Canvaで作る学級通信【応援!Canvaるセンセイ! ♯5】

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元京都府公立小学校教諭、Canva Japan Canva Education Senior Manager

坂本良晶
Canvaで作る学級通信【応援!Canvaるセンセイ! ♯5】バナー

この連載では、日本全国の様々な地域でCanvaを使って頑張っている先生の様子を、教育界のインフルエンサー、「さる先生」こと坂本良晶先生がレポート。読者の皆さんが真似できるアイデアをたくさん紹介してもらいます。

今回のテーマは『Canvaで学級通信』です。私自身も現役時代にはCanvaを使って学級通信を楽しく作っていました。さて、Canvaで学級通信を出すとどんな良いことが起きるのか。学級通信の実践をシェアしてくれるのは、神奈川県座間市立野台小学校2年生の岡田太郎先生。岡田太郎先生は、神奈川のTeacher Canvassadorとしても活躍しています。座間市は神奈川県で最初にCanva教育版(自治体向け)を導入した自治体で、市全体でCanvaをクリエイティブに活用しています。

Canva認定教育アンバサダー(Teacher Canvassador)・岡田太郎先生
Canva認定教育アンバサダー(Teacher Canvassador)・岡田太郎先生

執筆/座間市立立野台小学校教諭・岡田太郎
監修/元京都府公立小学校教諭、Canva Japan Canva Education Senior Manager・坂本良晶

Canva(キャンバとは?)
Canvaは、オンラインで使える無料のグラフィックデザインツールです。61万点ものテンプレートと1億点の素材(写真、動画、イラスト、音楽)があり、ドラッグ&ドロップの簡単操作で、誰でも簡単にあらゆるデザインを作成できます。パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットでも使えます。Canvaで作成したデザインを数クリックで印刷注文できる「Canvaプリント」と呼ばれる印刷サービスも提供。また、UD(ユニバーサルデザイン)フォントを採用し、特別な支援を要する子どもをはじめ、誰もが学びやすい環境の実現を目指しています。
https://www.canva.com/

https://www.canva.com/ja_jp/learn/easytodesign/

(1)「先生! このお便りは未来ですよ!」

学級通信

入学式。パイプ椅子に足をブラブラさせながら座る新1年生と同じくらい、期待と不安でいっぱいの保護者の皆さん。幼稚園や保育園から小学校へ入学すると同時に、わが子の様子が全く見えなくなるという話を耳にします。いわゆる「小1の壁」というやつです。

そこで、義務教育へ一歩踏み出したわが子への「うちの子、大丈夫かしら」「新しい環境に慣れたのだろうか……」といった不安を抱えるご家庭の気持ちに寄り添う学級通信をご紹介します。

「そんなの一部のICT大好き教員しかできないんでしょ」という声もあるかもしれません。私の勤務校でもそうでした。でも大丈夫! これを読んでいるあなたにも、必ずできます!

学級通信

「先生! このお便りは未来ですよ!」

これは個人面談で保護者から言われた一言です。紙面だけで届けていた学級通信が、Canvaを活用することで、動く! 聞こえる! ハリーポッターの魔法世界でしかあり得なかった動く新聞が、Canvaを使えば実現可能なのです。それも簡単に。

この学級通信は、皆さまが日頃発信されているような、「学級レク」について書いたものです。この記事を読まれている教育に熱い皆さまなら、このような内容でお便りを作成しているかもしれませんね。この程度であれば、Canvaの扱いに慣れてくれば、10分もあれば1枚の学級通信を作ることができます。もちろんAIに作文してもらう必要もありません。

子どもの頑張る姿や輝く笑顔は、どんなに文章が上手な先生でもお便りとして完璧に伝えるのは難しいものです。一方で、Canvaを使った学級通信なら「愛する我が子の姿」を直接届けられます。むしろ文章不要なほど。学級通信のゲームチェンジです。

紹介した学級通信は、実際に私が発行したものです。

上の動画は、計画していたドロケイができなくなり、急きょ室内で行うことになった「ジャンケン列車」をしている様子です。子どもたちが楽しそうにじゃんけんをして「やったー!」と大喜びしている姿、決勝戦を見守る周りの子どもたちの姿、そして何より笑顔で友達と電車を作り「みんなで楽しんでいるわが子の姿」を届けることができます。そして、ずる賢く、じゃんけんをせずに後半まで粘る子どもの姿もまた、保護者へ届けられます。

下の動画は「学年児童会さんへのインタビュー」動画です。クラスや学年を代表して頑張る意気込みを語ってもらい、動画として掲載しました。この形式を応用すれば、行事で活躍する子どもたちの声を直接届けることや、図工の作品を載せて解説してもらうこともできます。先生方が表現したいことや子どもたちが届けたい声を、直接動画や音声付きで保護者に伝えることができるのです。学級通信のあり方は、もはや写真と文章で伝えるだけではありません。

