家庭からの自主休校の申し出に教師はこう対応しよう
コロナ感染の不安から「自主休校したい」と、家庭から申し出があった場合、教師としてどう対応するのが望ましいでしょうか。愛あるアドバイスでみん教でもおなじみの、俵原正仁先生からのアドバイスです。この状況だからこそ、家庭と学校で情報共有をしっかり行い、教室では笑顔で過ごせるようにしたいですね。
執筆/兵庫県公立小学校校長・俵原正仁
目次
朝に電話がかかってきた。まずは、受け入れましょう
保護者:「いつもお世話になっています。〇〇です。コロナ感染が不安なのでしばらくお休みさせていただきたいのですが」
朝の慌ただしい時間、クラスの保護者から突然このような電話がかかってきたら、ちょっと焦ってしまいますよね。この場合、原則的に、「不安だからお休みさせていただきます」という申し出を断ることはしません。と言うよりも、断ることはできません。子どもや保護者が不安であることには共感した上で、ご家庭の判断です・・・とお任せすることになります。
まずは、保護者の気持ちに共感しつつ、シンプルにこう答えてください。ここで脊髄反射的に何かいいことを言おうとしてはいけません。
教師:不安になるお気持ちはわかります。わかりました。放課後またお電話してもいいですか?
そして、放課後に連絡することを伝えて話を終えます。時間的に余裕がある場合は、クラスの他の子に欠席理由を聞かれた時、どのように話してほしいかを保護者に尋ねます。
また、欠席日数を気にする子どもや保護者の場合、この時に「コロナ感染の不安でお休みする場合は、欠席扱いにはなりません」という話をしてもかまいません。これらの内容は朝にできなかった場合、放課後にしてください。
次にすることは、管理職への報告&今後の対応の確認
次に、受話器を置いたあなたがすぐにしなければいけないことは、管理職への報告です。自主休校する子どもの氏名とお休みする期間(はっきりしている場合)を告げた上で、自主休校中、この子とこのような関わりをしたいという思いがあれば、話をします。
教師:朝の会や終わりの会の時に、リモートで話をしたいと思っていますが、よろしいでしょうか
学校によっては、自主休校する家庭に対する対応マニュアルができているところもあるかもしれません。そのような場合は、マニュアルに沿って行えばいいのですが、そうでない学校の場合、一担任が良かれと思って行ったことで、他の先生方に迷惑をかけてしまうことになってしまうこともあります。
これはいいと思っても、自治体によって状況も違いますので、上記のようなことができる環境がない地域もあると思いますし、普通に1日の授業の様子を全て配信できる地域もあることでしょう。
また仮に環境的にはできた場合でも、それぞれの地域の方針からできない場合もあります。一担任ができることには制限があるのです。具体的な子どもへの対応については、管理職に必ず確認をしてください。
朝の段階で「脊髄反射的に何かいいことを言おうとしてはいけない」理由がこれです。耳当たりのいいことを聞かされた後、やっぱりそれはできませんということになれば、信頼関係は確実に崩れていくからです。
管理職:「それはとてもいいことですね。〇〇さんもお家の方も喜んでくれると思いますよ」
管理職からGOサインが出たら、その時点で責任は管理職に行きます。管理職の私が言うのですから間違いありません。このことが原因で、他から苦情が来たとしても、管理職に回せばいいだけです(笑)。なお、管理職への報告の後、学年の先生にも状況を話すことをお忘れなく。
そして、放課後になったら、この時に確認したこれからの対応について話をします。もちろん、この時には〇〇さんともしっかり話をしてください。
できることは限られている! 気にすることは何一つない
これまでの話をまとめます。
・原則、保護者の申し出を断ることはできない。
・今後の対応については、管理職(学校)で確認した上で保護者に伝える。
つまり、一担任にできることは限られているということです。そして、あなたは、この件について気にすることは何一つないということです。できることだけを確実に行えばよいのです。いろいろと不安なる気持ちはわかります。でも、このことで心を痛めるよりも、学校に来ている子どもたちに目を向けて、エネルギーを注いでください。
教師が不安そうな顔をしていると、そのマイナスオーラは子どもたちに伝わります。教師がいつも笑顔でいると、そのプラスオーラは必ず子どもたちに伝わります。笑顔の教師が笑顔の子どもたちを育てるのです。
共に、笑顔でがんばっていきましょう!