学校が楽しみになる学級開きの秘訣
毎日学校に行くのが楽しい! どの子もそう感じられるクラスにするために。学級開きで担任が心がけたいことを紹介します。
執筆/東京都公立小学校教諭・小倉さえ子
目次
とにかく笑顔!
学級開きは、一年間の始まりの大切な時間。どの子供も「今年もがんばっていこう」「今年こそはがんばろう」「今までできなかったことをリセットしたい」など意欲に溢れています。
何かをやろうとするためには、学級が安心できる場所である必要があります。第一歩として「この学級は楽しそうだ」と感じさせることが大切です。そのためには「とにかく笑顔!」。
子供との出会いは、どんなベテランの先生でも緊張します。静まり返った教室でも、子供たちが微笑みを返してくれなくても笑顔を心がけましょう。微笑みではなく、全力&満面の「笑顔」を目指します。
できることを丁寧に!
初日は始業式の後に入学式が控えていることが多いため、子供と過ごす時間は数十分しかありません。それでも、子供たちに「この先生は頼りになりそうだ」など、プラスの印象を与えたいものです。しかし、無理に威張ることや、背伸びした指導は必要ありません。一つ一つの作業を丁寧にきちんと行うだけで大丈夫。
初対面の子供の名前を暗記して呼名するのは素敵ですが、緊張して記憶が飛ぶことも考えられます。ふりがなを振った名簿を手元に準備して、一人ひとり確認し、顔を見ながらていねいに呼ぶことでも誠実さは伝わります。
声を張る!
声が小さいだけで、自信がなさそうに見られてしまいます。子供たちが担任を頼りなく感じ、不安な気持ちを抱くこともあります。また、実際に何を言っているのか聞こえないと、子供はどうしたらよいか分かりません。
注目させる手段の一つとして、わざと小声で言う方法もありますが、学級開きのこの時期には、元気で明るいハリのある声で、学級を明るくしていきましょう。声の大きさの目安としては、一番後ろの席の子供がしっかり聞こえる声です。
メリハリを付ける!
「楽しいこと」と「好き勝手におもしろおかしくすること」は別。遊ぶときには、とことん遊ぶ。でも、学ぶときには適度な緊張感をもたせる。叱るときは叱る。叱り終わったら笑顔に戻す。言葉で言うととても簡単ですが、実践するのは難しいものです。極意が2つあります。
その① 『一文は短く。指示は二つまで』
話が長く、一度に多くの指示を出すと、子供にとってかえって話が分かりにくくなり、やる気も萎えてしまいます。
その② 『切り替えは速く』
学校生活では、時には叱る場面もあります。叱る先生も、決して気分のよいものではありません。それでも、叱った後はすぐに切り替えて笑顔に戻りましょう! 「さっきまであんなに怒っていたのに、笑えない……」。そんな気持ちは封じ込め、笑顔です。終わったことは、終わったこと。前に進んでいきましょう。
こんな先生です!というキャラ設定をする
4月の段階では、子供たちにとって担任はどんな先生なのか興味津々です。どんなときに叱るか。何が得意か。どんな子供だったか。なんでも知りたがります。
「何歳か?」「体重は何キロか?」など、子供にとっては無邪気な問いかけでも、答えに困ることがよくあります。しかし、何にでも本当のことを伝える必要はありません。「答えたくない」「マナー違反」などとサラっと伝えたり、もしくは「200歳。意外と若いでしょ」などと冗談でやりすごしてもよいと思います。
「好きなアイドル・芸人は?」といった質問では、先生との共通点が見付かると子供は喜びます。本当に好きかどうかは別として、子供に分かるような有名人を用意しておきましょう。
「得意なことは?」という質問に、「ありません」と答えるのは味気ないですよね。本当は得意なことがなくても探しておきましょう。書道やピアノのような真面目な特技でなくても大丈夫。
「モノマネ(似ていなくても、子供の前でやれるならOK)」「恐竜の名前を速く言える」「プロ野球・サッカーなどの応援歌が歌える」など、好きなことを広げておくと盛り上がります。
テンションを上げる!
一日一回は学級全体のテンションが上がる時間をつくりましょう。授業の隙間に5分でミニゲームをして盛り上がる瞬間、みんなで爆笑する瞬間、すごい! と歓声が上がる瞬間をつくるなど、意図的に学級のテンションを上げる工夫をしましょう。いくつか例を紹介します。
「全力握手」
初日にお薦めです。呼名をした時に握手をするのですが、予想以上に強い力で握ってあげると、盛り上がります。
「嘘笑い大会」
嘘でも笑っているだけで楽しくなるから不思議です。「じゃあ、みんなで実験してみよう!」と言うと結果、みんな大爆笑。
「手品」
簡単な手品を見せると、一気に空気が明るくなります。
イラスト/山本郁子
『教育技術 小三小四』2020年4/5月号より