なぜ、今、「日本ギフテッド・2E学会」を立ち上げるのか? ~キックオフ大会 in 高知へのお誘い~ ♯1
文部科学省の「ギフテッド」支援事業がスタートし、日本で初めてギフテッドの国際学会が開催された今年(2024年)は、日本の「ギフテッド」支援元年とも言えるのではないでしょうか?
そんな年の締めくくりにふさわしいイベント、「日本ギフテッド・2E学会」キックオフ大会が、2024年12月1日(日)10:00~から高知大学朝倉キャンパス(高知県高知市曙町2-5-1)で開催されます。全3回シリーズで、大会に登壇される方々と発表内容をご紹介します。心ある先生方、当事者の方々、そして保護者の方々、ぜひご参加ください。
目次
なぜ、今、「日本ギフテッド・2E学会」なのか?
トップバッターは、日本ギフテッド・2E学会キックオフ大会の大会長を務める高知大学大学院の是永かな子教授です。是永教授は、昨年12月から始まった有志による話し合いの場「日本ギフテッド・2E学会設立準備会」の中心人物です。
ー 今回の大会タイトルは、「『ギフテッド』に気づいて、ともに」です。このタイトルに、どんな想いが込められているのでしょうか?
是永 私自身がギフテッドの特別な教育的ニーズについて知ったのは、2010年のデンマーク・オーデンセ基礎自治体での調査時でした。その時に「ギフテッドの子どもの支援のためのギフテッドプログラム」の存在、そして高いIQゆえの困難さがあることを知りました。
その後、修士課程の院生がギフテッドについての研究をすることになり、日本のギフテッド当事者にも話を聞く機会がありました。ギフテッドの視点で学校現場を見てみると、高いIQゆえに困り感を持っていたり、不適応になってしまう子どもたちが見えてきました。
どこの学校にも、ギフテッドはいます。まずは先生や支援者がそのことに気付かなければ、支援にはつながりません。
また、日本の「ギフテッド」支援の方向性を考えると、「ギフテッドの子どもだけの分離した特別な場」を作ることは、適切で現実的だとは思えません。
こういった現状を踏まえ、2024年のキックオフ大会では、ギフテッドの存在にまず「気づく」こと、そしてギフテッドのニーズにも対応できる学校を、当事者、保護者、関係者で「ともに」つくっていくことについて共に考え、話し合いたいと考えています。
日本では、「ギフテッド」の定義は明確ではありませんが、その解釈に関する議論を行うこと自体に意義があると思っています。また今後は諸外国との交流も大切だと考え、本大会では外国語への翻訳を意識した「ギフテッド」(「 」つきのギフテッド)の表現を使います。
2Eの明るい未来に向けて今、私たちができること
1990年代から活動を開始したNPOえじそんくらぶの高山恵子先生は、日本の特別支援教育を牽引してきた存在です。そんな高山先生が、2E(※)の明るい未来に向けての提言をします。
※ 英語のtwice-exceptional(二重に特別な)の略称で、才能と学習困難を併せ持つ子のこと。
高山 NPOえじそんくらぶは、設立から25年を迎えました。その中で数々の才能にあふれる発達障害のある人たちと出会ってきました。けれども学校では障害だけに焦点が当たり、才能の部分は埋もれてしまうことが多い印象です。一方で才能が先に見つかり、中学生・高校生以降に発達障害だと診断されることもあります。2Eの子どもたちは、能力は高いけれども自立が難しい、という保護者の悩みも多く聞きます。
当日は自立に焦点を当て、2Eの子どもたちが能力を最大限に発揮する条件について考えるためのヒントをご紹介します。
発達障害の子どもたちの、問題行動とされる言動の多くには、神経伝達物質が関係しています。
その発生メカニズムは、発達障害をもたないギフテッドの方々の、浮きこぼれのストレスによるメンタル面の悪化と同様の場合もあります。神経伝達の観点からも、2Eの子どもたちが自己理解・他者理解を深め、自己実現へとつなげることができるような提案をします。
魅力溢れるプログラム
キックオフ大会には上記の発表の他にも、魅力あふれるプログラムがたくさん! ギフテッド・2E研究をしている研究者、興味がある研究者、医師、支援実践者、当事者、保護者たちが集まり、つながっていくこの「居場所」にリアルタイムで参加することで、「もう1人じゃない!」を、実感してみませんか?
「日本ギフテッド・2E学会」キックオフ大会 参加のご案内
大会参加の申し込みを受付中です。こちらのキックオフ大会(高知)開催要項詳細をご覧の上、お申込み下さい。
参加費
- 研究者 5000円
- 一般・教員・保護者 3000円
- 学生 2000円
「日本ギフテッド・2E学会」公式HPについて
学会のHPは、コチラです。また、ギフテッド学会設立準備会 のフェイスブックでは、随時、関連情報を更新しています
「これからのギフテッド・2E教育に関する研究のあり方を模索しつつ、身近にある実際的なギフテッド・2E 教育の課題を一つずつ解決する」という姿勢を踏襲しつつ、さらに発展をめざしていきます。
日本ギフテッド・2E学会は、2023 年 12 月に有志により始まった準備会を発展させ、全国の心理学、教育学、医学、社会学などの研究者のうちギフテッド・2E研究を行っている研究者、ギフテッド・2E研究に興味のある研究者、そして日々、ギフテッド・2Eの支援を行っている実践者に広く呼びかけ、2024 年 12 月以降に結成をめざす学会です。
日本ギフテッド・2E学会「学会について」より
12月2日(月)には、「こたえのない学校」の藤原さと氏の特別講義も開催
12月2日(月)には、大会の連動イベントとして、こたえのない学校の藤原さとさんが特別講義をされます。
特別講義は、12月2日(月)8時50分~10時20分です。
藤原さとさんの講義受講を希望される方は、gifted2egakkai@gmail.comにご連絡ください。
楢戸ひかる(ならと・ひかる)
ライター。「ギフテッド」や「学校に行かない選択をした子供たちのためのフリースクール」取材を通じて、新しい学びの選択肢を探究している。自身のサイト主婦er内に「ギフテッド関連記事のリンク集」がある。