と協働しながら、自らの人生を舵取りすることができる、民主的で持続可能な社会の創り手をみんなで育む」ということに関して、多くの先生方も共感できるところではないでしょうか(資料1参照)。

資料1

次期学習指導要領に向けた検討の基盤となる考え方
教育課程企画特別部会の論点整理より抜粋。

ただし、「主体的・対話的で深い学びの実装」「多様性の包摂」を目指しながら、「実現可能性の確保」を図るには、一定の投資が必要です。例えば、人的支援かデジタル機器のようなものか、事例活用のための環境整備か、研修かなど、人的、物的、時間的、環境的な支援は必ず必要になってきます。特に「実現可能性の確保」は前の2つと少し質の異なる内容ではありますが、「主体的・対話的で深い学びの実装」や「多様性の包摂」と同時に、「実現可能性の確保」も行うことが重要です。この3つをバランスよく進めていかないと、せっかくの改訂も成果を上げることが難しくなるのではないでしょうか。このことは、論点整理の中でも、「これらの3つの方向性に基づく改善は、教育課程内外のあらゆる方策を用いつつ、三位一体で具現化されるべきものである。」と書かれています。

少し心配しているのは、「多様性の包摂」や「個別最適な学び」というと、すぐに自由進度学習をイメージする教員がいることです。また、教員の中には自由進度学習は何か特別なものだという思い込みがあるようにも感じています。しかし、これまでの授業でも、例えば図工のように、決められた時間の中で、一人一人の子供がそれぞれの作品を、それぞれのペースで進めていく教科もあるわけです。

逆に、例えば算数などでは、1時間目にはまずこれをやって、2時間目にはこれをやるというのが決まっていて、子供に委ねることはできないと思い込んでしまっているところもあるのではないでしょうか。

大切なことは、どうすれば子供たちが学びに主体的に向き合えるのか、また、主体的・対話的で深い学びが実現できるのかを考えることです。授業を1時間の中で、あるいは1つの単元を通して、全て子供に委ねるか、全て教員が進めるかの二者択一ではなく、この部分は全体で確認する必要がある、この部分は子供たちに委ねたほうがよいというように、これからは教員がデザインしていくことが求められます。

そのようなことも含めて、転換を図っていくための研修の時間をしっかり確保することが重要です。

そのためには、「高度専門職」としての教員の質を担保するための人的、物的、時間的、環境的な支援による「実現可能性の確保」がなければ、「主体的・対話的で深い学びの実装」も「多様性の包摂」も容易には進まないでしょう。

理念を具体的な授業を通した子供の姿によって納得してもらう

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