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小学1年国語:話す聞く読む書く「4つの格差」を正す授業の工夫

2019/12/14

小学校就学前の学習量には個人差があるものの、学校で「教えられていない子」が、「できない子」になるのはおかしなことです。いますでに格差があるとしたら、どう是正していくべきか、国語の授業の中で子どものケアについて紹介します。

執筆/兵庫県公立小学校主幹教諭・佐藤隆史

国語の授業風景イメージ
撮影/浅原孝子

「話すこと」格差にNO!

クラス全員がわかる授業をめざして

クラス全員がわかる授業。この「全員」ということを実現させるのはとても難しいことですが、私たち教師はプロとして、常に「全員」がわかることをめざして授業をしていかねばなりません。

二学期も後半、「全員」が達成できるように、日々の国語授業を今一度、見直していきましょう。

三文スピーチ

朝の会などの時間を利用して、三つの文でできたスピーチをします「いつ」「どこで」「誰と」を基本の形にして、順序に気をつけて話します。質問コーナーでやりとりさせるのもよいでしょう。また、「見たもの」を、次のように三文でヒントを与えるなぞなぞゲームにするのも楽しいです。

例えば、
①それは教室にあります。
②それは丸い形です。
③それは動いています。
いったい何でしょう。(答えは、時計)

話すのが苦手な子には、前もって教師が一緒に三つの文をつくるのを手伝ってあげて、「◯◯くん、上手に話せるようになったね!」と、みんなの前でほめてあげ、成功体験を積ませてあげることも大切です。

《勘所》
・人前で話すことを習慣化する。
・教師がお手本を示して雰囲気づくりをする。
・形式にとらわれないで、楽しむモードをつくる。

人前で話す練習イメージイラスト

「聞くこと」格差にNO!

「聞きたい!」と思わせる話を教師がする

これが一番です。面白い話、心に響く話、怖い話、昔話・・・などのほかにも、内容はそんなに面白くなくても、教師の表現力で子どもたちが思わず集中して聞いてしまうような技術を身につけるよう、教師自身が日頃から話すことに対して意識を高くもっておくことです。「今のみなさんの聞く態度はとっても素晴らしかったですよ!」と、ほめてあげることができれば、学級全員の聞く力はアップします。

絵本の読み聞かせ

聞くことが苦手な子どもでも集中して聞く体験ができるのが絵本の読み聞かせです。図書室で、「いいな!」と思った絵本をぜひ教室で先生自身の声で読んで聞かせてあげてください。

「なぞなぞゲーム」をペアやグループで

友達のお話をしっかり聞く体験が楽しくでき、聞く力もアップしていきます。

復唱する

単に聞くだけで終わるのではなく、同じ言葉を復唱したり、伝言ゲームにしたりすると、「なんのために聞くのか」という目的がはっきりしているので意欲的に聞くことができます。

《勘所》
「聞く態度」の指導は、低学年でしっかりと指導しておくと、高学年での指導に通じていきます。
①話し手に体を向ける。
②話し手の目を見る。
③表情をつけながら(うなずく、首を傾ける、笑顔で)聞く。

このことは「傾聴」指導で、国語科だけでなく、あらゆる場面で必要なことですね。

「読むこと」格差にNO!

音読を大切にする

書かれている文字は「言葉」を表しています。ひらがなの文字を一つずつ発音しても伝わりません。言葉として音読するということを、理屈ではなく「体験」として具体的な語句や文章で指導することが、音読指導でとても大切なことです。そのために、最も強力な武器は、教師の「範読」です。この範読は、物語に感情をたっぷり込めてさまざまな声色を駆使しながら、あたかも声優のように音読することではありません。言葉を教えるという意識で、語句のまとまりがはっきりわかるように、明瞭な発音で、しっかりと間を取りながら読むことです。目の前の子どもたちが正しい日本語の使い手になるための「範読」を大いにすべきです。

《勘所》
【姿勢】足の裏を床にピタッとつけ、背中というより腰骨をスッと伸ばし、肩の力をストンと抜き、目や顔の前面を前に向ける。できていない子どもを見逃さず、そばで手を添えて直してあげます。

【口形】五十音の口の形をゆっくりと教師が示しながら「大きく開ける」というより、「きれいな形をつくる」ように指導します。子どもたち一人ひとりの口をつぶさに見とり、できていない子どもは近くに呼んで、手鏡で自分の口を見せてあげると、口の開け方が小さいことに自分で気づきます。

