こんなことまで聞かれるの!? 小一「保護者会」想定問答集
えっ、こんなことまで? 思わず返答に困るような保護者からの問い合わせについて、どういった対応をとるべきか、模範解答を兵庫県公立小学校主幹教諭 佐藤隆史先生にお伺いしました。“一年生あるある”のテーマだけでなく、学年問わず参考になるので要チェックです。各学校のルールにあわせて応用してください。
1:登下校編
Q「近所に友達がいないので、子どもが一人で登校したがりません。本日、欠席させます」
A「学校で、近所の友達に、朝、なるべく誘いに行くよう話をしてみましょう。安全面での心配もありますから。ただ保護者の同意も必要ですので必ずしもそれが実現するとは限りませんが、実現できないときは私がお迎えに行くことも考えていきます。お子様が登校できるようになるまでは、なんとか学校へ一緒に連れてきていただくようお願いします」
Q「友達とけんかばかりするので、子どもを一人で行かせます。登校班を変えてください」
A「本校では、登校班で登校するきまりとなっています。決められた登校班は変えることができません。友達とのけんかについては、当事者から事実関係を聞いて、解決にあたります。おうちでも、引き続き、登校できるよう励ましてくださるようお願いします」
Q「登下校が心配なので、携帯電話を持たせます」
A「本校では、携帯電話は禁止しています。学校としては、登下校を見守るボランティアをお願いしています。また、なるべく近所の友達と登下校するよう呼びかけていますし、お子様の登下校が、保護者の携帯に通知されるシステムも導入しています。それらを通して、子どもたちの登下校の安全を図っていますのでご安心ください」
2:給食編
Q「うちの子は、偏食なので、お弁当を持たせたいのですがいいですか
A「本校では、給食を食べることになっていますので、お弁当を持ってくることはできません。好き嫌いなく、偏りなく栄養を摂取することが、学校教育でのねらいでもあります。無理強いするのではなく、少しずつ偏食を直していきますので、安心して学校にお任せください」
Q「牛乳が苦手で飲めないので、お茶を持たせてもいいですか」
A「アレルギー等で、医師からも禁止の指示がある場合は、お茶を持たせていただいて構いませんが、それ以外の理由では、承諾しかねます。牛乳が苦手ということですので、お子様に少しずつ牛乳に慣れさせながら、飲めるよう指導を重ねて参ります。まず、少しの量からがんばっていきます」
3:体育編
Q「人前で体育着の着替えが恥ずかしいので、一人での場所を用意してください」
A「ほかに同意できる理由がある場合は、下着の上に体操服を着るなど、ご相談に応じられますが、「恥ずかしい」という理由だけでは承諾しかねます。集団生活を送っていく際にはそのような不自由な場面も生じてきます。学校では、物理的にも一人だけの着替えの部屋を用意するのは不可能です。ご理解ください」
Q「プールに葉や虫が浮いていて不衛生なので、見学させます」
A「プールに浮いている葉や虫は、水泳指導の前に、教師が取り除いています。また、プール内は常に、決められた基準の消毒がしてあります。安心して泳いでください」
4:けが・薬編
Q「給食をすませた後に、風邪薬を飲ませてください」
A「薬を飲ませることは『医療行為』にあたります。教師は、医療行為をしてはいけないことが定められています。そのため、薬は保護者の責任で学校に持たせていただき、子どもが自分で飲むことになります。給食後に飲むよう、声かけはします。ご理解ください」
Q「湿疹ができたので、3時間おきに軟膏を塗ってください」
「ものもらい用の目薬がさせないので、代わりにお願いできますか」
A「薬を塗ることは『医療行為』にあたり、教師は医療行為をしてはいけないことが定められています。薬は保護者の責任で学校に持たせていただき、子どもが自分で塗ることになります。ご理解ください(目薬も同じです)」
5:座席編
Q「視力が弱いので、席を前のほうにしてください」
A「了解しました。お子様が見える位置まで席を移動いたします」
Q「A君にちょっかいを出されるようなので、席替えをしてほしいです」
A「お子様とA君に事情を聞いて、問題が解決するよう努力します。そして、しばらく様子を見て判断します」
6:学習編
Q「宿題をうちでやらないので、声かけをしてもらえないでしょうか」
A「了解しました。私からも励まします。ただ、宿題は家庭学習ですので、ご家族の方からも励ましてくださるようお願いいたします。学校と家庭、両方から励ませば効果は必ずあるはずです」
Q「うちの子の勉強は、まわりの子についていけていますか」
A「このように、お子様の学習について、関心をもっていただいていることに感謝いたします。学習につきましては、学校が責任をもって学力を身につけられるようにして参ります。その中で、ご家庭でも、家庭学習の様子をノートなどで見ていただくと助かります。学校と家庭、両方から励まして、見守っていきましょう」
『小一教育技術』2016年4月号より