発達障害グレーゾーンの子も教室で安心できる担任の対応とは

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支援を要する子供たちへの適切な対応集
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岡山県公立小学校教諭

南惠介

大きな行事が終わって学校全体で動くことが減ると、学級単体での「力」がはっきり示されるようになってきます。
通常学級にいる、発達障害におけるグレーゾーンが疑われる子どもたちを安心させるために教師ができることとは何でしょうか?
特別支援教育をベースにした学級経営を提言されている南惠介先生に教えていただきました。 問いに対する答えを自分で考えながら、読んでみてください。

執筆/岡山県公立小学校教諭・南惠介

環境調整イメージ
撮影/浅原孝子

Q 学級の雰囲気づくりについて

特別な支援について語られるときに、「『穏やかで温かな学級』をつくりましょう」とよく言われます。そのような雰囲気づくりとは具体的にどんなことなのでしょうか。

A 環境調整8つのポイント

支援が必要だと言われている子(だけではありませんが)にとりあえず必要なのは、「安心できること」「ドキドキワクワクすること」です。不適切な行動の背景は、大きく「不安と緊張」そして「適度な快楽や興奮の不足」だというのが私の一貫した主張ですが、一つ一つの行動に対して、あれこれ支援し、対応するのは本当に大変です。

そこで、教室の雰囲気を「安心できるように」「ドキドキワクワクできるように」子どもたちの「環境」を整えていきます。人間関係や身の回りのものなどの「環境」を調整することにより、イライラした状態を少なくすることを「環境調整」と言います。(「環境調整」という言葉の定義には立場によっていろいろあるようなのですが、ここでは簡単に「気になる子」を取り巻くさまざまな環境ということで話を進めていきます)。

多くの教室で、特別な支援が結果的に十分できないのは、「個に対する支援が細かく提示されること」だと考えています。その前に「環境調整」というざっくりとした「支援」を全体に行ってみましょう。

実際、私自身は個に対する支援はさほど多くありません。実際、意識して「その子だけ」に行っていることは非常に少ないのです。まずは、多くの子に「よいと考える環境」を「調整」しましょう。その結果、不適切な行動はすごく少なくなります。教室で行う「環境調整」で重要なものはなんでしょうか。次のように8つに整理してみました。

環境調整8つのポイント
1.にっこり笑っているか
2.ほめているか
3.許しているか
4.予告をしているか
5.簡単にわかりやすく示しているか(視覚)
6.笑いはあるか
7.動かしているか
8.ここからは駄目というラインは示しているか

1.にっこり笑っているか

教師自身も子どもたちにとっては大きな環境です。目の前でずっと立っている大人が「いつもにっこりしている」だけで子どもたちは安心するし、「いつも怒ったような顔や無表情で立っているだけで」子どもたちは不安を感じます。

2.ほめているか

ほめられることで、子どもたちはワクワクドキドキします。たくさんしっかりほめましょう。

笑顔でほめましょう
笑顔でほめましょう イラスト/大橋明子

3.許しているか

失敗をすごく恐れている子がいます。先生の口癖に「大丈夫」を、つけ足してみましょう。

4.予告をしているか

「見通しをもたせる」ことにつながります。この8つの中でも最重要だと個人的には考えています。「これから何をするのか」「いつ終わりになるのか」この2つを子どもたちにわかりやすく提示しましょう。過去の号、あるいは「2017年8月号増刊 1年の学級経営」(小学館刊)に具体的にいくつかの例を提示しています。ご参考になさってください。

5.簡単にわかりやすく示しているか(視覚)

言葉は短いか。禁止や抽象的な言葉ではなく、すぐ行動に移せるような言葉か。ぱっと「見て」わかるか。情報は多すぎないか。簡単に簡単に、わかりやすく示す癖をつけましょう。

6.笑いはあるか

笑いは子どもたちをワクワクドキドキさせると同時に、安心させることができます。「にっこりできる」「わははと笑える」いろいろな形で笑顔が見られるような工夫や取り組みをしましょう。

7.動かしているか

じっとしていることが大きなストレスになる子は多いです。とくに一年生はそうです。授業の中で、ちょっとだけでも「動く」ということを目的にした時間をとってみましょう。

8.ここからは駄目というラインは示しているか

「叱る」のはできるだけ控えたいものですが、何が駄目なのかわからないと落ち着かない子がいます。また、意図せずに不適切な行動を起こす子もいます。これが駄目というラインはしっかり示しましょう。

このような大きな網をかけてもなお、支援が必要だと感じることがあります。しかし、個人への支援は「環境調整」という大きな網を全体にかけてからでよいのではないかと思います。だって、とくに若い先生方にとっては、日常の1時間の授業をこなすことだけで結構大変だったりしませんか? その上で、何人もの個別支援なんて、現実的に無理だと思います。

まずは、ざっくり大きな網をかける。その上でとくに学習障害を中心とした「個」への支援を行う。この辺りが現実的に可能で、そしてこの「環境調整」が「穏やかで温かな学級の雰囲気づくり」につながるのではないでしょうか。

『小一教育技術』2017年11月号より

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