【相談募集中】高学年の子どもが意欲的に参加する、音楽の授業づくりとは?

北海道小学校合唱教育研究会事務局長

畠山美砂

「高学年の音楽授業が思うようにうまくいかず悩んでいます」と、「みん教相談室」に相談が届きました。これに対し北海道小学校合唱教育研究会事務局長・畠山美砂先生は、具体的な授業アイデアや指導法などを挙げて、レクチャーしてくださいました。その内容を紹介します。

高学年の子どもが意欲的に参加する、音楽の授業づくりとは?

Q.高学年の子どもを惹きつける、音楽授業のアドバイスが欲しい

公立小学校で初めての音楽専科(3年〜6年)をしています。5、6年の授業では、なかなか子どもと楽しい音楽の授業がつくれず、授業をつぶされてしまうこともあります。

私の授業の内容や子どもとの関係づくりができていないことが原因なのだと思いますが、落ち込んでいます。自分の勉強不足にもかかわらず投稿して恐縮ですが、高学年でも声を出す指導など何かアドバイスをいただければ嬉しいです。

(パトラッシュ先生・40代女性)

A.ゲーム要素を取り入れたり、スピード感や切り替えを意識した授業を!

高学年ともなると、ルールや言葉かけが重要です。私が昔、音楽専科だった時の実践をいくつか紹介します。参考にしながら、勤務校や世の中の実態に合わせて自分なりにアレンジしてみてくださいね。

1.最初の授業での意識づけが肝心

初めて出会う最初の授業。「音楽が苦手か嫌いな人はいますか?」と子どもたちへ質問します。「じゃあ、好きになる方法を教えますね。それは『聴く』ことです。友達や先生の話、声、音。耳を澄ましてしっかり聴くことさえできれば、音楽はすぐに好きになりますよ」と話します。そして、シーーンと静かにして窓の外や廊下から聴こえてくる音に気付かせ、価値付けます。

他に早押しイントロ曲当てクイズも効果的です。合唱でハモる時、先生の指示を聞く時、鑑賞曲を聴く時など、あらゆる場面で音楽はまず聴くことからスタートするのだという意識を、子どもたちにしっかりもたせましょう。

2.私語が多い時、注目させたい時は「リズム打ち」

先生がリズム打ちをしたら、必ず子どもたちは反復して返す、というルールにしています。例えば活動を終わらせたい時、活動の最中に注目させたい時は「タンタンタン・タンタタタン」など手で叩きます。いくつかリズムのバリエーションがあると楽しいですね。ピアノで簡単にCMソングやゲーム曲のフレーズを弾くのもおすすめ。よく耳にする曲なので子どもたちは喜びます。

このように授業のメリハリが大事ですから、立ったり座ったりもピアノの音階の上がり下がりの音で指示をして、「みなさん、立ちましょう」などの声は一切出しません。そんなルールを作り定着させることが高学年は大切です。

3.「歌詞にあったボリューム」「響く声」を意識する

コロナ禍ということもあり最近は歌える機会もなかなかありませんが、高学年になると、恥ずかしくてなかなか声を出せない児童が増えます。そこで、声を出せる場面では「今の声のボリュームだと1かな。3にしてみよう」など数字で表現したり、「ここは曲の山場だから、どのくらいがいい?」「そうか。10の声だね。ではやってみよう」など、子どもと一緒に曲にあった声の大きさを考えてみるのも一つのアイデアです。

また、私は「ヤッホー選手権」をします。「あなたは富士山の頂上にいます。きれいな景色やおいしい空気を味わって、気持ちよく遠くの山々へ『ヤッホー』と言ってみましょう」と言い、数名前へ出て声を出させます。一番よい声だと思う人はやまびこになり、聞き手として返すのです。怒鳴り声や話し声ではなく、遠くへ響かせる声のよさに気付かせます。

4.体と声を一体化する「声のキャッチボール」

変声期の男子も高学年にはいます。笑われるかもと不安で、歌うことを恐れる児童もいます。「声帯が成長しているから、出しやすい声で歌ってみようね」と、恥ずかしいことではないことを伝えます。オクターブを下げて歌わせたりしながら、喉に負担をかけないように出せる音域を探してあげましょう。笑わせない雰囲気をクラス内でつくることも大事です。

また、高学年はボール運動が大好きです。「声のキャッチボールをするよ」と言い、二人ペアになって自分が思う響きのある声をボールに見立てて、ぽーんと相手へ。ボールを投げるジェスチャーと一緒に声を送ります。相手はその声を受け取るジェスチャーをし、自分の響く声を送り返すのです。そうすることで、息の流れ、声の方向、遠くへ跳ばす練習にもなります。よい声には「ホームラン!」と言って励ましてあげましょう。

声づくりはまず体づくりから。常時活動として授業の始めに、流行りの曲に合わせて体ほぐしや顔の筋肉を動かす体操などをするのも一つです。

5.イメージできる言葉かけのバリエーションをもつ

音楽指導の際には、まず頭でイメージすることで「できそう」につなげることが大切。だからこそ、さまざまな言葉でイメージさせることが重要です。

  • 「ほっぺたを目に近づけていくような感じで声を出そう」
  • 「眉を広げて、目をぱっちり開けて声を出そう」
  • 「ふだん話している声ではなく、お母さんの気取ったよそ行きの雰囲気で声を出そう」
  • 「声を明るく前へ飛ばしてみよう」
  • 「声は喉からじゃなくて、お腹のモーターから吹き出すイメージだよ」

など、伝わりやすい言葉のバリエーションを豊富に用意しましょう。また、言葉だけでなく、先生のお手本やイラスト、実際の合唱団による姿勢や表情の映像、演奏している動画を観せるのも一つです。

6.言葉をリズムに乗せる、ボイスパーカッションやラップが効果的

高学年にもなると、洋楽やラップを聴く子も出てくると思います。それを利用して歌わない児童へ、声を出すことへの抵抗感を払拭するための音楽遊びです。

まず、好きな食べ物を一人ひとつ選び(ラーメン、おにぎり、いちご、カレーなど)それに簡単なリズムを当てはめて、手拍子を入れながらボイスアンサンブルをします。そこに、バスドラムのパート「do・・・」を入れたり、舌を使って勢いよく「ブ」や「ボッ」などと発音する音も入れたりします(マイクがあるとより効果的)。ボイスパーカッションは、変声期の男子が得意で、かっこよくやってくれます。

携帯のアプリや電子オルガンでリズムを入れると、ノリノリで盛り上がります。徐々にテンポを速くすると、子どもたちは喜んでさらに盛り上がります。楽しく声を出す経験をたくさんすることで、授業の雰囲気も変化します。

高学年は、大人っぽいこと、背伸びが大好きです。時には大人のように扱ったり、ゲーム感覚を取り入れて楽しんだり。スピード感と切り替えを大事にして授業を展開、進めるとよいのではないでしょうか。地域や学校風土によって高学年の実態も変わりますので、何か一つでも参考になれば幸いです。落ち込まず、明るく笑顔で頑張ってください。応援しています。


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