「 教育ビッグデータ 」とは?【知っておきたい教育用語】

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1人1台端末の整備によって注目されている「教育ビッグデータ」。その活用の具体例や留意点について解説します。

執筆/信州大学教育学部助教・小倉光明

「教育ビッグデータ」とは

教育ビッグデータとは「ICTをはじめとする先端技術を活用することで得られるデータ」のことをいいます。そもそもビッグデータとは平易に表現すると「非常に多くの電子的に処理可能な情報」になります。多くの情報を収集することで、AIを用いて近未来の予測をしたり、ニーズに即したサービスを提供したり、業務を効率化したり、新たな価値の創造につなげたりすることが可能になります。その意味で、変化が早く将来を予測することが困難な現代において、ビックデータを収集し、活用することは非常に重要であると言えます。

データを収集するためには、データを処理する機器がネットワークに接続されている必要があります。例えば、ICカードの処理情報やGPS情報、各種センサー値やSNSのログなど、その内容は多岐にわたります。

教育ビッグデータでは学習者の活動を主に1人1台端末を用いて収集し、活用することを目的としています。これまで、紙ベースの学習環境によって見過ごされていた学習活動がデータとして可視化でき、予測等に活用できる可能性があるため、大きな期待が寄せられています。

教育ビッグデータの具体例

教育ビッグデータを扱う上でのポイントは3点に整理されています(文部科学省 教育データの利活用について)。1つ目がデータの標準化です。データは様々な形をしています。闇雲に多くのデータを集めたところで、それらを統合したり、比較したり、処理したりできなければ意味がありません。そのため、収集するデータの定義の統一を行う必要があります。

2つ目が環境の整備です。1人1台端末が整備されたとしても、システムの側面からも環境を整備しなければ、ログ等のデータを効率的に収集することができません。現在、学習eポータルの整備が進められています。学習eポータルはComputer Based Testing(CBT)システムである「MEXCBT(メクビット)」やデジタル教科書等の学習ツール、校務支援システムなどと連携し、学習環境を構築できるソフトウェアのモデルで、データ収集においても重要な役割を担うことになります。

3つ目がデータの分析です。データの分析は学校だけでなく、自治体や国と連携しながらニーズを見定めつつ進めることが求められます。

教育ビッグデータの将来性と留意点

教育ビッグデータを収集・活用することで「誰一人取り残すことのない、公正に個別最適化された学び」に導ける可能性があります。例えば、学習状況を把握することで「つまずきの早期発見と個に応じた指導」へと繋げる学習面の支援などが考えられます。その他にも生徒指導の充実、保護者への情報提供、学校経営の充実等に繋げられる可能性があります(文部科学省 教育の質の向上に向けた効果的なデータ連携・活用のポイントと学校改善事例集)。

その一方で、データには個人の情報が含まれているため取り扱いには注意が必要です。文科省の教育データの利活用に係る留意事項のポイントでは、個人情報の定義やルール、プライバシー、セキュリティ等についてまとめられています。これらの点を踏まえて教育ビッグデータを扱うことが重要です。

▼参考資料
文部科学省(PDF)「教育データの利活用について
文部科学省(ウェブサイト)「教育データの利活用に係る留意事項について
文部科学省(PDF)「教育の質の向上に向けた効果的なデータ連携・活用のポイントと学校改善事例集

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