【木村泰子の「学びは楽しい」#7】「特別支援学校」についてどのように感じていますか?

映画「みんなの学校」の舞台、大空小学校の初代校長の木村泰子先生が、全ての子どもが自分らしくいきいきと成長できる教育のあり方についてアドバイスする連載第7回目。今回は、特別支援学校に対する読者の方のご質問から、特別支援学校の意味、地域の学校のあり方を考えていきます。(エッセイのご感想や木村先生へのご質問など、ページの最後にある質問募集フォームから編集部にお寄せください)【 毎月22日更新予定 】
執筆/大阪市立大空小学校初代校長・木村泰子

目次
いっしょに問い直しませんか
読者の方から次のような声をいただきました。
「泰子さんは、特別支援学校についてはどのような印象をもっていますか? 知的障害や肢体不自由、盲、ろうなど障害種別に学校があります。特別支援学校もパブリックの学校に変わりはないのですが、どのように感じておられるのか教えてほしいです」
貴重な声をいただきました。このコーナーでみなさんと一緒に問い直したいと思います。
「地域の学校」では命がつなげない!
2006年に大空小が開校したのですが、開校の2年目に入学する子どものお姉ちゃんが特別支援学校に通っていました。弟と一緒に大空小に転校しないかと母親に声をかけたのです。母親は、誘ってくれたのはうれしいが、うちの子どもは大空小では命をつなぐことはできないと断られました。重度の脳性麻痺と診断されていて、呼吸が止まることもあり、何度も緊急入院を余儀なくされるとのことでした。地域の学校で学びたくても学べないのだと知ったときに言いようのない無力感を感じたことを覚えています。
2015年に「みんなの学校」が全国で上映されてから、全国の方々と学ぶ機会をいただいています。上映された当初は、特別支援教育を研究されている研究者や特別支援学校の先生方からとても厳しい声をいただきました。「みんなの学校」は特別支援学校や特別支援教育を否定しているのか、特別支援学校は不要だと言うのかなどです。
(そんな二項対立の話ではないはずなのに……)と、共に行動したい願いをもちながらも共有できる言葉ももてずに時間が過ぎたのですが、今は特別支援学校の先生方が地域の学校の先生方を巻き込んで上映会をしておられます。
みなさん、この変化の原因は何にあると思われますか?