「え? 紙で発行しているんじゃないんですか?」という声もわかります。その通りです。学校で配付するのは白黒印刷したものです。しかし、Canvaを使った学級通信の場合、紙で発行した通信にリンクをQRコード化して載せることができます。「公開閲覧リンク」というアドレスをCanvaで発行し、Canva内のアプリから生成できます。私の学級通信では、題名「SMILE」の横にあるQRコードがそれにあたります。保護者の皆さまがそのQRコードを読み込んだ先に笑顔が待っていると想像しながら、自分も笑顔で楽しみながら作成しています。

「学級通信のURLを取得してQRコード化して載せるなんて私には無理」と考えている間に作成できるくらい簡単ですので、「太郎にだまされた」と思ってぜひ試してみてください。大丈夫、うそじゃない。

【公開閲覧リンク作成方法】

①右上の【共有】ボタンをクリック

①右上の【共有】ボタンをクリック

②【公開閲覧リンク】ボタンをクリック

②【公開閲覧リンク】ボタンをクリック

③【公開閲覧リンクを作成】をクリック

③【公開閲覧リンクを作成】をクリック

④リンクをコピーして【アプリ】をクリック

④リンクをコピーして【アプリ】をクリック

⑤「QRコード」と検索

⑤「QRコード」と検索

⑥【QRcode】をクリック

⑥【QRcode】をクリック

⑦URLを貼り付けて【コード生成】をクリック

⑦URLを貼り付けて【コード生成】をクリック

⑧QRコードが完成します🙌

⑧QRコードが完成

(2)保護者参加の「BBQ型学級通信」へ

学級通信
学級通信

生活科の授業で行った「季節を感じる体験遊び」や「おもちゃランド」の様子を学級通信に載せました。運動会や発表会のような完成された成果物も素晴らしいですが、日常の何気ない姿を伝えることで、保護者の方々に「日々の学校生活」を感じてもらえたら最高ですよね。

例えば、お楽しみ給食の時間や誕生日をお祝いする様子など、何気ない日常の一コマを動画で共有すると、「学校でこんな楽しいことをしているんですね!」と安心の声が届きます。たまに食べるフランス料理も特別ですが、休日の朝に食べる手作りホットケーキの温かさだって、また格別ですよね。どちらも大切です。

右下に載せているQRコードは、GoogleフォームのリンクをQRコード化したものです。お便りの内容を見ての感想や子育ての悩み、忘れ物などの連絡など、「学校に電話するほどでもないけれど、ちょっと気になる!」というご家庭のニーズに応える場としています。

余談ですが、私自身保護者の立場になってみると、「学校への問い合わせ」は意外とハードルが高く感じます。先生方、お忙しいですもんね。「よし! わが子に聞いてきてもらおう!」とは思うものの、“あのわが子”が唯一の情報源という状況。子どもに託した「各種お手紙」が先生に届くと信じて待つのですが、そのお手紙がいつまでたっても先生まで届かないことも……。わが子の肩を持つわけではありませんが、これは断言できます。「システムエラー」なのです。双方の連絡手段が紙と電話だけだった昭和後期とは違い、今は1人1台端末の活用が一般的になった令和時代です。

この「ご意見箱」を毎号載せることで、小さな困り感や悩み、つぶやき、失くし物など、「電話するまでもないが気になること」を大きな問題になる前にご連絡いただくことができます。不安の芽が出たタイミングで共有していただければ、すぐに対応することが可能です。不安の芽を摘まなかったことで「雑草を放置した夏休み後のヘチマ畑」のような状態になることを防ぎ、お互い気持ちよく情報伝達する役割を果たしているのです。

このフォームを活用したことで、思わぬハッピーな出来事がありました。以下、保護者の方からの投稿です。

「学級通信よりおもちゃランドの様子を拝見しました。2年生が1年生を精いっぱいおもてなししている姿がとても素敵でした。思い返せば、娘が1年生だった1年前、おもちゃランドの存在を知り、楽しみに待ちわびていました。幼稚園から小学校に上がり、お勉強など日々頑張っていた娘にとって『おもちゃランド』はなんだか分からないけれど、うれしいイベントでした。今年は自分たちが作り上げる番ということで、喜ばせるのが楽しみだなあと意気込んでいました。どんな反応をしてくれるかな? これは人気があるかな? といろいろ考えながら友達と協力して準備してきたことと思います。当日はプレゼントを渡したときのように、2年生の皆さんの幸せな気持ちも高まったのではないでしょうか。温かい行事ですね」

当初は「困り感を受け取る場」としての機能を想定していたご意見箱ですが、感謝の気持ちが投稿されるようにもなりました。このお便りは保護者の方に許可を取った上で学級通信に掲載しています。「こんな風に受け取っている方がいる」という事実が家庭に届くと、また別の保護者から感謝のメッセージが届くようになります。こうして学級通信に「ありがとうの花」が咲いていくのです。

このようなうれしいお声をいただけたのも、Canvaの力を借りて、心温まる情報発信を続けてきたからこそだと感じています。学級通信の目的は「学校でのわが子」や「集団としての高まり」を発信することを通して、教師と保護者が手を取り合い、ともに子どもの成長を見守り支えることにあります。Canvaの力を借りて、日本中にそんな教室が一つでも増えたら最高です。


次回も、Canvaで頑張る先生や、教室での活用事例などを紹介していきます! ご期待くださいね。

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