誰でも描ける「骨格」の描き方レッスン【イラスト上達塾 #1】
文章や図の脇に添えるちょっとしたイラストを描くことができれば、板書やプリント、宿題のコメントなど、いろいろな場面で役に立ちます。でも、絵は苦手だから無理! と、諦めていませんか? 実は、「知識」をつけて練習すれば、イラストは誰でも必ずうまくなれるとのことなのです。自称「努力派」イラストレーターの設樂みな子さんが、イラストを描くコツを具体的に教えてくださいます。第1回は、人物の「骨格」についてのレッスンです。
教えてくれるのは……設樂 みな子さん
イラストレーター・漫画家・ブックデザイナー。絵はそれほどうまくなかったのに努力してプロになった頑張り屋さん。
目次
「記憶」しよう!
イラストを描くのが上手な人は先天的に才能があると思われがちですが、実際はほとんどの場合が違います。もちろん個人差はあるものの、学科やスポーツと同じく、イラストも「勉強」「鍛錬」して後天的にうまくなれるものなのです。才能だけではテストの点数は伸びないのと同じです。掛け算九九を頭に叩き込むように、深い意味は考えずにノウハウを「記憶」しましょう。
知識をつければ、誰でもイラストは描けるようになります!
「骨格」を理解しよう
どんなにデフォルメされたキャラクターでも、骨格は整っています。上達への一番の近道は「骨格」を覚えることです。数学で公式を覚えるのと同じで、一度覚えてしまえばずっと応用し続けられます。骨格を覚えられたなら、画力はすでに格段にアップしていると言えます。
「肉付け」して人物らしく描こう
骨格が描けたら、その上に肉をつけてみると、ジンジャークッキーのようなずんぐり可愛い人物の出来上がりです。するとあら不思議! なんだか前より上手に描けていませんか?
黒板に描くときは、「骨組み」の行程は頭の中で行い、いきなり「肉付け」から描くことになります。「骨組み」→「肉付け」を何度も練習しましょう。
得意なポーズを見つけよう
国語は苦手だけど数学は得意、というように、イラストにも得意不得意や好みのポーズがあります。
例えば、意外にも「正面直立」「正面顔」は難しいと言われています。人間の日常動作としては不自然な姿勢ですし、左右対称に描く必要があるため難易度が上がります。左右非対称のポーズならばデッサンの狂いも目立たないので、複雑そうに思えても、実は描きやすいのです。
一般的に、人間の脳の構造上、右利きの人は向かって左、左利きの人はその逆が描きやすい向きです。
芸術作品を生み出すことが目的ではないので「正確に美しく」描く必要はなく、「おかしくなければよし」くらいの気持ちでOK。強いて言えば、「多少おかしくても意味は伝わる」ことのほうがずっと大切です。
まずは苦手なポーズは避け、好きなポーズを重点的に練習しましょう。
立体感を意識しよう
ジンジャークッキーで人物イラストの構造を理解できたら、より人間らしいキャラクターにも挑戦してみましょう。平面絵だったジンジャークッキーとの違いは、「立体感」と「遠近感」です。体全体を立体で捉えましょう。頭は球体として捉え、体は厚みと関節の仕組みを意識します。まずは頭から、その後、体を練習する手順がおすすめです。
ここでも「骨組み」→「肉付け」の手順で描いていきます。立体的なイラストでは、プロでも「骨組み」行程を飛ばせる人はあまりいません。自信を持って何度も描き直しましょう。
細部を描きこむのが苦手でも、肉付けまでできていれば、伝えたい意味はかなり伝わるでしょう。
顔を描こう
ここでもやはり、顔のパーツの位置を頭に叩き込みましょう。より人間らしいキャラクターにするには、眉、目、鼻、口、耳、に加えて「おでこ」を意識することがコツです。自分の好きなイラストをお手本にして、真似してみてください。
仕上げよう!
全体像が描けたら、服を着せ、髪型を整え、手足を描きます。手足は難しいので、手はグー・チョキ・パーの3種類、足は角度別で数種類覚えておけばバッチリです。
構成・文/したらぼ
『小一教育技術』2014年9月号より