「 CEFR(セファール)」とは?【知っておきたい教育用語】

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CEFR(セファール)とは、「Common European Framework of Reference for Languages」の頭文字を取ったもので、「ヨーロッパ言語共通参照枠」と訳されます。英語だけではなく外国語を学ぶ学習者の習熟度を、同一の基準で評価する国際基準のことです。

執筆/文京学院大学名誉教授・小泉博明

CEFR(セファール)とは

2001年にヨーロッパ統合に取り組む国際機関である欧州評議会が、CEFRを発表しました。その背景は、1993年にEU(欧州連合)が発足し、EU域内で人、物、資本などの移動が自由化されるようになり、言語によるコミュニケーションが重要となったからです。EU加盟国では、母語とは異なる多言語の習得が課題となり、学校教育においても対応を迫られました。

CEFRは、外国語の運用能力がどれくらいあるかを判断するための指標であり、英語だけではなく、すべての言語に共通に通用します。そして、学習者が自らの学習状況を判断することができます。

CEFRの内容

各言語の習熟度を初歩レベルから、A(基礎段階の言語使用者)、B(自立した言語使用者)、C(熟練した言語使用者)の3つのレベル群に分けます。さらにレベル群を2つに分け、A1から、A2、B1、B2、C1、最高レベルのC2の6段階に分けて評価します。各レベル名と説明の概要は次の通りです。

A1 学習を始めたばかりの者・初学者
具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。(以下略)

A2 学習を継続中の者・初級者
ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。(以下略)

B1 習得しつつある者・中級者
仕事、学校、娯楽で普段出合うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できる。(以下略)

B2 実務に対応できる者・準上級者
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑な文の主要な内容を理解できる。(以下略)

C1 優れた言語運用能力を有する者・上級者
いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文を理解することができ、含意を把握できる。(以下略)

C2 母語話者と遜色のない熟練者
聞いたり、読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解することができる。(以下略)

CEFRがなぜ注目されるのか

英語の能力を測るには、「英検(実用英語技能検定)」「TOEIC」「TOFEL」などがあり、各団体が試験を管理運営し、採点も各団体が各評価軸に則り評価をします。しかし、日本の学校現場では「英検」の知名度が高いですが、海外で広く知られているわけではありません。グローバル化が進み、誰もが理解できるわかりやすい基準が求められるのです。

文部科学省は、各資格・検定試験とCEFRとの対照表を作成し、発表しました。例えば「英検」2級ならばA2~B1、3級ならばA1となります。また。CEFRで評価されれば、別の試験を受ける必要もなくなります。

日本において大学受験における英語力測定方法として、大学入学共通テストの英語成績提供システムの導入には至りませんでしたが、今後は、各資格・検定試験とCEFRとの対照表を活用することが期待されています。

▼参考資料
文部科学省(PDF)「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」(平成30年3月)
文部科学省(PDF)「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入試英語成績提供システム運営大綱の廃止について(通知)」(令和元年11月15日)

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