高学年の学校行事の盛り上げ方【現場教師を悩ますもの】

連載
諸富祥彦の「現場教師を悩ますもの」

「教師を支える会」代表

諸富祥彦

「教師を支える会」を主宰する『現場教師の作戦参謀』こと諸富祥彦先生による連載です。教育現場の実状とともに、現場教師の悩みやつらさを解決するヒントを、実例に即しつつ語っていただきます。

【今回の悩み】 延期や中止が相次ぐなかで、学校行事を盛り上げていくにはどうしたらいいでしょうか?

新型コロナウイルスの影響で、生活発表会や合唱祭などの大きな行事は、延期や中止が相次いでいます。昨年から引き続き、学校行事をあまり経験できなかったせいか、高学年の子たちのやる気がイマイチです。担任としては盛り上げようとしているのですが……。よい方法があれば教えてください。

(小学校教諭・30代女性、教職年数:12年)

コロナ禍の生活、実はラクできた面も!?

難しい問題ですね。昨年度、ほとんど行事を経験していないから「急にやれと言われても困る」という子どもの気持ちはよくわかります。

子どもたちにとって「行事がない学校生活」は刺激がなく、喜びの機会の少ない学校生活になってしまったのでしょうけれど、逆にいえばずいぶんラクだったという面もあるわけです。先生方だって、もちろんコロナ対応は大変ではあったけれども、行事がなくなった分「実はラクだった」とポロリと本音をこぼす人もいます。子どもたちの側も同じです。

スモールステップの原則で「ワイワイ」に慣れる

1回ペースを落とすと元に戻すのが難しいというのは、子どもも先生も同じです。「かったるい」「面倒くさい」「無理~」という気持ちになってしまう子どもは、これからも増えるでしょう。そんな子には、無理をせず、できる程度で、できる範囲のことをやってもらうしかありません。できそうなことから少しずつやっていく「スモールステップの原則」で取り組んでいきましょう。

対人関係のスキルを高める「ソーシャルスキルトレーニング」や「アサーショントレーニング」「構成的エンカウンター」など、ご存じの方も多いかもしれません。

おすすめなのは「学校グループワークトレーニング」です。一言でいうならば「協力活動」です。他のトレーニングよりも学習っぽい雰囲気が少なく、みんなでワイワイとゲームをしている感覚が強いものです。

例えば「5人1組になりジグソーパズルを組み立てよう。どの班が最初にできるかな?」といったように、ゲーム感覚で取り組めます。みんなで力を合わせてワイワイやるような活動を少しずつ取り入れていくことです。少しずつ「ワイワイ」に慣れさせていくことです。

様々な学級アクティビティについての教育書はたくさんありますし、今ご覧になっている「みんなの教育技術」でも「小学校のゲーム・レク・アイスブレイク大集合!」のような特集ページがあります。すぐに使えそうなアイデアを拾って、学年やシチュエーションに合わせて活用してみてください。


諸富祥彦●もろとみよしひこ 1963年、福岡県生まれ。筑波大学人間学類、同大学院博士課程修了。千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現在、明治大学文学部教授。教育学博士。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーなどの資格を持つ。「教師を支える会」代表を務め、長らく教師の悩みを聞いてきた。主な著書に『いい教師の条件』(SB新書)、『教師の悩み』(ワニブックスPLUS新書)、『教師の資質』(朝日新書)、『図とイラストですぐわかる教師が使えるカウンセリングテクニック80』『教師の悩みとメンタルヘルス』教室に正義を!』(いずれも図書文化社)などがある。

諸富先生のワークショップや研修会情報については下記ホームページを参照してください。
https://morotomi.net/

取材・文/長尾康子

学校の先生に役立つ情報を毎日配信中!

クリックして最新記事をチェック!
連載
諸富祥彦の「現場教師を悩ますもの」

学級経営の記事一覧

雑誌『教育技術』各誌は刊行終了しました