小2国語「たんぽぽのちえ」板書の技術
今回の教材は、「たんぽぽのちえ」です。本単元では、最終的に、子供たち自身が選んだ植物や昆虫の「ちえ」について「ちえじまんカード」を書き、読み合う活動を行います。そのため、「いつ」「どんなちえ」につながる言葉に着目させたり、理由を表す言葉に着目させたりすることを大切にします。そのような板書の工夫を紹介します。
監修/元京都女子大学教授
同附属小学校校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・田中崇亮(せせらぎの会)
単元名 みんなで「ちえじまんブック」を作ろう
教材名 「たんぽぽのちえ」(光村図書出版 2年)
目次
単元の計画(全11時間)
- ・たんぽぽについて知っていることや「たんぽぽのちえ」という題名について話し合う。
単元の最後に、たんぽぽ以外の植物や昆虫などの「ちえ」をまとめた「ちえじまんブック」を作ることを知らせ、見通しをもたせる。
・たんぽぽが変わっていく様子について、挿絵を並び替えて予想する。 - 教材「たんぽぽのちえ」を音読し、初めて知ったことやすごいと思ったことを書く。
- 時を表す言葉に着目して、バラバラに示した本文を正しい順序に並び替える。
- 花が咲いてから2、3日たったころの「ちえ」と「わけ」を読み取る。
- 花がすっかりかれたころの「ちえ」と「わけ」を読み取る。
- わたげができるころの「ちえ」と「わけ」を読み取る。
- よく晴れて、風のある日としめり気の多い日や、雨ふりの日の「ちえ」と「わけ」を読み取る。
- たんぽぽがいろいろな「ちえ」を働かせるわけを読み取る。
- たんぽぽの「ちえ」の中から自分が心に残った「ちえ」について「ちえじまんカード」を書く。
- 自分が選んだ植物や昆虫の「ちえ」について「ちえじまんカード」を書く。
- 「ちえじまんカード」を読み合い、学習のまとめをする。
※ちえじまんカードは綴じ込んでまとめ、「ちえじまんブック」として子供が読めるようにする。
【ちえじまんカードの具体例】
板書の基本
〇重要な語句や単元を通して着目する言葉が分かりやすくなる板書
本単元では、順序を考えながら内容の大体を捉えて読む力を付けるために、「いつ」「どんなちえ」につながる言葉に着目させます。3/11時間目での学習では、時を表す言葉を短冊にして黒板に示します。言葉が目立つようになることに加えて、10/11時間目に自分が選んだ植物や昆虫の「ちえじまんカード」を書くときにも、子供たちが時を表す言葉を使えるように示すことができます。
〇文章の構造が分かりやすくなる板書
黒板に拡大した本文を示し、読み取りたいことに合わせて線を引いたり、色分けしたりすることで文章の構造が分かりやすくなります。
4/11時間目の板書では、「ちえ」に赤い線、「わけ」に青い線を引きました。5時間目、6時間目と続けていくと、子供たちは前半に「ちえ」、後半に「わけ」が書かれていることに気付き、その後の読み取りが容易になります。
〇理由を表す言葉に着目させる板書
本単元では、理由を表す文が「〜からです。」「〜のです。」といった文末で終わることを指導します。4/11時間目では、「わけ」を板書したときに、理由を表す「〜からです。」「〜のです。」の部分に波線を引いて文末を強調しました。
板書を活用した授業の進め方(3/11時間目)
1 分割し順序を並べ替えた教材文を正しい順序に並べる
教材文を①P46(春になると、)〜 ②P47(二、三日たつと、)〜 ③P48(やがて、~そのあとに、)〜 ④P49(このころになると、)〜 ⑤P50(よく晴れて、風のある日には、)〜 ⑥P51(でも、しめり気の多い日や、)〜の6つに分割し、大型テレビや移動黒板に順序を入れ替えて提示します。子供には、タブレット端末で分割した文章が見られるようにします。
タブレット端末に示された文章を正しい順序に並べ替えさせます。子供の発表を受けて、大型テレビや移動黒板に提示した教材文も正しい順序に並べ替えます。
