子供たちが成長できる運動会にするポイント
全力で取り組んだり、友達と一致団結したりする経験を味わえるような運動会にするポイントを紹介します。
執筆/東京都公立小学校主任教諭・佐藤理津子

目次
運動会の取り組みを通して
学級を見渡すとさまざまな子がいます。
算数は好きだけど運動は苦手、体育は好きだけど勉強は苦手…など、40人いれば40人とも、得意なことも苦手なこともさまざまです。
もちろん運動会への思いや意識も、人それぞれ違います。運動会の時期が近付くと、本番を心待ちにわくわくドキドキする子もいれば、毎日続く練習を思い、憂鬱になる子もいます。
このように、運動会に対する思いは一人ひとり違いますが、運動会への取り組みを通して、〝全力〟で取り組んだり、友達と〝一致団結〟したりする経験を味わわせていきたいものです。
運動会の取り組みの中で、全力で取り組むことのできた自分自身を認めたり、友達と一緒に頑張り、お互いを認め合ったりすることが、子供たちの心と体を大きく成長させます。
ステップ1 運動会オリエンテーション
運動会の練習が始まる前に、学級や学年で運動会に向けてのオリエンテーションを行います。オリエンテーションの成功が、運動会成功の鍵となります。
オリエンテーションの流れ
①運動会の種目を伝える
- 表現(演技)や団体競技は、ビデオや写真を見せながら伝えると、子供たちのイメージが具体的なものになります。

②児童会から出されたスローガンを伝える
- スローガンは、全校の一人ひとりの思いが入っているということや、運動会を通して、みんなでめざす姿であるということを伝えましょう。

③練習計画(予定)を伝える
- 運動会本番までに何回練習できるのかを事前に伝え、見通しをもって練習に取り組めるようにしましょう。
- スローガンに向かっていくためには、本番だけでなく、練習(運動会までの過程)が大切であることを伝えます。
- 練習カードを活用し、友達と関わり合いながら練習することで、教え合いや認め合いの輪を広げます。
ステップ2 運動会のめあてを決める
児童会から出されたスローガンを基に、学級活動の中で、今年の運動会で自分が〝一番がんばりたいこと〟を考えます。
学習の流れ
- つかむ:運動会への関心を高める。
- さぐる:これまでの自分をふり返り、「運動会を通してなりたい自分」について考える。
- 見付ける:小グループや学級での話合い活動を通して、考えを広げる。
- 決める:自分に合った目標を意思決定する。
考えためあては、カードに書かせたり、掲示したりして、常に意識できるようにするとよいでしょう。
一時間ごとのふり返りが記入できるカードを加えて、運動会ノートを作ることもできます。自分のがんばりをノートに残していくと、自分の成長を実感することができます。
ステップ3 運動会に向けた学級集会
「運動会に向けてみんなの気持ちを高めたり、クラスが団結したりするようなことはできないかな」と、子供たちに問いかけてみるのも効果的です。経験のあまりない子供たちでも、意外にたくさんアイデアが出てきます。出てこないようなら、他校の実践例として、教師から紹介するのもよいでしょう。
【例】
「運動会で絆を深めよう! ソーランフェスティバル」
「世界で一番楽しい前夜祭! けんけん棒引き祭り」
自分たちで学級集会を計画し、学級会(もしくは話合い活動)で決めたことを、自分たちで実践することが、運動会に対する意欲を高めることにつながります。
3密を避け、工夫いっぱいの学級集会
運動会が中止になっている学校は、感染症予防の対策を取り、次のような集会もお薦めです。
サイレントジェスチャーリレー集会
5~6人ずつのチームに分かれ、一列に並びます。前から順にジェスチャーをして、リレー方式でつなぎ速く正確に伝えたチームが勝ち。

借り物競争集会
5つのグループに分かれ、代表が一列に並びます。紙に書いてある借り物(教室においてある物)を借りてゴールまで行きます。

イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2020年9月号より
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