【声】大きい声、小さな声、高い声、低い声・・・いろいろな声を自在に出して、楽しみながら音読すると、表現する力もつきます。全員を巻き込みながら「進んで音読する子」を育てていくのです。

【指さし音読】一つ、一年生の音読で気をつけなくてはならないことがあります。二学期の後半になってもまだ字が読めない子どもが隠れているかもしれません。全員で音読をくり返していくうちに覚えてしまう子がいます。音読するときは、読んでいるところを指で指しながら「指さし音読」を忘れずに行ってください。一年生の文章は短いので、字が読めない子ほど耳で聞いてすぐ覚えてしまうので、「読めない」ことを見逃しがちなのです。

「書くこと」格差にNO!

連絡帳でおうちの人へ「おたより」

今日のできごとを、短い作文形式で連絡帳に書きます。自分で文章がつくれない子のために、黒板に教師が見本を書きます。書くことが得意な子には、どんどん自由に書かせます。必ず教師がチェックするのを忘れないように。地道な積み重ねが全員の力を確実に伸ばすのです。

文字指導は「とめ・はね・はらい」

ひらがなが書けるようになり、雑に適当になりがちな時期です。常に励ましながら、レベルアップを図っていきましょう。

《勘所》
毎日、欠かさずやるということは無理です。自分のできる範囲で、時間の余裕があるときに試してみましょう。

手紙を書くイメージイラスト

クラス全員がわかる授業へ向けての五つのチェック

その一 たくさん活動させているか

どの子にも身につけさせるためには、学校で質と量の確保をしましょう。加えて、くり返し練習できるようにすることで、どの子にも身につくようにさせます。

その二 指導しやすいことに偏っていないか

意識していないと自分が指導しやすいことに偏ってしまいがちです。例えば、ひらがなプリントばかりしている! ノートをほとんど書かせていなかった! 「話す」活動が少ない! 音読は宿題に頼っていた! などです。国語の指導事項をバランスよく指導していきましょう。

その三 先取りしている子の意欲を上げているか

《漢字》
「その漢字、知ってる!」と、言ってくる子がいます。そんな子には、「字は知っているかもしれないけれど、とめ・はね・はらいを正しく書けるようにしよう」と言ってより高いレベルへ上げていくのです。

《撥音、拗音、促音やカタカナ》
「カタカナで書く言葉をたくさん書こう。いくつ書けるかな」と言葉集めをします。生活経験が豊富で、語彙力がある子の発表を「よく知っているね」「今○○さんが言った○○ってこういう意味だよ」と、ほかの子に広めていくのです。いろいろなことを先取りしている子の意欲を上げていく声かけも、きちんとやるべきです。

その四 視覚でわからせているか

例えば、挿絵、「話す」学習時のポイント、文または文章の組み立てなど、見ることで理解の助けになることはたくさんあります。黒板に貼るものを準備したり、カメラや実物投影機を使って大型テレビに映したり、板書で重要なところを目立たせたりなどの工夫が大切です。

文字指導のときには四つのますに区切って四つの部屋をつくり薄く色分けします。どこの部屋から始まってどこで終わるかを確認させ、場所を気にすることで形の整った字になっていきます。

その五 見本をやって見せているか

説明と活動の間に見本を入れます。

説明→見本→活動 です。

例えば、ペアで話をする活動の初期には、その時間の内容に沿った「型」を教師が一人二役で演じます。子どもを2人前に立たせた上で、教師が移動しながら2人の台詞を言うのもよいです。一年生の初期のペアでの話合いは、伝え合い程度の簡単なものです。

しかし、どの子にもその活動ができるようにするには、見て「ああ、こうすればいいんだな」とわからせることが大事です。わかれば活動でき、活動すればその活動が自分の力となっていくのです。そして、自分の力になったものは型を離れて使っていけるものなのです。

先生が見本を見せているイラストイメージ

最後に、教師の指示の仕方をふり返ってみてください。とにかくわかりやすくするのです。あいまいな表現になっていないか、具体的か、説明の順序はこれでよいか、教師の頭の中にあるできあがった形を、クラス全員にわかるように伝えることは、格差ゼロをめざす教師になくてはならない意識です。

イラスト/ニシハマカオリ

『小一教育技術』2017年12月号より

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