小1算数「20より大きいかず」指導アイデア
執筆/福岡県福岡市立弥生小学校教諭・阿部万優子
編集委員/国立教育政策研究所 教育課程調査官・笠井健一、福岡教育大学教授・清水紀宏

目次
本時のねらいと評価規準
(本時 1/ 16)
本時のねらい
10 のまとまりに着目し、具体物を用いた数学的活動を通して、20 より大きな数の数え方について理解する。
評価規準
10のまとまりとばらで数を捉え、その数を読むことができる。 ( 知識・技能)
問題場面
それぞれが とった ぼうは、なんぼんでしょう。

この2人が取った棒は、何本あるでしょう?
20 本よりも、たくさんあります。
今のままでは、わかりません。
10のまとまりを、つくったらいいと思います。
棒の数がすぐにわかるように、並べてみましょう(まゆさんとのりさんの棒と、同じ数の棒を配る)。
この問題に入る前に、子供たちを2人組にさせて、両手で棒をつかませます。どれくらいの棒を取ったのかを考えさせておくとよいでしょう。そうすることで、問題場面においても、ペアで数える活動を取り入れることがスムースだと考えられます。数える活動の際には、取った棒をすぐに数えることができるように、声かけを行います。
本時の学習のねらい
ぼうの かずが、すぐに わかるように ならべよう。
見通し
・5本ずつ数える。
・2本ずつ数える。
・10 本ずつ数える。
自力解決の様子
A:つまずいている子
数えた10 のまとまりを合わせてしまうなど、10 のまとまりの個数に着目できていない。
B:素朴に解いている子
10 のまとまりを正しくつくるが、10 のまとまりとばらについて、数え棒の配置が整理されていない。
C:ねらい通りに解いている子
10 のまとまりを正しくつくり、10 のまとまりを左側に、ばらを右側に置くなど、それぞれの個数が一目でわかるように、数え棒を配置している。
学び合いの計画
子供たちは、「20 までのかず」の学習で、20 までの数を10 のまとまりに着目して数えたり、数字で表したりしてきています。本時の学習でも、すぐに数がわかるためには、10 ずつまとめて数えればよいことを想起させることが大切です。
「20 までのかず」の学習から時間が経っているので、10 ずつまとめて数えることを忘れている子供もいるかもしれません。
そこで、全体交流の前にペア交流を仕組みます。10 のまとまりをつくっているペアと、そうでないペアを組ませることができれば、数え方にズレが生じ、友達同士で数え方を確認したり、友達の数え方を説明したりすることにつながります。
ノート例
全体交流
みんなは、どんな数え方をしたのでしょう。発表を聞くときは、どの数え方が、ぱっと見てわかるかを考えながら聞きましょう。(30 本のほうのやりとり)
僕は、5ずつ数えました。5、10、15、20本です。あと5、10 で10 本です。
10 のまとまりは、何個できたのかな。
3個です。
私は、2ずつ数えました。2、4、………10。
2、4、6、8、10。……。10 のまとまりが3個できました。
2ずつ数えても、5ずつ数えても10 のまとまりができますね。「20 までのかず」のときにも学習したように、10 のまとまりをつくって数を数えるとよいですね。(以下、この数を「さんじゅう」と言うことを、20 と関連付けながら知らせる)
全体交流では、数えるときは2ずつであっても、5ずつであっても、どちらも10 のまとまりをつくっていることをおさえましょう。
例えば、5ずつ数えている数え方を取り上げ、「5と5が10 であること」から、10 のまとまりをつくっていることを捉えさせましょう。
まとめをする際に、次時で学習する記数法につなげるために、10本の棒を束ねている状態のものを貼っておくとよいでしょう。
学習のまとめ
10 が2こと、ばらが6で、「にじゅうろく」という。
10 が3 こで、「さんじゅう」という。
評価問題
ぶろっくは なんこでしょう。

期待する解答例
10 のまとまりごとに線で囲み、10 のまとまりとばらを分けて、「よんじゅうろく」と数えている。
子供の感想例
10 のまとまりをつくると、かぞえやすかったです。
ワンポイントアドバイス
福岡教育大学教授 清水 紀宏
第1学年では、10 のまとまりに着目し、具体物を用いた数学的活動を通して、2位数や簡単な3位数の読み方や表し方について学習します。本単元は、20 までの数の学習を基礎としながら、十進位取り記数法を本格的に学習していきます。
この授業では、「なんじゅういくつ」の構成と読み方を扱っています。10 のまとまりに着目することが必要不可欠です。2とびや5とびというのは10 を確実に数える方法であり、どちらも10 のまとまりをつくっていることをおさえましょう。棒が何本あるか「すぐにわかるようにしたい」というめあてのもと、10 のまとまりをただつくるのではなく、まとまりとばらをどのように置けばわかりやすくなるかを工夫させたいところです。
活動は、最初は操作、次は(ノートに結果が残る)図となっていて、望ましい流れとなっています。
イラスト/佐藤雅枝
『小一教育技術』2019年1月号より