2 並べ替えるときに着目した言葉について話し合う
「文の順序が分かる言葉はどれでしょう」と問いかけ、「◎じゅんじょがわかることば」と板書します。1で正しい順序に並べ替えるときに着目した言葉を発表させ、「二、三日たつと」「やがて」などの言葉が子供から出てきたら、「時を表す言葉ですね」と確認し、「ときをあらわす」と板書し、赤チョークで囲みます。
「花がさく」や「花はしぼむ」などの言葉が出てきたら、「たんぽぽの様子を表す言葉ですね」と確認し、「たんぽぽのようす」と板書して黄チョークで囲みます。
教材文の、発表された言葉とは別の時を表す言葉に線を引かせ、発表させます。教師は発表された言葉を白紙の短冊に赤で書き入れ、教材文に出てくる順序で示します。たんぽぽの様子を表す言葉についても発表させ、短い言葉にまとめながら板書します。また、たんぽぽの様子を表す挿絵もいっしょに示します。たんぽぽの様子を表す言葉は、上段の時を表す言葉と合わせるように板書すると分かりやすくなります。
3 時を表す言葉を詳しく理解する
「二、三日たつと」はどの日から二、三日たった日なのか考えさせ、発表させます。「花がさいてから二、三日たった日」であることを確認し、「二、三日たつと」の短冊のそばに(花がさいてから)と板書します。「そのあとに」は、どの後なのか発表させ、「そのあとに」のそばに(花がかれたあと)と板書します。
同じように「このころになると」についても、どのころなのか発表させ、「このころになると」のそばに(わた毛ができるころ)と板書します。時を表す言葉を詳しく理解することで、文の順序を整理して考えやすくします。
4 本時のまとめをする
文章の順序を考えるときには、時を表す言葉やたんぽぽの様子を表す言葉を読むとよいことを確認し、「◎ときをあらわすことばやたんぽぽのようすを読むとじゅんじょがわかる。」と板書して本時の学習のまとめとします。
板書を活用した授業の進め方(4/11時間目)
1 本時のめあてを確かめる
本時では、花が咲いてから2、3日たったころのたんぽぽの「ちえ」とその知恵を働かせる「わけ」を文章から見つけることを伝え、めあてを板書します。「ちえ」は、たんぽぽが知恵を働かせて、姿を変えたり、工夫したりしていることであると、本単元における「ちえ」の意味を確認します。同じように「わけ」は、「ちえ」を働かせている理由に当たることも確認します。
2 教材文から「ちえ」と「わけ」を見付ける
教材文の「二、三日たつと」〜「太らせるのです。」まで拡大したものを黒板に貼って提示します。掲示された教材文を、全体で音読します。教科書の、花が咲いて2、3日たったころのたんぽぽの「ちえ」が書かれている部分に赤線を引かせます。赤線を引いた部分を発表させ、黒板に貼った教材文にも同じように赤線を引きます。「ちえ」と板書し、赤チョークで囲みます。教科書の例のように、教材文に書かれている通りに「ちえ」の文章を書き抜いて、板書します。子供には、板書の通りノートに書き写させます。
次に、「わけ」が書かれている部分に青線を引かせます。青線を引いた部分を発表させ、黒板に貼った教材文にも青線を引きます。「わけ」と板書し、青チョークで囲みます。「わけ」に当たる文章を板書し、子供にはノートに書かせます。
3 「ちえ」の文章と「わけ」の文章を比べる
板書した「ちえ」の文章と「わけ」の文章を比べます。「わけ」が書かれている文は「〜のです。」で終わっていることに気付かせ、その部分に黄チョークで波線を引き、強調します。
4 思ったことを書いて、本時の学習をまとめる
花が咲いてから2、3日たったころのたんぽぽの「ちえ」を知って思ったことを書かせます。思ったことを書き表すときには、「〜と思いました。」「〜をはじめてしりました。」「〜について、もっとしりたいです。」などの言葉を使うことを伝え、板書し、手がかりとなるようにします。
構成/浅原孝子