卒業文集づくりと書き方:コロナ下でも3つの工夫で個性あふれる1冊に

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愛知県公立小学校教諭

佐橋慶彦

コロナ禍により行事が少なかった2020年、小学校6年生の卒業文集は、担任教師にとって例年以上の悩みどころではないでしょうか? 進捗管理や子供たちへのアドバイスなど、教育現場から聞こえる悩みをふまえ、コロナ下でも子供たちの「今」を映す卒業文集づくりができる具体的な工夫について、佐橋慶彦先生が紹介します。

執筆・イラスト/愛知県公立小学校教諭・佐橋慶彦

コロナ下でも個性溢れる1冊に!卒業文集の悩みを解決する3つの工夫
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写真AC

6年生担任の一大仕事「卒業文集づくり」

早いもので、もう12月。

6年生が小学校に通うのも、あと数か月になりました。卒業に向けて、文集への取組を考え始めている先生方も多いのではないでしょうか。

納得のいく文章が書けるように助言をしたり、誤字や脱字がないように一人ひとりの作文をチェックしたり…。文集の制作は、6年生の担任にとっても大変な仕事です。

文集制作で苦労するポイントは?

現場の先生方に、文集制作の何が大変だったかを聞いてみたところ、

  • 人によって、進み具合がバラバラになってしまうこと
  • 下書きの作文用紙やワークシート、清書の紙など扱うプリントが多いこと
  • 質問や確認に追われて、声が掛けられなくなること
  • 書くテーマが決まらない/テーマが被ること

など、様々な課題が挙げられました。

加えて、今年はコロナ禍により、制作時間が確保できなかったり、行事が減りテーマ選びに戸惑ったりといったことも考えられます。

そこで今回は、これらの課題を少しでもクリアできるよう、文集制作の際に行っている3つの工夫を紹介したいと思います。

1. 「マイファイル」で作業と管理を簡単にする

進み具合に差が開くと、学級全体でポイントや書き方を確認することができなくなり、指導が難しくなってしまいます。隙間時間に取り組んで、遅れを取り戻すことができればいいのですが、扱うプリントが多いため、準備に時間がかかってしまいます。

かといって、すぐに作業できるように一人ひとりにプリントを管理させると、今度は忘れてきたり、紛失したりといったことが起こってしまいます。

そこで、1人1冊のクリアファイルと、そのファイルを置くスペースを用意するようにしました。

自分のファイルを持っていくだけですぐに取組を再開できる仕組みをつくることで、隙間時間を有効に使えるようになります。

また、関係するプリントをすべてまとめておけるので、紛失などの心配がありません。教師が点検する際にも、過去のものを見返しながら行うことができるので、的確なアドバイスが送れるようになります。

さらに、やりかけのものを置いておく「保管ボックス」、先生にチェックをしてもらいたい時に入れておく「提出ボックス」、先生がチェックしたものを返す「返却ボックス」の3つを用意することで、点検や返却もスムーズに行うことができようになります。

マイファイルと管理用ボックス
<マイファイルと管理用ボックス>

2. 「チェックシート/FAQ」の活用で時間を有意義に使う

「下書きのチェックをお願いします」
「ここは、この書き方でいいですか?」

作文の時間になると、先生の前に長蛇の列ができてしまうことがあります。大切な文章だけあって、先生が点検をしたり、アドバイスしたりすることが増えるのですが、できるだけ子供たち自身で確認できるようにしておきたいものです。

そこで、「よくある質問集」「提出前のチェックポイント」を作って、ワークシートに付け加えるようにしています。事前に確認をしてもらうことで、先生の前に子供たちが殺到することが無くなり、取組が遅れている子に声を掛けたり、丁寧に点検したりする時間がもてるようになります。

卒業作文制作シート
<卒業作文制作シート>
クリックするとPDFがダウンロードできます

3. 行事や夢だけ?「テーマ選び」は幅広く!

テーマが浮かばずに固まってしまう子がいたり、クラスの大半が似たようなテーマになってしまったり。このテーマ選びに悩む先生方も多いのではないでしょうか。

今年はコロナ禍によって行事が削減されたこともあり、よりテーマ選びが難しくなるでしょう。

そこで、テーマ選択の幅が広がるような働きかけをしていきたいと考えています。

卒業作文だからといって、将来の夢や、学校行事のように特別感のあるものをテーマにしなければいけないわけではありません。クラスのこと、仲間のこと、自分自身のこと。大切なことは他にもたくさんあるはずです。

私は「小学校6年生の、今の自分が大切にしていることを、言葉にして残しておけたら素敵だね」と子供たちに伝えるようにしています。

テーマの例
<テーマの例>

卒業文集制作はやりがいのある宝物づくり

自分の気持ちに向き合って書いた卒業作文は個性にあふれています。感動したり、考えの深さに驚かされたり。読むのがだんだんと楽しみになってきます。

当時の様子や、それぞれの姿が思い出される卒業文集は、きっと子供たちの宝物になります。大変な作業ではありますが、やりがいを感じながら大切に作っていきたいと思います。

佐橋慶彦先生
佐橋慶彦先生

佐橋慶彦(さはしよしひこ)●1989年、愛知県生まれ。教職9年目。教育実践研究サークル「群青」主宰。日本学級経営学会所属。子どもがつながる学級を目指して日々実践に取り組んでいる。

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