小3 国語科「漢字の広場④」全時間の板書&指導アイデア

特集
1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」

文部科学省教科調査官の監修のもと、小3 国語科 「漢字の広場④」(光村図書)の全時間の板書例、発問、想定される子供の発言、1人1台端末活用のポイント等を示した授業実践例を紹介します。

小三 国語科 教材名:漢字の広場④(光村図書・国語 三下)

監修/文部科学省教科調査官・大塚健太郎
編集委員/東京都西東京市立田無小学校校長・前田 元
執筆/東京都西東京市立田無小学校副校長・藤本知子

1. 単元で身に付けたい資質・能力

この単元では、前学年の漢字を取り上げ、楽しく書く活動をすることを通して、2年生までの漢字を確実に定着させることをねらいとします。
漢字を「文や文章の中で使えるようにする」ためには、自分なりに工夫した文脈の中で実際に使ってみることが大切です。そのために、楽しい絵で表された場面と第2学年で学習した漢字を使った言葉とを結び付けながら、漢字を用いた文章を作っていきます。

2. 単元の評価規準

評価規準

3. 言語活動とその特徴

この単元では絵の中の言葉を使って町の様子を文に書き、町の様子を説明するカードにまとめる活動を設定します。
導入で、教科書の挿絵と2年生までに学習した漢字を提示し、その漢字を使って文を書いていきます。作った文は、ノートに書き、友達と見せ合って、作った文のよいところや、直した方がよいところを交流する活動を行います。友達と交流活動をすることで、自分の作った文の間違いを正したり、相手や目的を意識した表現になっているかを確かめたりします。

第2時では、友達との交流活動を通して、推敲した文をノートに清書します。清書した文章をタブレット端末で写真に撮り、教師の端末に投稿します。教師は投稿された文を大型モニターに提示し、学級全体で町の様子のどの部分を紹介しているか確認しながら、画像から文章だけを切り取り、町の画像に貼り付け、学級全体で町の様子を説明しているカードを完成させます。

今回は、教科書の挿絵を参考にしながら、町の様子を紹介するカードを作る形式ですが、学級の実態によっては、自分の住む町の地図を活用して、総合的な学習の時間の「地域安全マップ作り」と関連させながら、自分の町を紹介する文づくりを行うと、児童の学習に対する意欲はより一層増すと考えられます。

本単元では書く活動が主な言語活動になりますが、書く活動が苦手な児童に対しては、タブレット端末を使用して文を入力するなどの配慮をしながら、書くことへの苦手意識を減らし、学習活動を楽しみながら行えるようにしましょう。

4. 指導のアイデア

〈主体的な学び〉 挿絵をもとにして挿絵の中の町に住んでいるつもりで、漢字を用いた文を書く

導入で、教科書p40の挿絵を見ます。2年生までに習った漢字が書かれた挿絵を見ながら、これからの学習に対する興味を引き出していきます。このときに町の様子を説明するカード作りをするという学習活動のゴールを提示し、児童が見通しをもって活動に取り組めるようにします。出来上がった作品は、保護者会や職員室前に掲示するなど、児童の意欲が高まるような工夫をするとよいでしょう。

また、使用している漢字が既習のものであるという点も、児童にとっては取り組みやすい学習活動になります。

児童が楽しみながら文を書くことができるよう、文を書く際は、机間指導を多くし、児童が意欲的に文を書くことができるよう、教師がよい点を認めたり、ほめたりして、児童の発想を生かした文となるような声かけをしましょう。

〈対話的な学び〉 友達と文を読み合い、推敲する

第1時では、挿絵をもとに文を書いていきます。第2時では、同じ場所を選んだ友達と文を読み合い、言葉の意味や用法の理解を確かめ合いながら文を整えていきます。
書いた文章を読み返す際も、自分以外の友達に読んでもらうことで漢字や送り仮名などの間違いを確かめていきます。

〈深い学び〉 作った文を友達と比べ、語句の理解を深める

児童が同じ挿絵の場所を選んで文を書いたとしても、説明する内容や言い方は異なります。
友達と読み合う場面を設定し、言葉の意味や使い方に対する理解を深めていきます。
学級全体で共有する場面でも、同じ漢字を使っていても、「町の南」と「南の方」というように言い方が異なっていたり、詳しく説明している事柄が異なっていたりして、多様な表現の仕方があることを確かめていきます。自分の文と友達の文を数多く読み比べ、確かめることを通して、語句と語句の関係を考えたり、語句の理解を深めたりしていきます。

5. 1人1台端末活用の位置付けと指導のポイント

(1)提示で活用する

PowerPointやGoogleスライドを使って、教科書p40を提示します。あらかじめ、挿絵を4分割して番号を付けておき、挿絵の中のどの部分に着目したのかが分かりやすくなるようにしておきます。
教科書の例文を確かめる際も、割り振った番号に即して挿絵を拡大して提示し、挿絵のどの部分を詳しく説明しているのか全体で確認できるようにします。

(2)ノートに書いた文を写真に撮り、教師に送信する

この単元では、2年生で学習した漢字を使って書く活動を行うので、文はノートに書いていきます。
ただし、そのノートを教師に提出するのではなく、ノートの文を撮影し、画像を教師の端末に送信します。これにより、教師は児童が送ってきた画像を加工して、すぐにカードにまとめることができます。また、児童の送信アカウントから、誰が提出したかも把握することができます。

本単元では、グループごとに説明したい場所を決め、文を作るので、提出もグループごとにフォルダ分けしておくと、後で、児童が作った文を提示しやすくなります。
また、配慮が必要な児童には、教師と一緒に文を作成するグループを作り、教師と一緒に端末を操作するなど、児童の文が端末上で消えてしまわないよう配慮し、支援していきます。

(3)端末を使ったカード作り

本単元でのカード作りは、児童が作った文を端末上で、挿絵の画像に貼り付けていきます。
挿絵の周囲に文の画像を貼り付け、学級全員が町の様子を説明するカードにまとめていきます。

6. 単元の展開(2時間扱い)

 単元名: 漢字の広場④

【主な学習活動】
第1次(1時
➀ 挿絵の中の言葉の読み方と意味を確認する。〈 端末活用(1)〉
② 例文を見て、漢字の使われ方を確かめる。
③ 例文を参考にして、自分で町の様子を説明する文をノートに書く。

第2次(2時
➀ 前時に書いた文をもとに、同じ場所を選んで文を書いた児童同士でグループを作り、文を見せ合い、推敲する。
➁ 推敲した文をノートに清書し、撮影して教師に送信する。〈 端末活用(2)〉           
③ 投稿された児童の画像を挿絵の画像に貼りつけ、カードを完成させ、全体で確認し、単元の学習を振り返る。〈 端末活用(3)〉

全時間の板書例と指導アイデア

【1時間目の板書例 】

1時間目の板書例

イラスト/横井智美

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