「校務の情報化」とは?【知っておきたい教育用語】
先生の人数が足りない、先生を希望する人が減っている……など、いろいろな課題をかかえて疲弊している学校の教育現場。「校務の情報化」は教育現場をよみがえらせるための切り札のひとつとして注目されています。
執筆/東京福祉大学専任講師・中園長新

目次
「教育の情報化」の一環として
情報社会の進展に対応した教育であるためには「教育の情報化」の推進が必要です。
文部科学省の『教育の情報化に関する手引 追補版』(2020年6月)によると、「教育の情報化」は次の3つの側面から構成されています。
- 「情報教育」(子供たちの情報活用能力の育成)
- 「教科指導におけるICT活用」(ICTを効果的に活用したわかりやすく深まる授業の実現等)
- 「校務の情報化」(教職員がICTを活用した情報共有によりきめ細やかな指導を行うことや、校務の負担軽減等)
情報教育やICT活用については、教室等において児童生徒と教師との関わりのなかでなされるものであり、プログラミング教育の導入や、GIGAスクール構想によるICT環境の整備等でしばしば取り上げられています。一方、校務の情報化は児童生徒の教育に直接関係がないように見えますが、校務の情報化は学校教育の改善になくてはならない取組であるといえます。
校務の情報化とは
1970年頃から90年代の学校現場では、CMI(Computer Managed Instruction)という言葉で、教育経営や教授法に関する情報処理のコンピュータ利用が推進されていました。それとの関連で、児童生徒の学習のためになるいろいろなデータを管理するという意味で、CML(Computer Managed Learning)という言葉も使われるようになります。校務の情報化とは少し異なる概念ですが、コンピュータ等のICTを活用して業務の効率化や教育の質的向上を目指すことにおいては共通する部分が少なくありません。
校務の情報化をひと言で表すと、「職員室などでの先生の仕事を、情報機器を使って効率的なものにする」となります。具体的には、効率的な校務処理による業務時間の削減と、教育活動の質の向上という2つを目的としています。
校務の情報化を実現する方法の一例として、文部科学省が推進する「統合型校務支援システム」の導入があります。このシステムの導入は、業務の効率化・負担軽減に寄与するだけではありません。これまで分散管理されていた学校および学級の経営情報や児童生徒の情報を一元管理することができるようになり、教育の質的向上も期待できます。