誰でも描ける「座った姿勢」の描き方レッスン【イラスト上達塾 #2】
板書や宿題コメントなどでイラストが描けたら便利とは思うけれど、絵は苦手だから…、と、諦めていませんか? 自称「努力派」イラストレーターの設樂みな子さんによれば、実は、「知識」をつけて練習すれば、誰でも必ずうまくなれるとのことですよ! 第2回は、「座った姿勢」の描き方のレッスンです。
教えてくれるのは……設樂 みな子 さん
イラストレーター・漫画家・ブックデザイナー。絵はそれほどうまくなかったのに努力してプロになった頑張り屋さん。
座った姿勢を描けるようになったら、なんだかレベルアップした感じがしますね! 背骨の構造を理解すれば、必ず描けるようになりますよ。
デフォルメされたキャラクターでも骨格は整っているという不変のルール(第1回参照)を念頭に、骨と関節の位置を「記憶」して、汎用性の高い「座った姿勢」をマスターしましょう。
目次
点と線で表す人体
まずはじめに、基本の骨格を何度も描いて、関節を頭に叩き込みましょう。
次に、骨格をさらに単純化して、線で表してみます。おなじみの棒人間ですが、基本の骨格と同じように関節を意識すると、躍動感のあるハイレベルな棒人間が描けるようになります。
背骨は唯一の「歪む骨」
背骨は、いくつもの骨がジョイントして構成されています。S字にゆるくカーブしており、前後左右の曲げ伸ばしに加え、ひねることもできます。人体の中で一番重い部位である頭部を支えるために、クネクネと角度調整してバランスをとっているのです。よくできていますね~!
背骨全体を1本の骨と考えると、関節でしか曲げられない手足とは異なり、背骨はたわむことのできる唯一の骨と捉えることができます。背骨にたわみを加えたポーズをいろいろと描いてみましょう。実際に自分の身体を触ってみたりして、骨と関節の存在を身近に感じ愛着を持てれば、確実に人体描画は上達します。
横向きの骨格
背筋は、どんなに伸ばしているつもりでもS字にゆるくカーブしています。このカーブ、そして首や腕のついている位置は、何度も描いて「記憶」するしかありません。最初から右向きと左向き、両方を描けるようになる必要はないので、どちらか描きやすい方向だけにしぼって練習しましょう。
また、横向き姿勢は、ついつい薄く描いてしまいがち。ですが、実際は結構な厚みがあります。頭にいたっては、例外を除き左右幅よりも奥行きのほうが長いのです。
座った姿勢を描いてみよう
関節の位置、背筋のたわみを理解できたら、いよいよ座った姿勢にチャレンジです。腰を下ろした姿勢の絵はさまざまな場面で登場しますので、マスターすればとても便利です♪ 座った姿勢の正面は難しいので、横から見た角度が描けるようになってからでOKです。まずは線のみの棒人間で練習しましょう。
◦椅子に腰掛ける
姿勢よく腰掛ける姿は、お尻を少し後ろに突き出す形になります。椅子には深めに腰掛けます。
◦椅子に腰掛ける(背もたれにもたれる)
椅子には浅く腰掛け、お尻は突き出さず、背筋は丸めます。浅く腰掛けるほどだらしない感じが出ます。
◦体育座り(体操座り)
手で膝を抱え込むので、背筋は少し丸まります。手が脚よりも長くならないように気を付けることがポイントです。
◦正座
背筋をピっと張ったときも、丸めたときも、どちらも頭の位置が重心の延長上にあるように描くことがポイントです。腕の付け根の位置に注意しましょう。
仕上げよう
骨格を覚えたら上の図のように肉付けしてみましょう。棒人間を描いた上から描き、徐々にレベルアップして練習しましょう。
仕組みを考えながら、何度も描きましょう。がんばろー♪
■バックナンバーはこちらから■
構成・文/したらぼ
『小一教育技術』2014年10月号より