ぬまっち流「教師の話を聞いてくれない子」がいる場合の対処法

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沼田晶弘の「教えて、ぬまっち!」【毎週土曜10時更新】
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国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭

沼田晶弘

子供のやる気を伸ばす独特の実践に注目が集まるカリスマ教師「ぬまっち」こと、沼田晶弘先生。
今回は 「クラスに、教師の話を聞いてくれない子やなかなか指導が入らない子がいる場合、どう対応しますか?」という先生からの質問にアドバイスをいただきました。

ぬまっち連載
撮影/下重修

問題は「話し方」にある

「話を聞かない子」って、どんな子なんだろう?

話を聞く能力がない子? 話を聞きたくない子? 話が理解できない子?

いずれにせよボクは、もしクラスの中にボクの話を聞いてくれない子がいたら、その子が悪いというよりも、自分がその子にうまく話せていないんだなと思い、「どうすれば話を聞きたくなってくれるだろう」「どう話せばうまく伝えられるだろう」って考える。

だから、「話を聞いてくれない子がいるとき、どうすればよいか」と聞かれたら、冷たい言い方かもしれないけれど、「話し方を上手になるしかないよ」と答えるだろう。

子供に指示するときには「DAC」がポイント

「子供が話を聞いてくれない」もしくは「子供に指導が入りにくい」という悩みを抱えている場合は、自分が一度にたくさんのことを伝えようとしていないか、自分の言動をふり返ってみてはどうだろう。

一度にたくさんのことを言おうとすると、子供は先生が何の話をしているのかわからなくなるし、説明が長ければ長いほど、子供の記憶には残らない

そもそも子供に2つ以上のことをお願いしたら、2つともできなくなる可能性が高いと思ったほうがいい。

ボクが子供を指導するときに心がけているのは「DAC(ダック)」
DACとは、
・ディレクションDirection→指示・指導
・アクションAction → 行動
・コンファメーションConfirmation → 確認

の頭文字を取った造語。つまり、1つ指示したら、1つのアクションを見て、1つずつ確認するということ。

どんな子でも、同時にたくさんのことを言われたら混乱するし、わからなくなる。一つずつ伝えて、やらせてみて、確認する、これが鉄則。
子供たちにたくさんのことを伝える必要がある4月こそ、DACは大事だ。

伝える「タイミング」も重要

子供に大事なことを伝えるときには、話す「タイミング」も重要だ

例えば、そろばんの使い方を説明する前にそろばんを渡してしまったら、子供は話を聞くよりも、まず触りたくなるよね。触るだけでは飽き足らず、そろばんをマラカスにする子もいれば、ギターにする子もいるだろう(笑)。

そうなることを覚悟して配付するか、そろばんを配付する前にしっかり説明をして、「じゃあ実際にやってみよう」というタイミングで配付するか、子供たちの現状を見極めて判断したほうがいい。

体育など、野外で活動するときも同様だよね。子供は外に出たら走りたくなるし、ボールがあれば、説明を聞くよりも、まずは投げたり蹴ったりしたくなる。地面に座らせたとしても、絶対に砂いじりをしたくなる子はいる。

だから、教室でしっかりと段取りやルールを話してから外に出るという方法もアリだよね。もしくは、子供は外に出たら話を聞かずに、走りだしたり、砂を触ってしまうこともあると覚悟しておく。そうすれば、とりあえずイライラはしなくなるんじゃないかな。

誰でも、興味のない話は聞きたくないもの

子供は興味がないことは言われても耳に入らないし、やらない。そして興味があることなら、自分から話を聞こうとするし、「やめなさい」と言われてもやってしまう。そういうものだと思っていたほうがいい。

例えば、子供にゲームを買い与えるなら、何時間でもゲームをやり続けてしまうだろうし、ゲームをしている間は、声をかけても話を聞いてくれなくなることがあることを覚悟して買うしかない。なぜなら、日本が世界に誇るものすごいクリエーターたちが作ったゲームだ。30分経ったらやめようと言われても、簡単にやめられるわけがないし、ゲームに没頭している間は声をかけても聞こえない。それはきっと大人でも同じだ。ゲームに限らず、読書もそうだよね。本が好きな人は、読み始めたら止まらなくなるし、周りの声は聞こえなくなる。

だから、人は興味のない話は聞いてくれないものだと思っていたほうがいい。

そうすれば、どうやって相手の興味を引き出そうと考えて工夫しながら話すか、全員が聞いてくれなくてもしかたがないと覚悟をもって話すかの2択になる。

前者を選べば、話し方・伝え方のテクニックが確実に向上するだろう。後者を選べば、ある程度話を聞いてくれただけでも、「おお!ナイス!」とポジティブに捉えられるし、ほめる場面も増えるかもしれない。どちらも、「話を聞きなさい!」と叱るよりも、よほどプラスの成果があると思うよ。

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沼田晶弘先生
沼田晶弘先生

沼田晶弘(ぬまたあきひろ)●1975年東京都生まれ。国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭。東京学芸大学教育学部卒業後、アメリカ・インディアナ州立ボールステイト大学大学院にて修士課程を修了。2006年から現職。著書に『板書で分かる世界一のクラスの作り方 ぬまっちの1年生奮闘記 』(中央公論新社)他。 沼田先生のオンラインサロンはこちら>> https://lounge.dmm.com/detail/2955/

取材・構成・文/出浦文絵

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