「シラバス」とは?【知っておきたい教育用語】

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【みんなの教育用語】教育分野の用語をわかりやすく解説!【隔週連載】
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大学のそれぞれの授業科目について、内容やスケジュールをくわしく示したものが「シラバス」です。小・中学校でも年間の学習計画を作成するときに「シラバス」に示される内容は参考になると思われます。

執筆/茨城大学教授・加藤崇英

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シラバスを作成する根拠

大学の授業を担当する教員は、その授業科目がどのような内容であるか、評価はどのように行うかなどについて、あらかじめ明示します。それがシラバスであり、その作成はすべての担当教員に義務づけられているといえます。

その根拠になる規定は、大学設置基準の「成績評価基準等の明示等」です。

第25条の2 大学は、学生に対して、授業の方法及び内容並びに1年間の授業の計画をあらかじめ明示するものとする。
2 大学は、学修の成果に係る評価及び卒業の認定に当たつては、客観性及び厳格性を確保するため、学生に対してその基準をあらかじめ明示するとともに、当該基準にしたがつて適切に行うものとする。

文部科学省「大学設置基準」より

この規定は、文部科学省の「大学設置基準等の一部を改正する省令等の施行(通知)」(2007年7月)によるものですが、高等専門学校、大学院、短期大学のそれぞれの設置基準においても同様の規定がなされています。

シラバスの様式は大学によって異なりますが、こうした法規を根拠としながら、授業計画はおおよそ以下のような項目について明示されています。

「授業題目」「カリキュラム登録の情報(コード、ナンバリング、分野など)」「担当教員名」「対象学生・年次」「開講日・時限」「単位数」「講義の概要」「目的および趣旨」「キーワード」「到達目標」「各回の授業内容」「授業外の学修」「履修上の諸注意」「成績評価の方法および基準」「準備学習等についての具体的な指示」「教科書・参考文献」「履修条件」など。

「大学全入」時代と教育の質保証

大学において、授業計画(シラバス)の詳細な作成が義務化されてきた背景には、大学等の高等教育段階における教育の質保証が大きな課題となってきたことがあります。

2020年度の学校基本調査によれば、大学への進学率は54.1%、短大は4.4%で、大学と短大への進学率を合わせた合計は58.5%となり、過去最高となっています。単純にいえば、2人に1人は大学や短大に進学していることになります。

大学・短大への進学率が40%を超えた(40.9%)のは1993年度ですが、この年度の大学への進学率は28.0%、短大への進学率は12.9%でした。大学の進学率は、2002年度には40.5%となり、40%を超えました。

そして今日では、大学を入学する希望者の総数が、入学定員の総数を下回る状況、いわゆる「大学全入」時代に突入したといわれます。国として、教育制度全体の枠組みのなかで大学における教育の質保証が課題となってきました。

シラバスの作成と活用

シラバスの作成は、その授業を担当する大学の教員が責任をもって行います。どのように授業を進めていくか。どのようなテキストを用いるか。そして、評価はテストによるものなのか、レポートによるものなのか。これらを勘案して作成します。

シラバスは、学生にとっては必要不可欠です。学生自身が、なにをどのように学びたいかを決めるための指針となるものだからです。そのため、シラバスは、学生が受け身にならず、自ら主体的かつ能動的に取り組むことができるように、そして授業のための準備や学習をいかに進めたらよいかがわかるように整備されてきました。

一方、今日では、ほとんどの大学で授業は学生によって評価されるようになってきました。「授業改善アンケート」「授業評価」など、呼び名は大学によって異なりますが、シラバスが参照されます。

授業の質向上が全体の向上に

一方、日本の学校教育制度の全体としてみれば、幼稚園における幼稚園教育要領、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校のそれぞれの学校段階における学習指導要領があります。これらをもとに教科書が作られていますし、教育活動や学習活動の指針となっているといえます。

こうした学校教育の基準の設定をめぐる考え方は国によって異なりますが、日本では、特に高等学校までの段階では、学習指導要領が教育の質保証に果たす役割が大きいといえます。

他方で、大学における教育の質保証そのものは、国による大学の認可、個々の大学の自主的・自律的運営、そして認証評価という第三者評価機関による評価という大きな制度としての枠組みを整備するかたちで取り組まれてきています。

シラバスは、一つひとつの授業計画という意味では小さな存在に見えるかもしれませんが、大学における教育の質保証という大きな枠組みを成り立たせるうえで重要なパーツといえます。そして、シラバスは大学だけでなく、小・中学校を含むすべての学校において、教育活動や授業活動をよりよいものにしていくうえで役立つと考えられます。

▼参考文献
中央教育審議会「我が国の高等教育の将来像(答申)」2005年1月
中央教育審議会「学士課程教育の構築に向けて(答申)」2008年12月
公益財団法人大学基準協会『大学評価ハンドブック』(改訂版)2019年

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