表現力を育てるにはどうするか【やき先生のとっておき学級経営の実践ノート】②

宮川八岐・元文部科学省視学官による「やき先生のとっておき学級経営の実践ノート」の人気の連載です。今回のテーマは、「表現力を育てるにはどうするか」。学級経営の内容の捉え方とともに、やき先生の学級経営の実践である表現力を育てるための具体的な活動について紹介していただきます。
執筆/元文部科学省視学官・宮川八岐

目次
「書くこと」を通して豊かな感性を育てる学級経営の工夫
やき先生は、これまで「学級経営研究会」「小中一貫の学級活動の指導充実の研究会」「よりよい人間関係や豊かな生活をつくる特別活動の実践」などの講演会などには、必ずと言ってよいほどに、学習指導要領における「学級経営」の記述に関する資料や「学級経営の内容」に関する資料を解説に入れています。なぜならば、学習指導要領において、あるいは学校現場において、必ずしもその概念的な押さえが明確でないこと、また教育活動の成果を上げるうえで学級経営が重要な役割を果たすものであるからなのです。
今回は、まずは「学級経営の内容」の捉え方を述べ、そのこととの関連からやき先生の学級経営の実践「表現力を育てる」について紹介したいと思います。
「学級経営の内容」とは?
今日における学級経営の基本的な捉え方は、「学校経営の基本方針の下に、学級を単位として展開される様々な教育指導の成果をあげるため必要な諸条件の整備を行い、運営すること」(「小学校生徒指導資料6ー生徒指導をめぐる学級経営上の諸問題」文部省、1989年3月、P1)というのが一般的になっています。あえて学級経営の内容を整理分類すると、次のようなことになると考えられます。
ア 学校教育目標、重点課題等に関する基本姿勢
学級の実態を踏まえた学級担任としての学級教育の方針(「学級目標」の設定)など
イ 学級における教育課程の実施
各教科、特別活動等の充実に向けた指導に関しての学級の実態を踏まえた効果的な展開の工夫、学級組織、評価計画と実施など
ウ 学級における教室(環境・安全)の経営
教室環境構成、掲示等の計画、美化や安全への配慮など
エ 学級における集団経営
児童理解や人間関係の指導、集団活動や生活指導等の指導、教育相談の計画など
オ 学級におけるその他の経営
保護者・地域等との連携、校内・学年組織の役割、学級事務など
このア~オは、原型が『新版 現代学校教育大事典1』(平成14年:ぎょうせい)にあるものですが、より分かりやすくするためにやき先生が加筆してまとめたものです。前回の「年度はじめの学級経営・学級活動スタート7つの実践課題」の多くの課題は、学級経営のア~オの内容になっています。
今回の連載テーマである「表現力を育てる」も、直接的には学級経営の内容のア~オにあるわけではありませんが、いわばやき先生なりの特色ある学級経営の重点課題であり、教科等の学びを豊かにし、発展させようとの思いによる実践であって、上記「学級経営の内容」のイ・ウ・エと深くかかわる学級経営の取組です。