「コグトレ」でコミュニケーション力を育てよう〔この人たちはどんな気持ち?〕#2ダウンロードプリント付
2回目の今回は、他者(複数)の感情を理解する力や自分の感情をコントロールする力を養う「段階式感情トレーニングのなかの〔この人たちはどんな気持ち?〕にチャレンジしましょう。「コグトレ」とは、宮口幸治先生たちが開発した「コグニティブ(認知)機能」に着目したトレーニングのことで、身体面、学習面、社会面の3方面から包括的にトレーニングする特徴があります。本連載では、社会面のトレーニング(認知ソーシャルトレーニング)を基に、感情を上手にコントロールしたり、相手の気持ちを考えたりする、コミュニケーション力を高めるトレーニングを紹介します。ダウンロードプリントを活用して、ぜひ試してみてください。
監修/立命館大学教授・宮口幸治
目次
認知ソーシャルトレーニングとは
コグトレの認知ソーシャルトレーニングは、感情を統制する、危険を予知する、対人スキルを高める、問題を解決するなど、社会で生きる力を養うトレーニングです。以下の表のように「段階式感情トレーニング」「危険予知トレーニング」「対人マナートレーニング」「段階式問題解決トレーニング」など、4つのトレーニングから成り立っています。
今回は、「段階式感情トレーニング」のなかから、〔この人たちはどんな気持ち?〕の課題を紹介します。
このトレーニングは、課題シートの描かれた人たちの表情や状況を見て、この人たちは「どんな気持ちか?」「いったい何があったのか?」ということを想像することで、他者(複数)の感情を理解する力を養います。
他者が1人の場合に比べ、2人以上になると、その人たちの関係性やその場の状況を理解して、その気持ちを想像する必要があるため、他者の感情を考えることは一段と難しくなります。学校は集団生活となりますので、複数の人たちの気持ちを理解して対応することが重要です。ここではその力をトレーニングします。
可能ならグループで話し合い、いろいろな意見を交換し合ってみんなで共有するとよいでしょう。
〔この人たちはどんな気持ち?〕にチャレンジ!
ねらい
他者(複数)の表情や状況を読み取って表現する力を養います。
進め方
課題シートにあるイラストを見て、この人たちは「どんな気持ちか?」「いったい何があったのか?」を想像して課題シートに書いてもらいます。
課題シート
回答例:
実は…
「迷子になって、どうしていいか分からなくなった。」
ということがあって、
「悲しい」という気持ちなの。
おまわりさん
「助けてあげたい」という気持ちです。
「おこっている子どもとその友達の場面」や「気持ちが沈んでいる子どもと母親の場面」「悲しそうにしている子どもと話をしている子どもたちの場面」など、いろいろな場面のイラストを入れた独自のプリントを作ってみてはいかがでしょう。
授業の進め方
進め方は以下の手順を参考にしてください。※詳しくは『子どもの認知能力をグングン伸ばす!マンガコグトレ入門』(小学館)をご覧ください。
宮口幸治(みやぐちこうじ)
立命館大学教授 一般社団法人日本COG-TR学会代表理事
京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。困っている子どもたちの支援を行う「日本COG-TR学会」を主宰。医学博士、子どものこころ専門医、日本精神神経学会精神科専門医、臨床心理士。著書『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)が大ベストセラーになる。
取材・文・構成/浅原孝子 イラスト/畠山きょうこ、荻野琴美(オーデザインチャンネルズ)
出典:『社会面のコグトレ 認知ソーシャルトレーニング①段階式感情トレーニング/危険予知トレーニング編』(三輪書店)
著/宮口幸治 ・神島裕子
新書判 192ページ
逆境に苦しんでいる子への支援のヒントが満載
どの親のもとで生まれたかによって子どもの人生が左右される現実をカプセルトイにたとえた「親ガチャ」という言葉。 『ケーキの切れない非行少年たち』の著者と気鋭の哲学者が、全ての人が幸せを追求できる社会のあり方を考えながら、逆境を乗り越えるための心の持ち方、人生を切り開く力のつけ方を、哲学・精神医学・心理学の観点から具体的に提唱する。
『子どもの認知能力をグングン伸ばす! マンガコグトレ入門』(小学館)
著/宮口幸治
A5判 224ページ
教室を舞台にしたマンガでコグトレの進め方を楽しく具体的に紹介しています。「コグトレを取り入れたいけれど、何からどのように始めたらよいかわからない」という方にもピッタリの1冊です。「コグトレ」の代表的な50種のトレーニングのねらいや進め方・ポイントなどを、マンガを交えて易しく解説。紹介する課題のワークシートはすべてダウンロード可能。