学級レクや国語授業に最適!知的で楽しい言葉あそび6選
本シリーズでは、遊びを通してことばのセンスを磨いたり、ルールを守って遊ぶ大切さを学べる「ことば遊び」を紹介していきます。 今回は、語呂合わせやしゃれ言葉など、言葉の「音」に注目した遊びを提案します。
目次
数字で語呂合わせ
数字にはいろいろな読み方があります。古い数のかぞえ方や英語まで含めて、数字の読み方のバリエーションを表にまとめてみました。
この、バリエーション豊富な数字の読み方を利用して、さまざまな試みがされてきました。たとえば、〝西向く侍〟は、小の月(日数が30 日以下の月)を覚えることばで、2・4・6・9・11 月を表しています。
学校では、暗記のために利用されてきました。たとえば、歴史の年号を覚えるには、
710 年 なんと(南都)きれいな平城京
794 年 鳴くよウグイス平安京
1185 年 いい箱つくろう鎌倉幕府
1868 年 一つやろうや明治維新
平方根は、
√2=1.41421356 一夜一夜に人見ごろ
√3=1.7320508 人並みにおごれや
√5=2.43620679 富士山麓にオウム鳴く
よく使われる電話番号は、
3387 番は「 耳鼻」で、耳鼻科のお医者さん
4103 番は「 よいお産」で、産婦人科のお医者さん
1126 番は「 良い風呂」で、温泉や銭湯
今日は何の日?では、
5 月30 日 → ゴミ、ゼロ → リサイクルの日(ゴミゼロの日)
6 月 4 日 → ムシ → 虫歯予防デー
10 月 2 日 → トオフ → 豆腐の日
子どもたちと、おもしろい電話番号を考えてみましょう。まず、お店や職業を決めてから電話番号を考えると、つくりやすいようです。831(野菜)、29(肉)などがすぐに思いうかびますね。また、数字を使った暗号づくりもできそうです。〝0840〟は〝おはよう〟、〝724106〟は〝何してる?〟、〝0906〟は〝遅れる〟というように。。数字で表せる地名もあります。たとえば、名古屋は〝758〟、福井は〝291〟、伏見は〝243〟です。
パロディーでことば遊び
もともとある有名な文や文句などを少しだけかえて、まったく違う意味にしてしまうのがパロディーです。オリジナルとの落差があるほど、おもしろくなります。
かえ歌をつくろう
子どもも大好きなかえ歌づくりをしましょう。コマーシャルや流行歌、童謡など、何でもかえ歌がつくれます。ここでは、北原白秋の「この道」のかえ歌をつくってみましょう。
この道はいつか来た道
北原白秋作詞「この道」
ああ、そうだよ
あかしやの花が咲いてる。
❶には名詞を入れます。同じものです。
❷には、過去にしたこと、動詞が入ります。
❸は、忘れられない、❶についての思い出を入れます。
語呂合わせでパロディーをつくろう
語呂合わせは、多少無理があるほうがおもしろいといえます。語呂合わせを使って、誰でも知っているような俳句、川柳、標語、セリフ、四文字熟語、決まり文句、ことわざ、題名など、あらゆるもののパロディーをつくって遊びます。新聞の見出し、とくにスポーツ新聞の見出しに、このパロディーの手法がよく使われているようです。
たとえば、次のようなパロディーがあります。
①風邪で又さぼろう
②中年老い易くガクガクになりやすし
③質屋かめしやか
④雑魚寝の山はテントの縁
⑤ちり、もつ、レバー、山に盛る
オリジナルは、
①風の又三郎(宮沢賢治)
②少年老い易く学成り難し(漢詩)
③ひっちゃかめっちゃか
④箱根の山は天下の嶮(唱歌)
⑤チリも積もれば山となる
有名なフレーズを見事にパロっています。
次のフレーズのパロディーをつくってみましょう。
犬もあるけば ぼうにあたる → 犬もあるけば たちしょんべん
… 確かに
鬼の目にも涙 → 鬼の目にも コンタクト
… 鬼もおしゃれになった?
