4年生担任に決まったらこれだけは押さえておきたい指導のポイント【生活習慣&人間関係編】

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学級開き特集ー自己紹介・学級目標・保護者対応etc.ー

北海道公立小学校教諭

山田洋一

4年生の学級担任に決まりました。どんなところに気を付けながら、子供たちを指導すべきでしょうか。4年生の発達段階を踏まえ、学級開き時に押さえるべき指導のポイントを、ユニバーサルデザインなどにも精通する山田洋一先生がレクチャーします。今回は「生活習慣&人間関係編」です。

山田洋一先生

山田洋一(やまだ・よういち)●北海道公立小学校教諭。1969年北海道札幌市生まれ。教育研修サークル「北の教育文化フェスティバル」代表。日本学級経営学会理事。著書は『個別最適を実現する!ユニバーサルデザインで変える学級経営ステップアップ術60』『子どもの笑顔を取り戻す!「 むずかしい学級」リカバリーガイド』(共に明治図書)ほか多数。

生活習慣

4年生の子供たちは抽象的にものを考えられるようになります。抽象的な思考ができるようになるということは、クラスという概念もより深く理解できるようになるということです。

これまでは、クラスをただ単に「一緒に生活する人たちの集まりだ」と考えているわけですが、4年生ともなると「自分のクラスをもっとよくしたい」「自分たちの生活をこう変えたい」ということも考えられるようになってきます。

そこで、4年生では生活習慣の指導についても、初歩的な自治的活動の一環として捉え、子供たちに取り組ませるようにします。

自治的な活動を取り入れる

それには、4月当初に決めた学級目標がとても大切な役割をします。多くの場合、学級目標には生活の仕方にかかわる項目が含まれているはずです。「時間が守れるクラス」「あいさつができるクラス」「けじめのあるクラス」などでしょうか。

ここでは、「けじめのあるクラス」という目標を例として、自治的な活動をどう展開するかを説明します。学級活動の時間に担任は次のように子供たちとやり取りをします。

みんなで決めた「けじめのあるクラス」っていう学級目標なんだけど、先生、よく分からないところがあるんだ

えっ? どこ?

それはね、このクラスの人がどうなったら「けじめがある」って言えるのかなあってこと

ああ

例えば、どんなとこ?

時間を守るとか

先生が話したら、静かにするとか

勉強道具をチャイムが鳴る前に準備しておくとか

あ、ちょっと待って。大事だから、模造紙に書いてもいい?

規準を明確に示し、振り返りも行う

このようなやり取りをしながら、学級目標の下位目標を規定していきます。その上で、どの時間に、どれくらいの人ができていたら「クリア」なのかという規準、下位目標が複数出た場合はどの順番に取り組むのかを決めていきます。

また、「クリア」しても、しなくてもその結果をもとにした取り組み方の振り返りをしていきます。その過程で「ただ単に注意しても人は変われないよ。親身になって相談に乗るってどういうことか考えてみようね」と繰り返し話します。つまり、生活習慣の定着を通して人間関係の在り方も教えていくのです。

人間関係

考えがしっかりしてきて、それを言葉でも説明できるようになるこの時期、教師と子供、子供と子供の関係性を教示から、対話へと変えていきましょう

Aさんが、「先生、Bさんに話しかけたら背中を押されて痛かった」と訴えてきました。そんなときの対応です。

担任「もう一度、細かくどんなことがあったか、正確に話してくれる?」
Aさん「えーっと、BさんとCさんが話していて、そこに僕が横からちょっと割り込んじゃって、それは僕が悪かったんですけど、それで押されてそのとき背中が痛くて、『謝って』って言ったら、謝ってはくれたんですけど、その謝り方が面倒くさそうで納得がいかないんです」
担任「なるほど、それは謝ってもらった感じがしなくて、くやしいねえ」
Aさん「はい」
担任「そうだよねえ。先生でも同じように感じると思うよ。それで、先生にできることは何だろう」
Aさん「ええっと、僕はやっぱりもう1回謝ってほしいので、先生の前でそのことを伝えます。だから、二人をここに呼んでください」
担任「分かりましたよ。……では、話してください」

子供同士のトラブルを対話に変える

訴えてきたAさんは、もう一度謝ってほしい旨を伝える。謝罪をするBさんとCさん。話が終わって戻ろうとする二人。しかし、これで終わらせない

子供同士のトラブルを対話に変えるため、担任がていねいに両者の主張を聞いている。

担任「BさんとCさん、先生は教えてほしいんだけど。どうして、嫌な感じでしか謝れなかったのかな?」
Bさん「いつも、Aさんはそうなんです。人が話しているところに、無理やり入ってきて、今日も入ってくるときに、僕の足を踏んで、それが嫌で……」
担任「なるほど、そうだよね。自分が痛い思いをしているのに『謝って』って言われてもね。Aさんは知っていたかな?」
Aさん「いえ、知らなかったです」
担任「そうか、そうか知らなかったんだね。今の話を知ってどうだった?」
Aさん「いや、それは自分の方が悪かったなあって……」
担任「Bさんたちは、何かしてほしいことはないかな?」
Bさん「いえ、僕たちは分かってくれればいいです」
担任「そうかそうか、じゃあ今度からはこうしてほしいっていうお願いは?」
Bさん「ああ、それは話に入りたいときは、『入っていい?』とか言ってほしいです」
担任「どうですか?」
Aさん「それは、気を付けて無理やり話に入らないようにします」
担任「そうか、がんばろうということだね。でも、できないときもあるかもしれないね。そんなときは?」
Aさん「そんなときは、優しく教えてもらいたいです」
担任「BさんとCさんは、いいかな?」
Bさん・Cさん「はい!」

このように、担任が良いか悪いかを判定したり、謝罪させたりせずに、間に入り対話を促すようにします。そして、未来のトラブルにおいても対話ができるように、ある程度の約束事を決めておくようにしておきます。これで、人間関係において不毛なトラブルは起きにくくなります。

4年生担任に決まったら~これだけは押さえておきたい指導のポイント~【学習編】

イラスト/バーヴ岩下

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