小学算数「構造的板書」の工夫とコツ(割合とその活用)

スッキリした分かりやすい構成で、子どもたちに伝わりやすい板書の書き方を目指す本シリーズ。今回は「割合とその活用」の単元を使って、図の有用性に気づき、自分で図を使えるようになることを目指した実践を、 樋口万太郎先生(京都教育大学附属桃山小学校教諭)に解説していただきます。

目次
算数スキル1:図を選択して取り組むために
「割合とその活用」
今回は五年生の難関単元である「割合」を扱います。割合に挑むためにはこれまでに紹介してきた構造的板書のスキルをフル活用します(これまでに紹介したスキルのいくつかを、※を入れて改めて説明しています)。つまり、今回は構造的板書の集大成といっても過言ではありません。
構造的板書により、「意図的に」気づかせ、そしてその気づきを「使える」ようになるきっかけを与えることができます。では、この単元では何に「気づかせ」、何を「使える」ようにするのでしょうか。この単元では、図の有効性に気づき、図を使い、問題に挑んでいきます。そこで、今回はこの単元で図を使えるようになることを目指した実践を紹介します。
これは別にこの単元に限った話ではありませんが、この単元では私は基本的に「く・も・わ」(くらべる量・もとになる量・割合)ありきの指導に反対です。(このことに関しての続きは、ページ下部に書いています)。

比較量を求める場面です。
問題文を3文で書きます(※関係を把握しやすいように)。そして、3つの図(紙に書いておくとよい。※この後の話し合いなどで移動できるように)を提示して、「この中で正しい図はどれかな?」と聞き、考える時間をとります。どれが正しいのか、手をあげさせて終わりではなく、間違えている①と③はどこが間違えているのか、そして正しい図にするにはどうしたらいいのかを考えます。「30%が100%を超えるのはおかしい」「□や30%の位置がおかしい」などと子供たちは言うでしょう。間違いを直せるということも図を使える証でもあります。(※ ①と③に間違えている図を配置したのは、その横に正しい図を描けるからです)。
②が正しい理由についても共有します。子供の中には、「1」や「0・3」といった数が見えていない子もいることでしょう。また、説明している段階などで板書上にはない図を使う子がいるかもしれません。そういった場合は、それも板書しておくことが大切です。
実際に立式し、答えを出せたあとは適用題に取り組みます。そのときには、①~③の図の中から自分が使いたい図を選択させ、取り組ませます(※選択しやすいように、適用題を下の部分に描くようにしています)。