小3算数「たし算の筆算」〜十進位取り記数法【動画】
【トモ先生の算数チャンネル】第9回
小学校の算数の授業づくりをお手伝いする『トモ先生の算数チャンネル』。今回は、3年生の「たし算の筆算」編です。教室で使えるツールの紹介と、ツールを使いながら十進位取り記数法の考え方へつなげていく指導法をトモ先生がお伝えします。
このシリーズでは、小学校高学年の算数を専門とする髙橋朋彦先生が、小ネタや道具に頼らずに、基本を大切にした質の高い授業づくりができるアイデアをお届けしていきます。
目次
3年生の「たし算」も1年生の学習が基になっている!
今回は、3年生のたし算の筆算についてご紹介します。
3年生のたし算の筆算は学習指導要領にはこのように書かれています。
ア 知識及び技能
(ア)3位数や4位数の加法、減法の計算の仕方
第2学年で指導した2位数及び簡単な3位数の加法及び減法の計算を基にして、3位数や4位数の加法及び減法の計算の仕方を考えることを指導する。
小学校学習指導要領解説 算数編(H29年7月告示)より
つまり、3年生は2年生の学習を基にするということです。
では、2年生の学習指導要領を見てみましょう。
ア 知識および技能
(ア)2位数の加法とその逆の減法
第2学年では、初めに2位数の加法及びその逆の減法の計算を指導する。その際には、第1学年で指導した1位数と1位数との加法とその逆の減法及び簡単な場合の2位数の加法と減法を基にして、和と差を求めることができる。
小学校学習指導要領解説 算数編(H29年7月告示)より
つまり、2年生は1年生の学習を基にしているということになります。
では、1年生の学習指導要領にはどんなことが書かれているかというと⋯⋯
(ウ)1位数の加法とその逆の減法の計算
1位数と1位数との加法とその逆の減法については、和が10以下の加法及びその逆の減法と、和が10より大きい数になる加法及びその逆の減法に分けて考える。和が10より大きい数になる加法及びその逆の減法は、「10とあと幾つ」という数の見方を活用して計算する。
小学校学習指導要領解説 算数編(H29年7月告示)より
つまり、3年生の学習も1年生の学習が基になっているということです!
1. はじめは「数え棒」を使おう
そこで、「数え棒」を使いながら学習を進めることがポイントです。
1年生では「10とあと幾つ」という数の見方をしていたので、「1のバラの数え棒が10本たまると10の束が1つになる」という考えが基本ですね。
そして、3年生では3位数まで進むので、これまでと同じように、
1が10本集まると「10の束」
10の束が10個集まると「100の束」
と考えます。
この考え方が十進位取り記数法の考え方につながっていきます。
2. 「位取りカード」を使おう
このように、数え棒を使っていきますが、「位取りカード」も併用して学習を進めましょう!
こちらの「位取りカード」は、裏に磁石が貼ってあり、黒板のいろいろなところに貼れます。色は教科書の位取りの色に合わせて作っています。
【問題】154+237
この問題の一の位を計算するときの考え方は以下のようになります。
4+7=11
「そうか、10と1だな」
「だから、10の束になってここ(十の位)に1と書けばいいのか」
そして、十の位は⋯
1+5+3=9
「10の束が9個なのでここは『90』になるんだな」
同じように、百の位は⋯
1+2=3
「100の束が3個で『300』なんだな」
そして、
「100の束が3個、10の束が9個、1が1個⋯だから答えは『391』になる!」
というように、数え棒を使いながら説明していきます。
3. ツールを使わずに筆算!
ここまで数え棒を活用してきましたが、ずっと使い続けるわけではありません。
次は、
この「束の場所」のことを『百の位』『十の位』『一の位』という
ということを伝えます。
位取りカードと数え棒を併用しながら、だんだん位取りカードだけに移行していき、位取りカードにも慣れてきたら、それも外して筆算だけで計算できるようにしていきます。
こうすることによって、ただ計算の技術を上げるだけではなく、数の仕組みや位取りの大切さについても理解できるようになります。
みなさんの算数の授業づくりのお役に立てたら嬉しいです。
『位取り』と『10の束』で十進位取り記数法につながる学習に!
①「数え棒」で十進法の考え方を身につける
②「位取りカード」で位取りと記数法に慣れていく
③ 道具を使わずに筆算で計算できるようになる
3位数まで進んだ3年生の算数。1年生からの積み上げで理解を進め、十進位取り記数法の考え方を「たし算の筆算」を通してしっかり身に付けたいですね!
トモ先生の「ちょこっと学習指導要領」全3回で学習指導要領の軸となるテーマを押さえましょう!
●Part1『主体的な学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント①『主体的な学び』は5ステップ!
●Part2『対話的な学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント②『対話的な学び』のポイントは3つ!
●Part3『深い学び』編 ⇒ 学習指導要領のポイント③『深い学び』のキーワードはコレ!
髙橋朋彦●1983年千葉県生まれ。第55回わたしの教育記録特別賞を受賞。教育サークル「スイッチオン」「バラスーシ研究会」に所属。共著に『授業の腕をあげるちょこっとスキル』『学級づくりに自信がもてるちょこっとスキル』(共に、明治図書出版)がある。算数と学級経営を中心に研究中。
Twitterアカウントは @tomotomoteacher https://twitter.com/tomotomoteacher
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