「Z世代」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【毎週月曜更新】
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近年よく耳にするようになった「Z世代」という言葉。この世代が社会に出て、活躍を見せるようになっていることから、彼らの動向に注目が集まっています。

執筆/創価大学大学院教職研究科教授・宮崎猛

Z世代とは?

Z世代とは、一般に1990年代中盤以降に生まれた世代を指します。2000年代に生まれた若者を指すこともあります。これはアメリカで生まれた世代の分類で、X世代(60~70年代生まれ)Y世代(80~90年代生まれ)に続くことからZ世代という名称がつけられました。X世代は「ジェネレーションX」、Y世代は「ミレニアル世代」と呼ばれることがあります。

Z世代の特徴のひとつは「デジタルネイティブ」といわれる、インターネットがすでに普及した環境で生まれて育った若者であることです。スマホやタブレットを駆使して情報を入手・発信したり、SNSなどで人間関係やコミュニティを築いたりすることを、当たり前に受け入れている世代ということができます。

Z世代がなぜ注目を集めるのか

2000年生まれの若者の多くは、2022年に大学を卒業し、社会人、職業人として働きはじめることになりました。アメリカではZ世代が総人口の3割を占め、2020年代半ばまでに多くの人が労働市場に出ることになります。彼らの価値観やライフスタイルが政治や経済、社会に対して大きな影響を与えることになります。

一方、日本は少子高齢化が進んでいて、20代が人口に占める割合は1割に過ぎません(「2021年人口統計」)。人口比からは少数派ですが、今後の日本を担っていく世代であり、また世界がZ世代に注目する中で、看過できない世代として認識されるようになりました。

Z世代の特徴とは?

日本のZ世代の特徴としては、一般に「モノ(商品)」よりも「コト(サービス・経験)」、すなわち娯楽や経験に価値を見いだす傾向があり、それは若者のマイカー離れやカーシェアリングなどの消費動向に表れているとされています。また、他者との競争よりも自己実現や社会貢献に対する欲求が高いという特徴も指摘されています。

北陸経済研究所は、北陸3県に本社のある企業の新入社員を対象に、仕事への取り組み姿勢や今後の不安、就職活動などについて調査を行い、その結果を通してZ世代の特徴について分析しました(「2022年度新入社員意識調査結果報告書」)。

調査のうち「働く」ことについて現時点でどう考えているかを尋ねた質問では、「仕事も大事だが個人の生活も大事にしたい」が82.2%と圧倒的に多く、次いで「自分の能力を活かせる仕事をしたい」が47.9%、「自己のスキルアップを第一に仕事をしたい」が31.0%と上位に続きました。また、「人並みに働いて給料をもらえればよい」の30.0%をはじめ「できれば楽な仕事をしたい」(16.9%)、「給料は少なくても残業はしたくない」(12.7%)などの回答も一定程度見られました。

こうしたことから、同研究所は「新入社員のうちからワークライフバランスの考え方を強く意識している点は、いかにもZ世代らしい特性」「仕事に対してやや冷めた姿勢を示す新入社員も相応の数が存在する」と分析しています。

また、これから仕事をしていく上で「どんなことが不安か」についての質問では、「仕事での失敗やミス」(38.0%)や「自分の能力やスキル」(24.9%)などを抑えて、「上司や同僚との人間関係」が61.5%と突出して多い結果となりました。

こうしたことから同研究所は「特に今年の新入社員はコロナ禍によるオンライン授業の期間が長かったため、学生時代に対面接触の機会が少なかったことも、人間関係への不安が大きいことに影響しているのではないか」と考察しています。

教育の視点からは、今後数年すると、デジタル機器に囲まれて生活し、新型コロナウィルスの影響を受けた世代が教壇に立ち、また親として育児に携わることになります。Z世代の動向は、消費社会に影響を与えるだけではなく、教育界を含む社会全体へも影響を与えると認識することが求められています。

▼参考資料
北陸経済研究所「2022年度 新入社員意識調査結果報告書」2022年5月
日経新聞(ウェブサイト)「Z世代ひとくくりでは粗すぎ? 『#08世代』が席巻」2022年5月14日掲載
日経をヨクヨムためのナビサイト(ウェブサイト)「きょうのことばセレクション Z世代」2020年8月1日掲載

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