小3国語「はんで意見をまとめよう」板書の技術

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見やすく理解しやすい「単元別 板書の技術」元京都女子大学教授・同附属小学校校長 吉永幸司監修
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今回は「はんで意見をまとめよう」という教材を通して、進行を考えながら話し合いをまとめていくという単元です。仕事内容やそれぞれの役割、話し合いの進め方などを表にまとめ、話し合いのしかたがわかるような板書を紹介します。その後、役割ごとに話し方を練習し、話し合いのしかたを学んでいきます。色違いのカードなどを工夫することによって、よりわかりやすい板書となります。

監修/京都女子大学附属小学校特命副校長・吉永幸司
執筆/埼玉県公立小学校教諭・須藤由恵(せせらぎの会)

 

単元名 進行を考えながら話し合おう
教材名「はんで意見をまとめよう」(光村図書 3年)

単元の計画(全8時間

第一次 単元の学習のめあてを確かめ、学習の見通しをもつ。(2時間)
1 教材文を読み、単元の学習計画を立てる。
2 目的と決めることを確かめ、自分の意見をもつ。

第二次 役割を決め、進め方を確かめる。(2時間)
3 班の中で役割を決め、話し合いの進め方を確かめる。
4 班で話し合いの計画を立て、役割ごとに話し方の練習をする。

第三次 役割に応じて話し合い、グループの考えをまとめる。(4時間)
5 班で話し合う。(第1回)
6 話し合いでよかったところやうまくいかなかったところを伝え合う。
7 班で話し合う。(第2回)
8 学習全体を振り返り、学習のまとめをする。

板書の基本

教材は、次のような進め方で構成されています。

①目的と決めることをたしかめ、自分の考えをもつ。
②役わりを決め、進め方をたしかめる。
③はんで話し合う。
④話し合いのしかたで、よかったところをつたえ合う。

特に、③では、班での具体的な話し合いの様子が話し言葉で示されています(付属CDにもあります)。
教科書に準じて、以下のように板書を考えました。

〇子供たちが主体的に単元計画を考えられるような板書

子供たちが「やりたい」「学びたい」と主体的に活動ができるように授業を計画します。そのために、話し合いのテーマを大切に扱うとともに、子供たちからの声を反映させながら、学習計画を立てます。

本単元までの話し合い活動(国語の学習や学級会など)を振り返り、個々が漠然と感じていた課題を学級の課題として捉えさせ、教師が集約して板書します。さらに、課題解決のためにどのような活動が必要か、子供たちなりの意見を出させて、板書します。

役割を意識しながら話すヒントになるような板書

一人一人が自分の役割を意識しながら話し合いを進められるように、話し方のヒントになる色別カードを用意します。話し合いの文例の中から、進め方で気を付けること(「進め方カード」)と話し合いの基本となる話型(「話し方カード」)を用意し、役割ごとに色を変えます。このカードは、教室に掲示し、学習後も継続して活用できるようにします。

板書を活用した授業の進め方(1/8時間目)

小3国語「はんで意見をまとめよう」板書の技術 板書
1/8時間目の板書

1 学習への興味を喚起する

単元名「進行を考えながら話し合おう」や教材名「はんで意見をまとめよう」を基に、本単元の主な活動を知らせます。学級ポストの内容や学校行事、他教科との関連を考えながら、話し合いたいテーマを発表させ、板書します。

2 めあてを確かめる

本時のめあて「学習計画を立てよう」を板書し、確かめます(ここでいう学習計画は、学習の進め方を意味しています)。

3 話し合い活動の課題と解決するための方法を話し合う

本単元までの話し合い活動を振り返らせ、課題となることを箇条書きで板書します(「◎今までのか題」)。そして、課題を解決するための考えを発表させ、板書します(「◎かいけつするために」)。

さらに、班で話し合うことの意識を高めるために「少人数で話し合う」と板書します。また、ポイントとなる言葉(「せっきょく的に」「理由」「(話が)それないように」「練習をする」)に黄色チョークでサイドラインを引きます。話し合いに慣れながら、話し合いの仕方を習得していくことを意識させるために「数回話し合い、話し合いになれる」と板書します。

