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学校生活への期待と意欲を生む 年度はじめの出会いのつくり方【主体的に生きる力を育む学級経営の極意①】

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埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者

稲垣孝章
主体的に生きる力を育む学級経営の極意 バナー

子供たちが多様な他者と関わりながら社会につながり、主体的に生きる力を育んでいくために、教師はどのような学級経営をしていけばよいのでしょうか。学級経営・特別活動を長年、研究・実践してきた稲垣孝章先生が、全15回のテーマ別に学級経営の本流を踏まえて基礎基本を解説します。第1回は、年度当初における出会いの場のつくり方についてです。

執筆/埼玉県東松山市教育委員会教育長職務代理者
 城西国際大学兼任講師
 日本女子大学非常勤講師・稲垣孝章

 

年度当初の学級での「出会い」には、教師と子供の「出会い」、そして子供同士の「出会い」があります。なかでも初日の第一印象はとても大切で、これからの1年間が楽しみになるような時間にすることが求められます。そこで、次の3つのキーワード「教師の自己開示」「子供相互の交流」「初日の配慮事項」で、出会いの日のポイントをチェックしてみましょう。

CHECK① 教師の自己開示

「よい第一印象は二度とつくれない」、ココ・シャネルのこの言葉は「出会い」の大切さを示唆しています。「出会い」の3・3・3という言葉があります。最初の3秒で「いい感じ」などのイメージができ、次の30秒で「明るい性格」などの大体の印象が刻まれ、3分後にはほとんどの観察、評価がなされ、一度下した評価は変わりにくいということです。

人は知らない人に対しては、攻撃的、批判的、冷淡になる傾向があります。しかし、その人を知れば知るほど好きになる傾向があります。さらに、その人の人間的な側面を知った時に好意をもつとされます。ゆえに、教師が子供たちの前で、進んで自己開示をして、よりよい「出会い」となるように心がけていきましょう。

子供に教師の人間的な側面を伝えます

「『かめ・犬・金魚』……この3つの中で私の家で飼っているのは、どれだと思いますか。全員、正解です。すべてを飼っています。それぞれの写真を見てください」

また、教師の好きな食べ物や特技なども紹介して自己開示すると、子供たちとの「出会い」の関係も温かなものになります。さらに、手品や楽器の演奏などの実演を取り入れると、一層効果的な自己開示となり、子供たちの心に残る楽しい「出会い」の演出となります。まずは、教師が自分自身の心を開くように努めていきましょう。

学校生活への期待と意欲を生む 年度はじめの出会いのつくり方【主体的に生きる力を育む学級経営の極意①】 子供たちの心に残る楽しい「出会い」の演出をする教師の様子

CHECK② 子供相互の交流

学年内に複数の学級があり、学級編制が行われる学校では、子供たちの間に新たな人間関係が生まれます。単学級の学校では、そのままの学級で進級することになり、人間関係が固定化しがちな面があります。

しかし、子供たちにとって「進級」という新たな学年でのスタートにあたって、友達との「出会い」には、どの子も期待と不安が交錯することでしょう。

子供同士の人間関係は学校生活の基盤です

子供同士のよりよい人間関係の構築は、学級経営の基盤です。そして、子供相互の支持的な風土、共感的な雰囲気は、学級生活を豊かなものにし、学習意欲にも大きく影響します。

進級時の子供の「出会い」を大切にするため、一人一人の子供が自己開示を行い、新たな気持ちで友達とのよりよい人間関係を築くような活動を積極的に取り入れていきましょう。

学校生活への期待と意欲を生む 年度はじめの出会いのつくり方【主体的に生きる力を育む学級経営の極意①】 自己開示で子供同士の人間関係を構築する様子

CHECK③ 初日の配慮事項

子供との初日の「出会い」はかけがえのない時間です。しかし、現実的には、教科書を配付したり、様々な事務連絡をしたりする時間も必要です。時間的になかなか子供とゆっくり向き合うことができにくいのが現状でしょう。また、この日に入学式などの学校行事を予定している学校では、さらに時間的な制約ができてしまいます。

短時間だからこそ計画的な「出会い」にします

初日の「出会い」を効果的なものにするためには、時間の確保が欠かせません。そのために、連絡事項などは、可能な限り短時間で行うような事前の準備が求められます。例えば、配付物の一覧を学年だよりに掲載したり、学級の連絡事項を学級通信などに記載したりするなどの方法を取り入れ、時間を確保することも考えられます。

初日の教師と子供の「出会い」が子供の心に響き、1年間の学校生活への意欲につながる時間となるように努めていきましょう。そして、子供同士の「出会い」が心を通わせる時間となるように配慮し、1年間の学校生活への期待感が高まるようにしていきましょう。

 

イラスト/池和子(イラストメーカーズ)

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