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リレー連載「一枚画像道徳」のススメ #20 美しい建物の街~弘前|木村麻美先生(弘前大学教育学部附属小学校)

連載
リレー連載 明日の授業に生きる!「一枚画像道徳」のススメ

北海道公立小学校教諭

藤原友和

子供たちに1枚の画像を提示することから始まる15分程度の道徳授業をつくり、そのユニットをカリキュラム・マネジメントのハブとして機能させ、教科横断的な学びを促す……。そうした「一枚画像道徳」実践について、具体的な展開例を示しつつ提案する毎週公開のリレー連載。第20回は木村麻美先生のご執筆でお届けします。

執筆/弘前大学教育学部附属小学校教諭・木村麻美
編集委員/北海道函館市立万年橋小学校教諭・藤原友和

1 はじめに

「一枚画像道徳」のリレー連載という楽しい企画のお話をいただき嬉しく思います。

「地域教材で道徳を」という藤原さんの理念に従い、地域のモノを教材にできないかと考えました。
私の勤務する学校は、他校に比べ隣の市町村から通学している児童も比較的多いので、公立学校の子供たちよりも地域にある資源や文化などについて「地元(自分たちの)の○○」という感覚が薄いような印象がありました。

子供たちがもともと知っている地域のモノで、そのモノについて深く知ったとき、今までよりこの地域が好きになって愛着をもって過ごしていけるのではないか、過ごしてほしいなと思い教材を選びました。

2 「一枚画像道徳」の実践例

対象:小学3・4年
主題名:美しい建物の街~弘前
内容項目:C-16 郷土愛

以下の写真を提示します。

写真を見て、「市民会館だ。」「弘前公園にある。」「校外学習で行った。」「エレクトーンの発表会で行きました。」「吹奏楽団の演奏会がありました。」という発言がありました。

発問1 この建物は好きですか。

好き…5人
きらい……0人
どちらでもない……11人

たぶん子供たちにとってはずっと前から当たり前にある建物で、そんなこと考えたこともないと思い、あえて好きかどうか聞いてみました。やはり「どちらでもない」に手を挙げた子が多かったです。

『じつはすごい建物だって知っていますか。』と聞いたら

「外国の人がつくったような……お母さんが言ってました。」というつぶやきがありました。

『みなさんにとっては弘前公園にある普通の建物ですね。』
 ここで、この建物について説明をしました。

説明

ここで、次のように説明します。

前川國男(新潟県出身、1905年~1986年)が設計した。
前川國男は東京帝国大学を卒業後、フランスに渡ってル・コルビュジエに建築を学んだ。(前川氏は当時、西ヨーロッパからみれば前近代的であった日本に、真正の近代建築を根付かせるという使命を自らに課した。日本と日本建築界は当時の先進地域と同水準の技術的な土台、経済的下部構造または生産の社会的諸条件を備えるべきであり、もしそれが先行あるいは並行して実現されなければ、日本の近代建築は見せかけだけの偽物にとどまるしかないであろうと、前川氏は考えた。※1
ル・コルビュジエがデザインした建物は、国立西洋美術館(東京)ほか、世界遺産に登録された建物が世界中に多数ある。
写真の弘前市民会館は1964年に建てられた(フランス滞在中に友人付き合いをした 駐仏日本大使館付武官の木村隆三が、故郷・弘前の振興を考えて依頼した。また、前川氏の母親の出身地が津軽藩である)。弘前市には前川氏が設計した建物が他に7軒ある。
前川氏の建造物は四角い形とコンクリート打ちっぱなしの外壁というシンプルな作りが特徴である。

発問2 この建物について、最初に写真を見たときとイメージは変わりましたか。

初めは「どっちでもない」だったけど、今は好きになりました。理由は世界遺産になった建物を作った人のお弟子さんが建てたって知ってすごいと思いました。
もっと好きになった。はじめは普通の人が建てたのかなって思ったけど、前川さんが留学して苦労して勉強して建てた物だって分かったからです。

さらに、弘前市内にある前川氏の他の建築物を紹介した。

弘前市役所
弘前市立病院

二つとも子供たちにお馴染みの建物です。
「行ったことあります。」「お母さんが仕事してます。」という反応がありました。

感想

大人になったら大工になりたいと思いました。(3年生)
将来、コンクリートのこういう家に住みたいです。(3年生)
今まで毎年当たり前のように使っていた市民会館が、外国に建築を勉強しに行った人が建てた物だって今日知ったので、今度市民会館に行ったらもっとちゃんと見てみたいと思いました。(4年生)
弘前にある前川さんの他の建物も見てみたい。(4年生)

3 他教科とのつながり

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