子供たちの意識を高めたところで、意見をまとめる話し合いをイメージさせるために、QRコード(教科書添付)の動画を視聴させます。

4 単元の学習計画を立てる

子供たちと一緒に学習計画を立て、板書します。これまでの教科や学級会などの話し合い活動を想起させ、教科書に示されている「学習の進め方」(①目的と決めることをたしかめ、自分の考えをもつ。②役わりを決め、進め方をたしかめる。③はんで話し合う。④話し合いのしかたで、よかったところをつたえ合う。)を参考にします。

5 振り返りをする

「学習の見通しをもつことができたか。」を問い、感想を書かせます。

※学習計画は、タブレットやデジカメで撮影しておくことで、次時にも生かせるようにします。

板書を活用した授業の進め方(3/8時間目)

小3国語「はんで意見をまとめよう」板書の技術 板書
3/8時間目の板書

1 めあてを確かめる

本時のめあて「はんで役わりを決め、話し合いの進め方をたしかめよう。」を板書し、本時の学習の見通しをもたせます。

2 仕事内容を確かめ、役割を決める

まず、班で話し合っている挿絵を貼り、1班が(3~)4人であることを確認します。

次に、役割、仕事内容、担当者がわかる表を板書します。役割の欄には、「司会」「記ろく」「時間」「さんか者」の4枚のカードを貼ります。仕事内容を確かめて板書し、班ごとに担当を決めて表を完成させます。

役割の「司会」はピンク、「記ろく」は白、「時間」は青、「さんか者」は緑のカードにします。このように色分けすることで、次に学習する「進め方」や「話し方」を捉えやすくします。

3 順序に沿って、「話し合いの進め方」を確かめ、表にまとめる

教科書の例にある上田さんの班の話し合いを基にして、「話し合いの進め方」を確かめます。

まず、「◎話し合いの進め方」と板書し、4段の表の枠を書きます。

次に、進め方の「じゅんじょ」は、「決め方をたしかめる」「決め方にそって話し合う」「話し合いをまとめる」であることを確かめ、表の1段目に3枚のカードを貼ります。2段目に「役わり」の8枚のカードを貼り、教科書の付属CDで実際の話し合いを聞きます。その際には、話し合いのときに使いたい言葉や、進め方を見つけながら聞くように伝え、聞いた後は、次のような手順で学習を進めます。

①文例を参考にしながら、「進め方」を確かめる(文例とは、教科書の話し合いの様子を書いた文章)。

「司会」が「話し合いの目的と進め方をたしかめる」ので、そのカードを表の3段目に貼る。文例を読みながら、同様の手順で、3段目をまとめる。

②役割ごとの「話し方」(4段目)を確かめる。

1つずつ例を挙げ、学習の仕方を伝えてから個人学習をさせる。

<例>
◯司会
司会が「話し合いの目的と進め方をたしかめる」ために使いたい言葉や文を教科書の話し合いの文章の中から探し、線を引かせる。発表を受け、「……の目的は、……です。」という「話し方カード」を表の4段目に貼る。
◯参加者
参加者が発言をするときは、「考えとその理由を言う」場合は、「わたしは……がいいと思います。
その理由は……だからです。」という話し方をするとよいことを確かめ、「話し方カード」を貼る。

上の例と同様に、個人学習で、教科書の話し合いの文章の中から使いたい言葉や文を見つけさせる。その後、全体で確かめ、発言を整理しながら、「話し方カード」を貼り、役割ごとの話し方を表にまとめる。

4 学習の振り返りをする

本時の板書を見ながら、どのような学習をしたかを子供たちと確かめ、自分の言葉で振り返りを書かせます。

※「進め方」を意識した「話し方」をしていくと意見がまとまりやすくなることに気付かせ、授業後は、「話し方カード」を教室に掲示しておきます。

 

構成/浅原孝子

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