太平洋戦争の末期、食料はじめいろいろな物資が払底し、配給制になりました。そのとき、政府がつくったのが「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」という標語です。これを、「工」を消して「足らぬ足らぬは夫が足らぬ」とかえた人がいるそうです。たくさんの男たちが戦場に駆り出されていたからです。
また同じころ、「ゼイタクは敵だ」という標語に「素」を加え「ゼイタクは素敵だ」にかえた人がいたそうです。この書き加えや消去がほんとうに戦時中に行われたのか、戦後行われたのか不明です。
もし戦争中に行われたのだとしたら、戦時体制の中でも精神の自由な人がいたことに驚きをおぼえます。それが戦後だとしたら、やっと手に入れた心の自由と戦争に対する批評精神が、このことば遊びをさせたのでしょう。
しゃれことば清濁
〝 か→が〟や〝す→ず〟などのように、点をつけて清音を濁音にかえるだけなのに、まったく違う意味のことばになってしまう。この、日本語の特性を生かした遊びが〝しゃれことば清濁〟で、語呂合わせの一種です。
〝 さる〟と〝ざる〟、〝ほうちょう(包丁)〟と〝ぼうちょう(膨張)〟、〝橋〟と〝恥〟、〝金〟と〝銀〟、〝霧〟と〝義理〟、〝かけ(賭)〟と〝がけ(崖)〟または〝かげ(影)〟、〝強制〟〝矯正〟〝教生〟〝共生〟と〝行政〟など、清濁ことばはたくさんあります。これでちょっと遊んでみましょう。
それでは清濁ことばで、文をつくってみましょう。
「世の中はすむとにごるで大ちがい」このことばから始まります。そして、〝○に…、●に…〟と、その理由をつなげていきます。○は清音語、●は濁音語です。○と●に、両者の違いを盛りこんでおもしろくつくりましょう。
傑作をいくつか紹介します。
しゃれことば同音異義語
同じ発音なのに意味が違うことばは、同音異義語です。日本語は同音異義語が多く、しゃれが生まれやすい言語なのです。しゃれことばを、いくつかのパターンに分けてみましょう。
①同音異義語をそのまま使うダジャレ
・エイはエイよ
・白い城
・隊長の体調
・胃腸にいちょうの葉が入った
・電話にでんわ
・わしはワシだ
・ヘビー級のへび
②ことばの一部が同音で重なるしゃれ
・おにのおにぎり
・黒いざくろ
・パンダのパンだ
・オルガンをおる、ガーン
・げたがにげた
・マスをつりマス
③ ①と②を組み合わせるしゃれ
・このカッターは、はさみに勝った。よかったー。だから買った。
・イカつったらイカんとイカの怒り
④英語&日本語コラボのしゃれ
・牛を買う(うしをcow)
似たものことば
しゃれの中には、一字かえるだけで意味が違ったり、撥音や促音を入れたり、拗音、拗長音にかえるだけでことばの意味が違ってくることを利用したものがあります。それを二つ並べて、つながりのおもしろさをねらったのがこの遊びです。二つのことばがまじわることで、新しいイメージが広がり、笑いが起こります。かんたんな物語づくりともいえます。
たとえば、〝こむすび〟と〝おむすび〟は、一字違いです。〝こむすびのおむすび〟ってどんな味でしょうか。大きそうでギュッと力強くにぎってありそうです。〝 マッチ〟と〝町〟は、はねる音(撥音)が入っただけの違いです。ツッコミを入れながら読むと、楽しさ倍増です。その例をいくつかあげます。
しゃれことば&なぞかけ
昔、テープレコーダーがまだ珍しかったころ、買ってきたテープレコーダーに家族みんながそれぞれ歌を吹き込もうということになりました。そのとき初めておばあちゃんの歌を聞いたのですが、見事な〝ネギ〟で、家族みんなで大笑いしました。〝ネギ〟つまり、節がなく、メロディーがききとれない一本調子の歌だったのです。
また、こんなことばに感心したことがあります。思いどおりにならないときに、「もう〝便所の火事〟や!」と言う人がいました。「え? 何のこと?」「やけくそ(焼け糞)や。」と言うのです。やや下品ですが、なかなかよくできています。そんなしゃれことばをいくつか集めてみましょう。
下手な将棋 … 金銀もって苦しんでいる
夏のはまぐり … 見くさって、買いくさらん(身腐って、貝腐らん)
金魚のおかず … 煮ても焼いても食えない
赤子の行水 … (金がなくて)タライ(足らない)で泣いてる
竹屋の火事 … ポンポン言う
五合徳利 … 一升(一生)詰まらん(つまらん)
日常会話で使えると、ずいぶん楽しいでしょう。
しゃれことば遊びの集大成といえる〝なぞかけ〟は、落語家さんがよくやる、
〝○○とかけて〟
〝□□ととく〟
〝その心は〟〝…〟
というあれです。
きれいな例では、
〝破れ障子とかけまして〟
〝うぐいすととく〟
〝その心は〟
〝春を待つ(貼るを待つ)〟
のようなものがあります。
執筆/小宮山 繁
イラスト/林 幸・渡井しおり
Compact64『ことば遊びアラカルト』より