「コグトレ」でコミュニケーション力を育てよう〔危険予知トレーニング(屋内でのリスク)〕#17ダウンロードプリント付

連載
子どもたちの認知機能を高める 教室コグトレ
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立命館大学教授・一般社団法人日本COG-TR学会代表理事

宮口幸治
「コグトレ」でコミュニケーション力を育てよう〔この人たちはどんな気持ち?〕#2ダウンロードプリント付 バナー

17回目の今回は、周りの状況から危険を予知して自分自身の命を守る力を養う「危険予知トレーニング」のなかの〔屋内でのリスク〕にチャレンジしましょう。「コグトレ」とは、宮口幸治先生たちが開発した「コグニティブ(認知)機能」に着目したトレーニングのことで、身体面、学習面、社会面の3方面から包括的にトレーニングする特徴があります。本連載では、社会面のトレーニング(認知ソーシャルトレーニング)を基に、感情を上手にコントロールしたり、相手の気持ちを考えたりするコミュニケーション力や危険のリスクを予知し、自分の命を守る力を高めるトレーニングを紹介します。ダウンロードプリントを活用して、ぜひ試してみてください。

監修/立命館大学教授・宮口幸治

認知ソーシャルトレーニングとは

コグトレの認知ソーシャルトレーニングは、感情を統制する、危険を予知する、対人スキルを高める、問題を解決するなど、社会で生きる力を養うトレーニングです。以下の表のように「段階式感情トレーニング」「危険予知トレーニング」「対人マナートレーニング」「段階式問題解決トレーニング」など、4つのトレーニングから成り立っています。

コグトレ 表1

今回は、「危険予知トレーニング」のなかから、〔屋内でのリスク〕の課題を紹介します。

このトレーニングは、日常の状況の中にどのような危険が隠されているかを想像することで、危険な状況を予測する力を養います。事故など危険な状況に遭わないためには、あらかじめ危険を予測できる力が必要です。屋内における危険は多様で、様々な状況を想像する力が大切です。今回は特に、小学校での教室内でのリスクを想像する課題を紹介します。危険な状況を予測する力をトレーニングによって向上させていきます。

〔屋内でのリスク〕にチャレンジ!

ねらい
屋内(小学校の教室内)での危険な状況を日頃から予測しておくことで、危険を回避できる力を養います。

進め方
1 課題シートにあるイラストを見てもらい、危険だと感じたところに×を付け、1から順に番号を付けてもらいます。
2 ⑴の番号に対応する空欄に×を付けた理由を書いてもらいます。
3 次に危険だと思う順に空欄に番号を並べ、今後、どれに気を付けたらよいかを考えさせます。

※課題シートにあるイラストがどのような状況にあるのかを説明します。子どもにリスクを伝えることが目的ではなく、子ども自身に予測させることがねらいです。答えを伝えるのではなく、答えにたどり着くようなヒントを出しましょう。

 

課題シート

「コグトレ」でコミュニケーション力を育てよう〔危険予知トレーニング(屋内でのリスク)〕 課題シート 危険予知トレーニング(屋内のリスク)
課題シートをクリックで拡大、ダウンロードできます。

回答例
(1)
1 棚から出ているひもに引っかかって、頭を打つ。
2 教室から突然出ようとして、廊下で走っている子とぶつかる。
3 花瓶が床に落ちて、花瓶の水で滑って転んで、破片が顔に刺さる。
4 イスを揺らしていて、後ろに倒れて後頭部を打つ。
5 誰かがロッカーに隠れていて、ロッカーが突然倒れてけがをする。
6 ふざけあっている子どもがハサミで相手を刺してしまう。
など

※想定されるリスクはこれで全部ではないかもしれません。いろいろな子どものリスクを考えるようにしましょう。この例を子どもたちにあげてもらう必要はありません。あくまでトレーニングを行う参考にしてください。

授業の進め方

進め方は以下の手順を参考にしてください。※詳しくは『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館)をご覧ください。

※マンガの内容は課題とは異なります。

『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館) マンガ 屋外のリスク

  

宮口幸治(みやぐちこうじ)

立命館大学教授 一般社団法人日本COG-TR学会代表理事
京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「日本COG-TR学会」を主宰。医学博士、子どものこころ専門医、日本精神神経学会精神科専門医、臨床心理士。著書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)が大ベストセラーになる。

取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ、荻野琴美(オーデザインチャンネルズ)

出典:『社会面のコグトレ 認知ソーシャルトレーニング①段階式感情トレーニング/危険予知トレーニング編』(三輪書店)

 

『逆境に克つ力』(宮口幸治・神島裕子著)表紙


『逆境に克つ
~親ガチャを乗り越える哲学~』(小学館)

著/宮口幸治 ・神島裕子
新書判 192ページ

逆境に苦しんでいる子への支援のヒントが満載

どの親のもとで生まれたかによって子どもの人生が左右される現実をカプセルトイにたとえた「親ガチャ」という言葉。 『ケーキの切れない非行少年たち』の著者と気鋭の哲学者が、全ての人が幸せを追求できる社会のあり方を考えながら、逆境を乗り越えるための心の持ち方人生を切り開く力のつけ方を、哲学・精神医学・心理学の観点から具体的に提唱する。

『マンガコグトレ入門』(宮口幸治著)表紙

『子どもの認知能力をグングン伸ばす! マンガコグトレ入門』(小学館)

著/宮口幸治
A5判 224ページ

教室を舞台にしたマンガでコグトレの進め方を楽しく具体的に紹介しています。「コグトレを取り入れたいけれど、何からどのように始めたらよいかわからない」という方にもピッタリの1冊です。「コグトレ」の代表的な50種のトレーニングのねらいや進め方・ポイントなどを、マンガを交えてやさしく解説。紹介する課題のワークシートはすべてダウンロード可能。

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