水泳の学習は何から始めればいいの? 【使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業 #24】

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使える知恵満載! ブラッシュアップ体育授業
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小学校教諭

平川 譲
使える知恵満載! ブラッシュアップ 体育授業

入学前からの経験の差にかかわらず、どの子も楽しく水泳の学習に取り組めるようにするには、低学年の水泳をどのように始めればいでしょうか。ここでは、入門期の水慣れの学習について紹介していきます。

執筆/新潟県公立学校教諭・竹松 譲
監修/筑波大学附属小学校教諭
 体育授業研鑽会代表
 筑波学校体育研究会理事・平川 譲

Ⅰ.水泳の学習を始めるにあたって

1.家庭と連携して取り組みましょう

低学年の水泳では、顔に水がかかるのを嫌がったり怖がったりして、水に慣れるまでに時間がかかってしまう子どもがいます。そこで、水泳の学習が始まる前に、各家庭に以下のことをお願いしておくとよいでしょう。
水で顔を洗えるようにしてください。
お風呂でのシャンプーは、シャンプーハットは使用せずに、頭からお湯をかけてすすいでください。

2.シャワーで楽しく水慣れ

プールに入る前のシャワーも大切な水慣れの場です。しかし、水の冷たさからプール前のシャワーを嫌がる子がいます。

まずは、各家庭のシャワーで、お湯がかかる経験を積んでおくとよいでしょう。お湯で慣れておくことで、プール前のシャワーにスムーズにつなげられます。

プール前のシャワーでは、頭から水をかぶる経験を積み重ねましょう。シャワーに入る前に、「10秒チャレンジいけるかな」と声かけをしたり、シャワーの間に歌を歌わせたりするなど、子どもたちがシャワーで水慣れを楽しめるようにします。慣れてきたら、「手で顔を覆わずにできるかな」「シャワーの間、目を開けてみよう」と、顔に水がかかることにも挑戦させていきましょう。

Ⅱ.スモールステップで水慣れをしていきましょう

1.入水のさせ方 

まずは、プールサイドに座らせて足から入水させます。プールサイドは滑りやすいので、必ず座らせてから入水させましょう。プールの中に入ったら、肩まで水に浸からせます。慣れてきたら、頭まで水に浸かるように水中に潜らせていきましょう。

2.かけっこや動物歩き

水中でのかけっこは、水の特性により、子どもたちが水の中での走りにくさを体感することができます。これは、水の浮力や粘性によるもので、泳ぐことにつながる感覚となります。かけっこ以外にも、ワニ歩きやカニ歩きなどを通して、顔が水にかかることに慣れさせていきましょう。

水中で息を吐き出すことができない子には、「ブー(水中で息を吐き出す)・バッ!(水面に顔を上げて、さらに強く息を吐く。こうすることで自然に肺に空気が入っていく)」の口伴奏を唱えながら息を吐くように声をかけます。

顔に水がかかることに慣れてきたら、イルカジャンプなど、顔全部を水につける活動を増やしていきましょう。はじめは、顔に水がかかることを怖がり、完全に水の中に潜ることはできない子もいるかもしれません。繰り返し行わせることで、顔に水がかかったり水中に潜ったりすることに慣れさせます。

Ⅲ.友達と一緒に!

1.友達と手をつないで、「手つなぎブー・バッ!」

友達と一緒に活動することで、子どもたちが楽しく水慣れの活動に取り組むことが期待できます。ここでは、「手つなぎブー・バッ!」を紹介します。行い方は以下の通りです。

①4人組で手をつないで、輪をつくる。
②「せーの!」の合図で、手をつないだまま、4人一斉に水中に頭まで浸かり、「ブー・バッ!」をする。
③慣れてきたら、繰り返し「ブー・バッ!」をする。

友達と手をつないで行うことで、子どもたちが顔を手で拭えなくなり、水慣れに取り組むことができます。慣れてきたら、5回、10回と回数を増やしていきます。

2.楽しくゲーム感覚で、「じゃんけんじぞう」

じゃんけんを取り入れると、ゲーム感覚で水慣れの活動に取り組むことができます。ここでは、「じゃんけんじぞう」を紹介します。行い方は以下の通りです。

① 2人組でじゃんけんをする。
② 勝った子がおじぞうさんになり、負けた子が両手で10回水をかける。

じゃんけんを取り入れた活動で負けた子が水をかけられるルールにすると、罰ゲームのイメージになります。そのため、じゃんけんで勝った子が水をかけられるようにして、楽しい雰囲気で水慣れの活動に取り組めるようなルールにすることが大切です。

コロナ禍で、水慣れや水泳の学習が思い通りに進まず、「水が怖い」と感じる子も多くなっているかもしれません。今回紹介した活動等を通して、子どもたちが、「水の中って楽しい!」と思ってもらえたら幸いです。

そのために、安全に配慮した上で、楽しい雰囲気の授業づくりをすることが大切だと考えています。楽しい雰囲気の中で水慣れの活動を進め、今後の水泳学習につなげていけるようにしましょう。

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執筆
竹松 譲
新潟県公立小学校 教諭
1989年新潟県新潟市生まれ。子どもたちがたくさんの「できた!」を積み重ねられる体育授業を目指して、日々研鑽中。体育授業でのかかわり合いを中心として、子どもたち一人ひとりが安心して過ごすことのできる学級づくりを目指している。


平川譲先生

監修
平川 譲
筑波大学附属小学校 教諭
体育授業研鑽会 代表
筑波学校体育研究会 理事
1966年千葉県南房総市生まれ。楽しく力がつく、簡単・手軽な体育授業を研究。日本中の教師が簡単・手軽で成果が上がる授業を実践して、日本中の子どもが基礎的な運動技能を獲得して運動好きになるように研究を継続中。『体育授業に大切な3つの力』(東洋館出版社)等、著書多数。


イラスト/佐藤道子

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