小学校の卒業準備:掲示物の工夫で「卒業・別れ」を意識づけよう

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松下隼司の笑って!!エヴリディ
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卒業特集ー6担初心者もこれで安心!ー 
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大阪府公立小学校教諭

松下隼司

3学期になると担任は、「子どもたちと教室で過ごせるのも、あとわずかだな」と、ふと思うことが増えますね。6年生は、クラスメイトや担任との別れだけでなく、長年親しんできた小学校から巣立ち、4月には中学校での生活が始まります。子どもたちは別れと出会いを繰り返し、人として優しく、強くなっていきます。
この、卒業という節目を子どもたちが適度に意識することは、残りの小学校生活を充実して過ごすことにつながり、また、新しい中学校生活のより良いスタートにもつながります。そこで今回は、年度末、6年生の子どもたちに「卒業」を意識づける工夫を紹介します。

カウントダウンカレンダー

【連載】松下隼司の笑って!!エヴリディ

(1)卒業式の呼びかけの言葉を拡大掲示

卒業式では、6年生の子どもたちがひな壇に立って、6年間の学校生活の思い出や感謝の気持ちなどを伝える「呼びかけ」のイベントがあるかと思います。

卒業式の練習をするとき、その呼びかけのセリフを印刷して子どもたちに配ることが多いかと思います。私も、これまで6年生を担任したときは、B4サイズで配りました。

その配付前に、まず、拡大印刷したものを廊下に掲示します。

廊下に貼られた別れの言葉
別れの言葉・詳細

すると子どもたちは、

もうすぐ卒業かぁ……

うわ~、これ見るだけで泣きそう~!

私、この言葉、言いたい!!

などと言いながら、まじまじと見ていました。卒業を意識づけるだけでなく、卒業式練習の意欲づけにもつながりました。

掲示する場所も工夫しました。6年生の教室前ではなく、6年生が使う階段近くの廊下に掲示したのです。子どもたちの目に留まりやすくするためです。

階段を登った先に何かが貼られている…
階段を登ると、それはカウントダウンカレンダーだった

階段を一歩一歩、上がるにつれて、呼びかけの言葉の拡大紙が大きく見えてきます。

  • 通路は共有物ですので、他学年もその階段を使う場合は、先生方に掲示することを確認しておきましょう。
  • 写真では茶色の布テープで貼っていますが、透明のビニルテープなどで貼った方が、すっきりして見えるのでよいと思います。
  • 画鋲だけで掲示すると、画鋲が外れてしまう可能性があるため危険です。画鋲の上からテープを貼って補強することをおすすめします。
  • テープを剥がす際に塗装が剥げる可能性のある場所に貼る場合は、粘着力の弱いテープを使用するなどの注意が必要です。

(2)カウントダウンカレンダーにひと工夫

下の画像は、私が6年生を担任したときに子どもたちが作ったカウントダウンカレンダーです。

残り13日、子どもが書いたカウントダウンカレンダー
残り10日、似顔絵の入ったカウントダウンカレンダー

       

カウントダウンを始めるのは、クラスの子どもたちの人数分の日にちの前から始めるのがおすすめです。例えば、30人の学級だったら、卒業の30日前からカウントダウンカレンダーを開始します。そうすることで、1人が1枚ずつカレンダーの紙を書くことができ、6年生の1年間を共に過ごしたクラスメイトの人数も意識づけることができます。

また、自画像を描き入れるのもおすすめです。子どもたちが、そのクラスメイトを意識できるようになります。名前の文字だけでなく顔のイラストがあると、よりあたたかみ、人間みを感じられますね。

絵が苦手だったり、自分の顔を描くのを恥ずかしがったりする子どもは、友達に描いてもらってもいいことにすると、負担感が減ります。

下の画像は、カウントダウンカレンダーを黒板に掲示した様子です。

カウントダウンカレンダーが貼ってある黒板

子どもたちに作ってもらったカウントダウンカレンダーを、教室前の廊下の他にもいろいろなところに掲示してきましたが、子どもたちが一番見てくれて好評だった掲示場所は、黒板でした。

黒板に掲示すると、板書スペースが減っていくのではと思われるかもしれません。でも、実際にやってみて、そんな困り感はありませんでした。黒板にどんどん自分たちがかいたカウントダウンカレンダーが増えていって、子どもたちはとても嬉しそうでした♪

卒業式当日の黒板の飾りつけとしても、そのままカウントダウンカレンダーを使うことができます。教室後ろの壁に掲示している子どもたちが描いた自画像などの作品があれば、黒板に貼ります。凝った絵を新しく描かなくて済みますし、子どもの作品で黒板が埋め尽くされるので、とても素敵ですよ。卒業式が終わって教室に戻ってきたら、子どもたちにカウントダウンカレンダーと作品を返却しましょう。


松下隼司先生

松下隼司(まつした じゅんじ)
大阪府公立小学校教諭。第4回全日本ダンス教育指導者指導技術コンクールで文部科学大臣賞、第69回(2020年度)読売教育賞 健康・体力づくり部門で優秀賞を受賞。さらに、日本最古の神社である大神神社短歌祭で額田王賞、プレゼンアワード2020で優秀賞を受賞するなど、様々なジャンルでの受賞歴がある。小劇場を中心に10年間の演劇活動をしていた経験も。著書に、『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)絵本『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)がある。

イラスト/したらみ

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