小1算数「かたちづくり」指導アイデア(2/5時)《3枚の色板で基本図形を構成》

特集
【文部科学省教科調査官監修】1人1台端末時代の「教科指導のヒントとアイデア」
小1算数「形づくり」指導アイデア

執筆/埼玉県入間市立金子小学校教諭・斉藤雄佑
監修/文部科学省教科調査官・笠井健一、浦和大学教授・矢部一夫

小二算数 年間指導計画

単元の展開

第1時 直角二等辺三角形の色板を使って、いろいろな形を構成する。

第2時(本時)3枚の色板で基本図形を構成する。

第3時 決められた枚数の色板で、いろいろな形をつくる。

第4時 数え棒を並べて、いろいろな形をつくる。

第5時 格子点を直線で結んで、いろいろな形をかく。

本時のねらい

図形の特徴についての理解を深める。

評価規準

色板の形に着目し、色板をずらしたり回したり裏返したりすることを通して、いろいろな形を構成、分解することを考え、説明している。(思考・判断・表現)

本時の展開

前の時間は色板を使って、いろいろな形をつくりました。たくさんの形ができましたね。みんなのつくった形を見て不思議に思ったのですが、この二つは同じ形と言えますか。

図1

2つとも金魚のような形だから同じです。

向きを変えると同じ形になりました。向きが変わっただけなので、形は同じだと思います。

なるほど。向きが変わっただけですね。では、この三つの形は同じ形ですか、違う形ですか。

図2

①と②は向きを変えれば同じです。

③は色が変わっているだけで、形は同じです。

色板の色や向きは関係なくて、周りの線で形は決まるのですね。



□まいの いろいたを つかって いろいろな かたちを つくりましょう。

1枚だったら何種類の形ができますか。

1枚だけでは、どうしても1種類しかできません。

そうですね。では、2枚だったらどうでしょう。

この3つです。

図3

では、3枚だったらどうでしょう。

やってみないと分からないなあ。



3枚の色板で、何種類の形ができるか考えよう。

見通し

たくさんつくってみて、できた形が同じかどうか確かめてみよう。

2枚でできた形にもう1枚つなげていくとできそう。

まず3枚で形をつくって、そのあと1枚ずつ動かしてつくれないかな。

自力解決の様子

A つまずいている子

  • 形はつくれるが、同じ形を違う形と捉えてしまったり、違う形を同じ形と捉えてしまったりする。

B 素朴に解いている子

  • 3枚を試行錯誤しながら、いろいろ組み合わせて形を構成している。

C ねらい通り解いている子

  • はじめに2枚の場合を考え、その形に残りの1枚を組み合わせて形をつくっている。
  • まずは3枚で形をつくり、その中の1枚の色板をいろいろ動かして新しい形をつくり出している。

学び合いの計画

3枚の色板をいろいろ組み合わせて形をつくる学習は、2枚の色板の場合に比べ、さまざまな形ができたり、別の何かに似た形が偶然できたりするなどの楽しさがあります。しかし、それだけでは「かたちあそび」となってしまいます。

そこで、「3枚の色板を使って何通りの形ができるか」という問題解決の場面を設定します。そうすることで、子供たちはできる形をイメージしながら形をつくったり、2枚の色板でできた形を基に、3枚目の色板を加えて形をつくったりするなど、数学的な見方を働かせて主体的に形を構成することができます。

そのためにはまず導入段階で、教師がルールを明確にすることが重要です。例えば、辺と辺どうしを付けることや、色板を重ねてはいけないことをしっかり押さえることが大切です。自力解決中にルールを追加することがないよう、明確にしておきましょう。

また、「ものの形を認める」活動を重視します。「形」というのは、図形どうしをつなげたときにできる線や色は捨象し、辺だけを見るということを子供に気付かせます。

さらに、ずらす(平行移動)、回す(回転移動)、裏返す(対称移動)をして、同じ形になるものは同じ形と見ることを導入で確認します。向きや位置によって形は変わらないということは、第5学年の合同な図形の素地指導となります。

学び合いでは、ペアやグループでの話合いを通して自分でつくった形を発表し、それぞれ出し合った形が同じ形か違う形か判断します。

そうすることで子供は、「中の線(対角線)の向きは違うけど同じ形だよ」「それは裏返したら同じ形になるよ」など、図形領域において大切な見方を深める学び合いをすることができます。これにより、組み合わせ方は多様でも、できる形は4種類であることに気付くことができます。

なお、前時の2枚の色板での形づくりの後、4枚の色板を使っていろいろな形をつくる活動も考えられますが、一つの形を基に、もう1枚の色板を順に動かすと落ちなくいろいろな形をつくることができるというよさに気付かせたいため、本時では3枚の色板で形をつくる学習にしています。

ワークシート例

※つくった形をプリントに貼れるように、各自に色板の紙を20枚程度配付する。

ワークシート例

全体発表とそれぞれの考えの関連付け

いろんな形を出し合えましたね。では、結果を発表してください。

僕たちのグループでは、この4種類になりました。

図4

この4種類は、どれも本当に違う形と言えますか。

回したり裏返したりしても重なりませんでした。だから違う形です。

ほかにはありませんか。

それだけだと思います。

この形はまだ出ていないのではないですか。

図5

回したら①と同じです。

では、これはどうでしょう。

図6

裏返して回したら、③と同じです。

では、どうやって形をつくったのか、説明してください。

いろいろ向きを変えてやってみました。それで同じ形になったら、またやり直しました。

なるほど、たくさん試してみたのですね。

だけど、そうすると同じ形が何回もできてしまって大変でした。

僕はこのように、2枚は動かさないで、3枚目だけを動かしました。

図7

確かにそうすれば、同じ形を何回もつくらなくてすみそう。

新しい形をつくるときの工夫も見付けられましたね。



・3枚の色板では、4種類の形をつくることができる。
・2枚目を動かさないで、3枚目だけ動かして探すとよい。

評価問題

いろいたを 1まい うごかして みぎの かたちに しました。うごかした いろいたに 〇を つけましょう。また、どのように うごかしたか せつめいしましょう。

図8

子供に期待する解答の具体例

① 
○を回して、右にずらすとできます。

図9


○を右上にずらすとできます。

図10

感想例

  • 2枚を決めて、3枚目を動かすと見付けやすい。
  • 4枚になると何種類になるのかやってみたい。

イラスト/横井智美

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