3月の先生のお話|他者との関わりを楽しめる人に
1年間続けてきた教師のお話シリーズも今月で最終回。3年生の子供たちも学年が1つ上がり、いよいよ高学年の入り口に立つことになります。今回はそんな高学年へ向かうこの時期の子供たちに、伝えておきたいメッセージをご紹介したいと思います。
目次
新たな出会いを迎える子供たちへ向けた教師のお話
小グループを形成したり、同じ相手とばかり関わったりするなど、高学年に近付くにつれて仲間との関わりにまつわる課題がより多く見られるようになります。最近ではグループ活動に参加することができない、気の知れた友達以外には興味すらもたないというように、他者との関わりを断絶しようとしてしまうケースもあるそうです。
しかし、他者との関わりは子供たちの世界を広げてくれます。自分1人では思いつかない気づきが得られたり、新しいアイデアを一緒に生み出したり。他者と関わることでしか得られない経験がたくさんあります。新しいクラス、新しい仲間との出会いを目の前にした子供たちには、そんな他者と関わることの価値を伝えたいところです。
みんなももうすぐ4年生。また新しいクラスでの1年が始まります。
そこでは新しい仲間との出会いがあります。
「仲の良い友達はいるかな」「気の合う人はいるかな」と、心配している人もいるのではないかなと思います。
やっぱり、気心の知れた人がいると安心するし、話が合うと面白いので、先生もその気持ちはとてもよく分かります。
でも、そんな元々仲が良い人、なんとなく話が合う人とだけ話していてはもったいないな、とも先生は思います。自分とは全く考え方が違う人の意見を聞いてみたら、新しい考え方を知ることができるかもしれません。
話をしたことのない人と関わってみたら、自分の新しい一面を知ることができるかもしれません。そして、そんな人たちと力を合わせたら、新しいアイデアが生まれてくるかもしれません。
知らない人、初めて出会った人と関わることを、怖く思う人もいると思います。でも、そうやって他の人と関わることで、新しく生まれるものがたくさんあります。だから、少しの勇気をもってくれたらいいなと思います。新しいクラスでの、新しい出会いをぜひ大切にしてください。
新しい教室でも、子供たちが仲間との関わりの中で成長していくことができるよう、背中を押すことができたらと思っています。
毎日毎日話をしていると、どんな言葉を子供たちに話しているのか、あまり意識をしなくなってしまいます。ですが、こうして1年間子供たちに掛ける一つ一つの言葉を見直していく中で、その価値や意義を改めて実感することができました。最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。『第57回 実践!わたしの教育記録』特別賞受賞。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。